【有給休暇には時効がある!】期限や買取などまつわる知識について

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

仕事が忙しいし、職場的に取りづらくて消化できない有給休暇がたまっていく…。

いつか消化すればいいと思っている有給休暇、実は期限があるんです。

じゃあ、どうすればいいんだ!

有給休暇に関するお悩み解決のために、有給休暇の期限や買取などまつわる知識について解説していきます。

有給休暇とは?

なんとなく理解しているつもりでいる、有給休暇。

実は使える期限があったりと、知らない部分があるかもしれません。

まずは有給休暇がどういったものなのか、確認していきましょう。

そもそも有給休暇とはなにか?

有給休暇とは、休んでいるが出勤しているときと同じように賃金が支払われる休暇のことです。

この有給休暇、労働者の心身のリフレッシュを目的としています。

正式には年次有給休暇と呼び、労働基準法39条で定められた労働者の権利です。

またこれは雇用形態に関係なく、一定の条件をクリアすれば、有給休暇は労働者に与えられます。

そのため、パートやアルバイトなど、正社員ではないから無関係というわけではありません。

有給休暇の付与日数

週5日・週30時間以上の一般的な正社員の場合、全労働日の8割以上出勤していれば、入社から半年後に10日間の有給休暇が付与されます。

これは労働基準法39条の規定です。

また有給休暇が付与されたさらに1年後、2年後、3年後と勤務年数が長くなることで、有給休暇の付与日数が増えていきます。

入社後半年 付与日数:10日

入社後1年半 付与日数:11日

入社後2年半 付与日数:12日

入社後3年半 付与日数:14日

入社後4年半 付与日数:16日

入社後5年半 付与日数:18日

入社後6年半以上 付与日数:20日

この付与日数は、労働基準法39条2項に定められており、これを下回る付与日数は労働基準法違反となりますが、この付与日数を上回るものを企業独自で規定することは問題ありません。

労働基準法は最低ラインを提示しており、より労働者が有利になる規定は問題としていないのです。

ただし、毎年増える有給休暇をうまく消化できていないという現実があるかと思います。

有給休暇の年5日取得が義務化に

2019年4月より、企業が一定の労働者に年5日の有給休暇を取らせることが義務化されました。

これにより、従来の「◯月◯日に休む」という労働者による企業への申請に加え、企業から有給休暇を取ることを促されるという形ができたのです。

年5日取得の義務化、やはり働く方にとって嬉しい制度だと思います。

業務過多や職場の雰囲気により、取りづらかった有給休暇ですが、これによりたまってしまった有給休暇を利用してリフレッシュできるとよいですね。

また、この義務化は中小企業に関しても適用され、企業側が違反した場合には罰則の規定もされています。

有給休暇は期限を過ぎたら消滅する

とはいえ、1年ごとに有給休暇は付与されるため、年5日の取得が義務化されても未だ多くの日数が残っている方もいらっしゃるかと思います。

しかも、この有給休暇には期限があるのです。

一定期限を過ぎてしまえば、時効で消滅してしまいます。

ここからは、有給休暇の期限について説明していきます。

有給休暇の期限は原則2年

有給休暇が時効により消滅する期限は2年です。

この有給休暇の時効期限、労働基準法115条に定められています。

以下で、事例を見てみましょう。

【週5日・週30時間以上の労働者が2020年4月1日に入社した場合】

半年後の2020年10月1日に10日分の有給休暇が付与。

2020年10月1日に付与された分が、2022年の10月1日に消滅。

このように有給休暇が付与された基準日から2年という期限が過ぎたら、なくなってしまいます。

もしも、この有給休暇が消滅する2年という時効期限を企業側独自で1年と定めていた場合、それは違法です。

この2年という期限は労働基準法115条で定められているため、これより不利な契約内容を企業側が設けたとすれば、労働契約法13条が適用され、その部分について無効となります。

2年という期限内ならば有給休暇は繰り越せる

労働基準法115条に有給休暇の時効期限が2年と定められているため、付与日から2年以内であれば、繰り越すことができます。

このように有給休暇は繰り越すことができますが、2年という時効期限が過ぎたら消滅するため、最大保有日数は40日です。

これは入社から6年半以上は、有給休暇の付与日数が20日から変動しないことが関係しています。

例えば、入社後6年半のときに付与された20日分の有給休暇がまるまる残っている状態で、7年半を迎え、さらに20日付与されれば、有給休暇を40日保有していることになります。

しかし、入社後8年半を迎えたときに、保有有給休暇が60日とはならず、6年半のときに付与された20日分の有給休暇が消滅するため、結果的に40日となってしまいます。

このように有給休暇は繰り越すことができますが、2年という時効期限があるため、有給休暇の最大保有日数は40日分です。

有給休暇の買取は原則禁止だが、例外が3つある

年5日取得が義務化となりましたが、5日以上の取得ができず、有給休暇が多く残っている。

そんなとき、たまった有給休暇を企業が買取ってくれればと考えることもありますよね。

しかし、有給休暇の買取は原則禁止です。

それは有給休暇の本来の目的が、労働者のリフレッシュにあるからです。

ただ、例外が3つありますので、そちらを一緒に確認してみましょう。

①労働基準法で定められた以上の有給休暇

労働基準法39条2項で定められた付与日数を超えた日数を企業側が付与している場合、その上回った分の買取は問題ありません。

例えば、入社半年後の有給休暇の付与日数は10日と決められていますが、企業が就業規則で10日ではなく12日としている場合、その2日分を企業が買い取ることです。

これは2日分を買い取られたとしても、労働基準法で定めた10日分の有給休暇は労働者が取得できるため、可能となっています。

②2年の期限が過ぎて消滅した有給休暇

有給休暇は2年の期限を超えると消滅するため、消滅により消化できなかった有給休暇を企業側に買い取ってもらうよう依頼することができます。

しかし、企業側はこの依頼を断ることができ、もし企業側が買取に応じる場合は就業規則雇用契約書などであらかじめ制度を取り決めている場合が多いです。

そのため、ご自身の就業規則や雇用契約書を一読することをおすすめします。

③退職時に残っている有給休暇

退職時に残っている有給休暇を企業が買い取ることも可能です。

当然、退職後では残っている有給休暇を消化することができません。

退職日に合わせて、残っている有給休暇を消化する方法が一般的ではありますが、引き継ぎ業務により計画的に消化できない場合もあります。

そんなときに、残った有給休暇の買取です。

しかし、平成14年5月の裁判で、退職に伴う未消化の有給休暇を買い取ることは、企業側の義務ではないという判決が出されました。

そのため、就業規則や雇用契約書内に規定している場合があるため書面の確認、さらには規定がない場合は、労働者と企業の協議が必要になります。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。