【有給消滅の期限は2年】有給の時効・繰り越し・期限切れはどうする?

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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仕事が忙しい、職場の雰囲気で休めず、未消化の有給休暇がたまっていく…。

そのうち消化すればいいとお思いかもしれませんが、実は有給休暇には2年間の期限(時効)があります。

有給休暇に関するお悩み解決のために、有給休暇の期限や期限切れになった場合、会社に買い取ってもらうことが可能かなどまつわる知識について解説していきます。

有給休暇の期限は何年間?

有給(有休)休暇は、付与された日から2年間経つと消滅します。

この有給休暇の期限について、くわしく見ていきましょう。

有給休暇の期限は原則2年

労働基準法115条

~この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

有給休暇が時効により消滅する期限は2年間と定められています。

仮に2020年4月1日に年次有給休暇が付与されたとすれば、その有給は2年間ぶん、すなわち2022年3月31日まで有給を使用できる、ということになります。

それでは、もし社内のルールとして「有給はその年に使い切る」「有給は1年で消滅する」といったような、法律の規定よりも短い時効期間が定められていた場合はどちらに従えばいいのでしょうか?

その場合、労働基準法に定められた「2年間」の時効が有効となります。

労働基準法は労働者の最低限の権利や保障を定めたものであり、労働基準法未満の労働条件は違法・無効となるためです(労働基準法13条)。

有給の期限を延ばすことはできる?

有給の期限を2年よりも長く延ばすことは可能です。

有給の期限を延ばすことは、労働者の休暇をとる権利を強めることになります。

よって、会社側が独自の規定で有給の期限を延ばすことは問題ありません。

また民法上の「時効の中断(民法147条)」による延長も、労働者が年休を取得する権利について裁判した場合など、極めて例外的な理由がなければ認められません。

有給の期限はいつから始まる?

有給休暇の2年間の期限は有給を行使することができる日、すなわち【有給休暇が付与された日】から開始となります。

よって入社してすぐ与えられた有給の場合は、入社日が消滅時効の起算点となります。

有給を来年に繰り越すことできる?

労働基準法115条に有給休暇の時効期限が2年と定められているため、付与日から2年以内であれば、来年に繰り越すことができます。

ただしここで、注意しなければいけないことが2点あります。

1つ目は、有給休暇をあまりに使用していないと、翌年に消化すべき有給の日数が非常に多くなってしまうことです。

例えば入社から6年6ヶ月以上経過すると、20日以上の年次有給休暇が付与されることになります。

仮に全ての有給を翌年に繰り越ししてしまうと、次の年には40日以上の有給がたまることになり、これらすべてを消化するのは現実的でなくなってしまいます。

2つ目は、有給を繰り越したからと言って、会社側が新たに付与する有給を減らすことは許されないということです。

例えば入社から3年6ヶ月経過し、年次有給休暇を本来なら14日もらえるところ「繰り越しぶんが10日間あるので、新しく付与するのは4日のみ」とするような行為は許されません(労働基準法39条2項)。

繰り越しをしたとしても、労働基準法や就業規則に定められた年次有給休暇は必ずその日数ぶん付与されます。

有給の期限がきたら有給は消滅する?

