職場におけるモラハラとは!具体例や対処法を解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20181214190013 0e1c90771fa36e435cbbaba175df256af5ff76f7

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

パワハラやセクハラが問題視されるようになってから久しいですが、こういったハラスメントの中でもモラハラについてはあまり詳しくは知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、モラハラは家庭内の問題だと思っている方もいらっしゃると思います。

しかし、モラハラは家庭内だけではなく職場でも起きている問題です。

今回の記事は、職場においてのモラハラとは一体どのようなことなのか、パワハラとの違いや具体例・対処法について説明していきます。

モラハラとはどのような行為か

まず初めに、モラハラとは一体どのような行為なのか、パワハラとの違いは何なのかについて確認しましょう。

モラハラの定義

モラハラとは「モラル(倫理、道徳)ハラスメント(いやがらせ)」の略で、倫理や道徳に反したいやがらせという意味合いを持ちます。

わかりやすく言うと、暴言を吐いたり無視をするなどといった「言葉」や「態度」によって精神的ないやがらせをする行為を指します。

「大人のいじめ」といえばイメージしやすいと思います。

パワハラとの違い

モラハラと似た言葉にパワハラがありますか、パワハラとモラハラは一体何が違うのでしょうか。

パワハラとは、職場内における優越的な関係性を利用して行われるいやがらせ行為です。

ここでいう優越的な関係性は、役職の関係性だけではありません

上司よりも知識や経験が豊富な部下が、上司に対していやがらせを行う場合も、パワハラとみなされることがあります。

一方、モラハラとは立場の優越性は関係なく行われるいやがらせ行為です。

職場内での優越的な関係性を利用しているかどうかが、パワハラとモラハラの違いになります。

職場におけるモラハラの具体例

モラハラは「言葉」や「態度」によって精神的ないやがらせをする「大人のいじめ」であることがわかりました。

では、具体的にどのようなパターンがモラハラにはあるのか確認しましょう。

言葉による精神的な攻撃

  • 「バカ」「早く辞めろ」「死ね」などの暴言
  • 「デブ」「ハゲ」などの身体的な特徴をからかう侮辱行為
  • 「使えない」「不快」などの能力や人格の否定

上記はモラハラにおける典型的な例です。

また、これらのように直接的なものではなく、陰口などの間接的なものもモラハラに含まれます。

部下が上司に対してモラハラをするケースも存在します。

陰口などもそうですが、最近ではパワハラが問題視されるようになったことから、上司が部下の遅刻に対して注意するなど業務上必要な指導に対して「それってパワハラですよ」とパワハラをたてにして言い返すようなケースがあります。

人間関係を孤立させる

言葉による精神攻撃のような「する」ことによるモラハラ以外に「しない」ことによるモラハラも存在します。

それが下記のケースです。

  • 話さない(無視をする)
  • 社内メールなどの連絡をその人だけしない
  • 社内の飲み会などにその人だけ誘わない

これらのような「しない」ことによるモラハラは、暴言や侮辱などの「する」ことによるモラハラと違ってわかりづらいことが特徴です。

表立って何かをされているわけではないので、被害を受けている方もどうしていいかわからず、徐々に精神的に追い込まれます

プライベートへの介入

  • 恋人のことをしつこく聞いてくる
  • 休日にしつこく誘われる
  • 休日の過ごし方(趣味など)についてバカにされる

業務に関係のないようなプライベートな話をしつこく聞いたり否定することもモラハラにあたります。

プライベートなことなので上司や周りに相談しにくく、相談をしたとしても「向こうも悪気があるわけではないんだし」「嫌なら本人に直接言えばいい」と言われてしまうこともあります。

仕事の妨害をする

  • 過剰な仕事量を押し付ける
  • 業務上明らかに不要な仕事をさせる
  • 雑用だけをやらせたりと本人の力量に合っていない過小な仕事しかやらせない
  • 資料などの情報をわざと渡さずに、仕事のミスを誘発する

