会社が発行した離職票の離職理由が違う?理由と対策

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

退職理由が違う離職票|理由と対策を紹介

労働者は会社を退職する際に、会社側に離職票の発行を依頼できます。

離職票は労働者が退職後、雇用保険の基本手当(以下、失業保険)を受給するために必要な書類です。

しかし、会社から送付された離職票の離職理由が実際と異なる場合があります。

もし、このような状況になった場合にどう対応すると良いのでしょうか。

この記事では、会社が発行した離職票の記載内容が適切ではない場合の理由と対策について見ていきます。

離職票の離職理由の種類

会社を退職して離職票を受け取った離職者は、ハローワークで失業保険の給付手続きを行います。

離職票に記載されている離職理由によって、失業保険を受給できる条件や金額が違ってきます。

なお、離職票は2枚届きますが、離職理由が記載されているのは「雇用保険被保険者離職票-2」のほうです。

雇用保険被保険者離職票-2(出典:ハローワークインターネットサービス)

離職票に記載される離職理由は主に「会社都合退職」「自己都合退職」です。

ここでは「会社都合退職」と「自己都合退職」について詳しく見ていきましょう。

会社都合退職

会社都合退職は会社の倒産や、会社に解雇されたことなどで退職することです。

具体的には以下のような理由で離職した人が挙げられます。

  1. 会社が倒産した
  2. 会社の業績悪化による人員整理が行われた
  3. 事業所が廃止された
  4. 事業所の移転で通勤が困難となった
  5. 解雇で離職した
  6. 労働契約が締結した条件と大きく異なっていた
  7. 賃金額の3分の1を超える額が支払われない月が2 か月以上続いた
  8. 事業主が労働者の職種転換で、職業生活の配慮がない
  9. 上司・同僚から故意に嫌がらせを受けた
  10. 事業主から退職勧奨を受けた
  11. 事業所の業務が法令に違反していた

通常、会社都合退職の場合は再就職の準備をする時間的余裕を設けることができずに退職することになってしまいます。

そのため、会社都合退職の離職者は失業保険を受給する条件が自己都合退職の場合よりも緩和され、最低7日間の待期期間を経た後すぐに失業保険を受け取ることができます。
自己都合退職の場合は最低7日間の待期期間の後、2ヶ月間の給付制限期間を過ごす必要があります

このような会社都合退職の離職者のことを「特定受給資格者」と言います。

「特定受給資格者」の要件はハローワーク公式サイトで解説されているので、ぜひご参考になさってください。

自己都合退職

自己都合は自らの都合によって退職することであり、多くの退職が自己都合退職に該当します。

主に「結婚、介護、病気療養、転職」などの理由で退職する場合、自己都合退職となります。

自己都合退職で離職した場合、失業保険の「一般の受給資格者」となります。

ただ、以下のような理由で離職した人に関しては、ハローワークから認定を受ければ「特定理由離職者」として失業保険の受給条件が緩和されます。

  1. 労働契約が満了し、更新を希望したにもかかわらず更新されなかった
  2. 病気や心身の障害、身体能力の減退
  3. 親族の介護など家庭の事情の急変
  4. 結婚で住所を変更になった
  5. 事業所が通勤困難になった

「特定理由離職者」の定義もハローワーク公式サイトで解説されているので、ぜひご参考になさってください。

会社が発行した離職票の離職理由が違う理由

労働者が会社に離職票の発行を依頼すれば、退職後にお住まいに書類が送られます。

そして、退職者は離職票を持ってハローワークで失業保険の給付手続きを行うのです。

しかし、お住まいに届いた離職票を確認してみると離職理由が自分の認識と違う場合があります。

なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか。その理由を解説していきます。

労働者と会社で離職理由の認識が異なっているため

労働者と会社で認識が異なっていると、実際とは異なる離職理由が離職票に記載されることがあります。
考えられる理由のひとつは労働者と会社双方の認識の違いです。

たとえば、会社側から退職勧奨を受けて退職したにも関わらず、離職票の離職理由がなぜか「自己都合退職」になっているケースがあります。
労働者としては退職勧奨されたと思って退職したのに、会社側としてはそのような意図を持っていなかった場合、双方で離職理由が食い違うことになります。

そのような認識の齟齬を防ぐため、退職前に会社側の担当者と話し合うときは「離職理由は退職勧奨にしてください」「ハラスメントを受けたことが原因で離職するので、これは会社都合による離職です」などと念押しすることをおすすめします。

なお、離職理由を後から訂正する方法については後述します。

会社が故意に離職理由を自己都合退職にしている

事前に労働者と会社が話し合っていたとしても、会社が故意に離職理由を「自己都合退職」と記載している場合があります。

単なる嫌がらせの可能性もありますが、会社都合の離職になると雇用関係の助成金がしばらく不支給になってしまう場合があるため、離職理由を「自己都合退職」にしているのでしょう。
(助成金の一例…トライアル雇用奨励金、特定求職者雇用開発助成金、キャリアアップ助成金など)

離職票の離職理由を偽った場合の罰則

会社が離職票の内容を偽って届け出をした場合は、雇用保険法83条より、「 6カ月以下の懲役、三十万円以下の罰金」という罰則があります。

労働者は会社が故意に離職理由を書き換えていないか、しっかりと確認しておきましょう。

会社が離職票の発行の手続きを行いますが、労働者も内容に誤りがないか見ておきましょう。

会社が発行した離職票の離職理由が違う時の対策

ここでは会社が発行した離職票の離職理由が違っていた時の対策について見ていきます。

自らの行動を理解して、適切に対応していきましょう。

会社に相談して離職理由を訂正する

もし会社から送られてきた離職票の離職理由が違うことに気付いたら、会社の担当者に相談して正しい離職理由にするよう訂正を依頼しましょう。

会社側がハローワークに提出した書類に誤りがある場合は「訂正届、会社控えの離職証明書、被保険者資格喪失確認通知書、証明となる書類」をハローワークに送付してもらい、訂正をします。

労働者と会社の双方が納得する方法になりますが、会社側の対応によるため過度に期待はできないでしょう。

ハローワークに相談して離職理由を訂正する

労働者が会社と話し合いをしても解決しない場合は、ハローワークに相談すれば離職理由を訂正できる場合があります。

ハローワークは労働者と会社の間に入って中立的な立場になってくれます。

離職理由を変更する方法

離職票には事業主と離職者がそれぞれ記載する「具体的事情記載欄」が2つ設けられていますが、事業主側の記載欄に「自己都合による退職」と記載されていても、離職者側の記載欄には実際の離職理由を記載します。

また、「離職者本人の判断」の欄は、「事業主の離職理由に異議有り」に印をつけましょう。 

提出後、ハローワークはそれぞれの主張を確認できる客観的な資料を集めることにより事実関係を確認し、離職理由を変更するのかどうか最終的な判断を下します。

(参考:Q6. 離職理由により給付日数に差がつくとのことですが、事業主と離職者で主張が食い違った場合には、どのように取り扱われますか。『ハローワークインターネットサービス よくあるご質問(雇用保険について)』)

弁護士に相談して離職理由を訂正する

労働者と会社の関係が良好ではなく、話し合いができない場合は専門家に相談する方法があります。

もし、裁判などに発展してしまった場合に専門家である弁護士なら対応が可能です。

専門家が労働者と会社の間に入ることで、早期に問題が解決するように導いてくれるでしょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。