有給を付与されてから2年間が経過すると、有給は消滅します。

より具体的には、付与された有給に基づいて休暇と賃金を請求する権利が時効によって労働者から失われます。

ですが実際問題として、受け取った有給を全て使い切るというのが難しい場合もあります。

そこで、「未消化の有給を会社側に買い取ってもらえないか」という疑問がわいてきます。

ここからは、有給の買取について考えていきます。

有給休暇の買取は原則禁止&3つの例外

有給休暇の買取は原則禁止されています。

それは有給休暇の本来の目的が、労働者のリフレッシュにあるからです。

つまり会社側が自由に有給を買い取れるとすれば、労働者が実際の休みを得る機会が失われてしまうことになるためです。

ただ、例外が3つありますので、そちらを一緒に確認してみましょう。

①労働基準法で定められた以上の有給休暇

労働基準法39条2項で定められた付与日数を超えた日数を企業側が付与している場合、その上回った分の買取は問題ありません。

例えば、入社半年後の有給休暇の付与日数は10日と決められていますが、企業が就業規則で10日ではなく12日を付与するとしていることもあります。

その場合は、労働基準法以上の日数である2日分については、会社は買い取ることができます。

なぜなら2日分が買い取られたとしても、労働基準法で定めた10日分の有給休暇については労働者が実際に取得する機会が与えられているためです。。

②2年の期限が過ぎて消滅した有給休暇

有給休暇は2年の期限を超えると消滅しますが、時効により消化できなかった有給休暇を企業側に買い取ってもらうよう依頼することができます。

しかし実際に買い取りにがなされるかどうかは、会社次第です。

もし企業側が買取に応じる場合は就業規則雇用契約書などであらかじめ制度を取り決めている場合が多いです。

こちらは依頼をする前に、ご自身の就業規則や雇用契約書を一読するのがよいでしょう。

③退職時に残っている有給休暇

退職時に消化しきれず残っている有給休暇を企業が買い取ることも可能です。

もちろん、退職後に残っている有給休暇を消化することができません。

退職日に合わせて、残っている有給休暇を消化する方法が一般的ではありますが、引き継ぎ業務により計画的に消化できない場合もあります。

そんなときに、残った有給休暇の買取を請求することができます。

なお、退職に伴う未消化の有給休暇を買い取ることは、企業側の義務ではありません

よって期限切れの有給と同様に、有給を買い取ってもらうにはあらかじめ取り決めがないか確認し、または会社と直接交渉することが必要となります。

有給休暇の基礎知識|期限切れを避けるために

最後に、有給休暇というものの性質や基礎知識についておさらいしておきましょう。

そもそも有給休暇とはなにか?

有給休暇とは、休んでも出勤しているときと同じように賃金が支払われる休暇のことです。

この有給休暇、労働者に心身のリフレッシュの機会を与えることを目的としています。

正式には年次有給休暇と呼び、労働基準法39条で定められた労働者の権利です。

またこれは雇用形態に関係なく、以下の条件を満たせば誰にでも、有給休暇は与えられます。

  • 雇入れの日から6ヶ月間継続して勤務している
  • 全労働日の8割以上出勤している
    (雇入れから6ヶ月間、もしくは前回の有給付与日から1年間)

そのため、パートやアルバイトなど、正社員ではないから有給がもらえない、というのは誤りです。

有給休暇が付与されるのはいつ?

最初に年次有給休暇が付与されるのは、入社から6か月後です。

その後1年後ごと、すなわち入社から1年半後、2年半後、3年半後、4年半後……に有給が付与されます。

なおこれらは労働基準法上の最低限の規定のため、仮に「入社時に有給を〇日付与」という規定があった場合、その有給はなんら問題なく使うことができます。

有給休暇の付与される日数は?

週5日・週30時間以上の一般的な正社員の場合、全労働日の8割以上出勤していれば、入社から半年後に10日間の有給休暇が付与されます。

また有給休暇が付与されたさらに1年後、2年後、3年後と勤務年数が長くなることで、有給休暇の付与日数が増えていきます。

具体的な日数は、以下のようになっています。

勤続年数有休休暇の付与日数
入社後6ヶ月10日
入社後1年6ヶ月11日
入社後2年6ヶ月12日
入社後3年6ヶ月14日
入社後4年6ヶ月16日
入社後5年6ヶ月18日
入社後6年6ヶ月以上20日
*週5・週30時間以上勤務の場合

この付与日数は、労働基準法39条2項に定められており、これを下回る付与日数は違法となります。

一方でこの付与日数を上回るものを企業独自で規定することは問題ありません。

ただし有給の権利が十分付与されていても、有給を実際に消化する機会がなければ意味がありません。

有給休暇の年5日消化が義務化された

2019年4月より、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(アルバイトやパートも含む)については、年5日の有給休暇を取らせることが義務化されました。

つまり労働者側からすれば、年に5日間は必ず有休を取得できるということになります。

これにより、労働者側から有給申請を申し出るだけでなく、企業から有給休暇を取ることを促されるという形ができたのです。

なお、好きなときに有給がとれるというわけではなく、会社側は「〇月の〇日前後で有給を取得してください」というような有給の時季指定権を持っています。

一方で、既に5日以上の有給を取得している労働者に対しては、会社は時季を指定して強制的に有給を消化させることはできません。

業務過多や職場の雰囲気により、取りづらかった有給休暇ですが、これによりたまってしまった有給休暇を利用してリフレッシュできるとよいですね。

また、この義務化は中小企業に関しても適用され、企業側が違反した場合には罰則の規定もされています。

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執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。