上記のような仕事を利用して行われるモラハラも存在します。

「仕事が終わらなかったりミスをするのは自分の能力が低いから」

「雑用ばかりやらされて自分は必要のない存在なのでは」とモラハラの被害を受けている方を精神的に追い詰めます

職場内のモラハラに対する罰則

モラハラはこのように非常に悪質で許されがたい行為ですが、直接的にモラハラについて規定された法律はありません。

そのため、何が法律違反にあたるのかといった明確な基準がなく難しい問題になります。

しかし、程度や状況によっては法的責任を問われる可能性もあります。

どのような行為に及んだら、法的責任を問われる可能性があるのか確認しましょう。

個人への罰則

職場で皆が見ている前での暴言や侮辱は、名誉毀損罪(刑法第230条)・侮辱罪(刑法第231条)に当てはまる可能性があります。

また、モラハラによってPTSDなどの精神疾患になってしまった場合は、モラハラとの因果関係が認められたら傷害罪(刑法第204条)が適用されることもあります。

名誉毀損罪や侮辱罪のような刑法上の罰則は適用されない場合でも、不法行為(民法第709条)が成立する可能性があります。

その場合は、精神的苦痛に対する損害賠償金として慰謝料を加害者に請求することができます。

会社への罰則

会社には、労働契約法第5条や男女雇用機会均等法第11条を根拠とした「職場環境配慮義務」があります。

職場環境配慮義務とは、従業員が安心して快適に働けるように環境を整える会社の義務のことです。

モラハラはこの義務(債務)を守っていないということになり、債務不履行責任(民法第415条)による損害賠償の支払い義務が生じる可能性があります。

また、会社は使用者責任(民法第715条)といって、業務時間中に従業員が他者へ不法行為を犯した場合は使用者として損害賠償責任を負います。

モラハラは、不法行為として認められる可能性があるので、モラハラによる不法行為が成立したら会社は被害を受けた従業員に対して慰謝料を支払う義務が生じます。

職場内のモラハラへの対処法

モラハラは個人に対しても、会社に対しても罰則が適用される可能性があることがわかりました。

では、もしモラハラを受けた場合はどのようにして対処していけばいいのでしょうか。

証拠を集める

まずはモラハラを受けていると思ったら、モラハラの事実を証明できる証拠を集めましょう。

暴言や侮辱、仕事の妨害などといったモラハラには、音声の録音や該当するメールの保管が有効です。

相手から渡された書類やメモもあれば保存しましょう。

しかし、人間関係を孤立させるようなモラハラは、音声の録音などは厳しいかもしれません。

そういった場合は、下記の事項を被害がある度にメモや日記・ブログなどに記録しておきましょう。

  • いつ
  • だれから
  • どこで
  • どのようなモラハラをされたかか
  • 周りには誰がいたか
  • その時のあなたの気持ち

上記の点を踏まえたブログや日記は、歴とした証拠になり得ます。

詳細に記されたブログや日記は、簡単に捏造できないと考えられているからです。

ブログの場合は、更新日が記載されるのでその点も良いかと思います。

また、モラハラによる精神的なストレスで医療機関で受診をしている場合は、カルテや診断書をもらいましょう。

社内の相談窓口に相談する

ある程度の規模の会社の場合、社内にカウンセラーなどがいる相談窓口があります。

その場合は、社内の相談窓口に証拠をもって相談にいきましょう。

プライバシーに配慮されているところが多く、匿名での相談もできる場合が多いです。

ただし、会社によっては相談内容が筒抜けで加害者にモラハラの相談をしていることを発覚されてしまったなんてこともあり得るので注意が必要です。

社外の相談窓口に相談する

社内に相談窓口がない場合や社内の人に絶対に知られたくない場合は、社外の相談窓口に相談してみましょう。

社外の相談窓口は全国の労働局・労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談センター」や法務省に設置されている「みんなの人権110番」などがあります。

「総合労働相談センター」は面談・電話どちらの相談も可能です

「みんなの人権110番」は電話での相談ができます。

弁護士に相談する

上記の社内・社外相談窓口では解決できないと感じたら、弁護士への相談も有効です。

集めた証拠を基に、モラハラの違法性の有無を判断してもらったり、今後の対応を代理人として任せることもできます

弁護士と聞くと真っ先に裁判を想像されるかもしれませんが、裁判までいくのはあくまで最終手段である場合が多いです。

きちんと手順を踏んで、まずは本人の代理人として会社と交渉してそれでも交渉が上手くまとまらずに、本人が訴えるという選択をした場合に裁判になります。

初回の相談は無料という弁護士事務所も多いので、社内外の相談窓口で解決しなかった場合は違法性の有無の判断や今後の対応について相談してみてはいかがでしょうか。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。