産業医が退職勧奨することは違法?復職を拒否された時の対処法

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

病気や怪我をして会社を休職していたけど、産業医が復職を認めてくれない。

さらには、産業医に退職した方がいいのではないかと勧められた。

復職したいのに認めてくれないといった事態に陥ってしまった場合、どのような対応をすればよいのでしょうか。

鬱や癌などによる病気や交通事故などの怪我による休職は、誰にでも起こり得るものです。

今回の記事では、病気や怪我によって会社を休職した後に、復職を拒否されたり退職勧奨をされた場合の対処法を紹介します。

産業医の役割とはなにか

産業医は従業員に対して、どのような役割を果たすのでしょうか。

産業医の定義とともに、確認しましょう。

産業医とは

産業医とは、事業場における従業員の健康・安全・衛生を守るために、会社に対して中立的・専門的な立場から指導・助言を行う医師を指します。

労働安全衛生法により、従業員が50人以上の事業場には産業医の設置が義務付けられています。

では、産業医の職務内容とはどのようなものでしょうか。

産業医の職務

産業医の職務は、多岐にわたりますが従業員に関わる仕事は主に以下のものがあります。

  • 健康診断の結果のチェックと就業判定
  • ストレスチェック制度に基づく高ストレス者の面接・指導
  • 休職者に対する復職の可否の意見
  • 職場環境の改善の提案など、就業上の配慮に関する意見

産業医は、従業員の健康・安全を守るため会社に対して指導・助言を行います。

また、必要であれば従業員と面談をして健康状態をチェックしたり、休職者に対して復職できるかどうかの判断をしたりもします。

産業医が退職勧奨することは違法?

産業医は主に従業員の健康などを守る役割であることはわかりました。

では、産業医が従業員に対して、退職勧奨をすることは認められているのでしょうか。

産業医が退職勧奨することは違法

まず、直接従業員に対して休職や退職、入院などを勧告する権限は産業医にはありません。

産業医は従業員にではなく、会社に対して従業員の健康を守るために休職や配置転換が必要だと助言をする権限があるのです。

また、産業医が従業員に対して退職勧奨をするということは従業員にとって不利益な行為となるため、中立的な立場でなければならない産業医の立場に反しています。

そのため、産業医が従業員に退職を勧告することは、不当な退職勧奨となります。

会社が退職勧奨することは違法ではない

会社が従業員に対して、退職勧奨すること自体は違法ではありません。

退職勧奨は解雇と違い、会社が従業員に対してあくまで「自由な意思による退職」を促す説得活動であり、従業員は断ることも可能です。

そのため、適切なアプローチの退職勧奨であれば違法ではないとされています。

辞める気がない時ははっきりと断る

会社を辞める気がないのであれば、退職勧奨をされてもはっきりと断りましょう。

上司の言葉に流されたりして、退職勧奨に同意し退職届を提出してしまうと、自らの意思で辞職した「自己都合」での退職になってしまいます。

一度退職届を提出してしまうと、会社側に後述するような違法行為がない限り、取り消すことは難しいです。

そのため、会社を辞めるつもりがない時は、はっきりと断ってここで働く意思があることを示すことが大切です。

退職をしつこく迫られたり強要された場合は無効

退職を迫られても応じない場合、上司から高圧的な態度で何度も解雇を促されたり、複数の上司から退職を迫られることもあります。

そのような退職勧奨は、脅迫や強要にあてはまり違法です。

高圧的な態度で退職を迫られても、はっきりと断りましょう。

また、退職勧奨に同意してしまった場合であっても、このような違法な退職勧奨による退職は無効であることを主張できます。

もし、このような違法な退職勧奨が行われているのであれば、音声の記録やメールのやり取りなどを証拠として残しておくのが良いでしょう。

産業医に復職拒否された時の対処法

退職を勧奨されてもきっぱり断ったが、産業医に復職を拒否されて復職できない場合はどうすればいいのでしょうか。

例えば、休職期間を経て休業の原因だった病気や怪我が快調に向かって主治医から復職許可がおりたにも関わらず、産業医が復職を拒否するケースがあります。

産業医による復職拒否は法的効力はありませんが、会社は産業医の意向に従うことが多いです。

また、休職期間満了しても復職できない場合、自動的に退職になると就業規則で定めている会社もあります。

そういった事態を避けるためには、どのような対処をすれば良いのか確認しましょう。

会社に復職の条件を明確にして提示してもらう

主治医の診断と産業医や会社の判断が異なるために、主治医は復職許可を出したものの産業医からは拒否されたという場合があります。

そのため、予め会社に復職の条件を明確にして提示してもらいましょう。
予め復職の条件がわかっていれば、主治医と産業医や会社の判断が異なるといった事態を避けることができます。

雇用契約の内容を確認する

配置転換が可能か確かめるために、雇用契約から職種が限定されているかどうかも確認しましょう。

まず、総合職のような職種が限定されていない正社員として雇用されている場合についてです。
配置換えや部署異動が行われることがあるケースも、職種が限定されていない雇用契約を結んでいるとされます。

この場合、従業員が復職前と同じ仕事をすることは難しくても会社は負担を軽くした職種に異動させるなどによって、従業員の休職後の復職を支援すべきということが最高裁の判例でも示されています(最高裁平成10年4月9日)。

そのため、職種が限定されていない場合は休職前の業務よりも負担が軽い業務があるのならば、そちらの業務配置転換して復帰させるべきと解される傾向があります。

では、客室乗務員のような職種が限定されている専門職の場合はどうでしょうか。

職種が限定されている場合は、復職後に同じ職種に就けず、異動できる職種もないケースでは休職期間の満了が解雇理由となってもやむを得ないと判断されています(大阪地裁平成11年10月18日)。

ただし、すぐに復職することが難しくても復職の目処が立っているような状態であれば、会社の状況や休職理由などを考慮してリハビリ的な勤務期間を設けたり時短勤務にするなどの対策を講じることが必要とされています。

このように、職種が限定されているかどうかで対応策が変わりますので、ご自身の職種はどちらなのかしっかり確認しましょう。

休職理由を確認する

病気や怪我が会社の業務によるものとする休職の場合は、休職期間中と休職後30日間は原則として解雇できません(労働基準法第19条1項)。

そのため、休職期間を経て復帰しようとしたのに会社が復職拒否をして自動退職になってしまっても、この自動退職は解雇と実質的に一緒であると考えられて自動退職が無効になる可能性があります。

病気や怪我が、私生活によるものとする休職の場合は、就業規則に私傷病休職制度がある場合はしっかりと確認しましょう。

特に重要な箇所は

  • 休職期間はどのくらいあるのか
  • 休職が満了しても復職できなかった場合の取り扱い(自動退職か解雇か)
  • 復職する際の手続き方法(主治医の診断書など何が必要か)

についてです。

弁護士に相談する

上記の対処法を確認した上で、ご自身で解決することは難しいと思ったのであれば弁護士に相談することをおすすめします。

復職拒否による問題は、ケースバイケースが多く個別に考えなければなりません
そういった問題は専門の知識がないと判断がつかないことも多いです。

初回は無料相談で行なっている弁護士事務所も多いので、まずは復職できそうか相談してみてはいかがでしょうか。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。