あなたの会社の就業規則は大丈夫?副業禁止や懲戒処分についての規定の読み方について

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

あなたは自分が勤めている会社の就業規則を見たことはありますか?

就業規則は、日本企業において労働契約の一部になっていることが多く、何かしらの問題が発生したら、まず就業規則を見るべきともいえるほど重要なものです。

今回はその就業規則について、特に懲戒処分や副業禁止規定等に関連する部分について解説していきます。

そもそも就業規則って何?

先程自分の会社の就業規則を見たことがありますか?と尋ねましたが、就業規則を一番最初に見るのは入社時だと思います。

でも入社時には契約書やいろいろな事項に関する誓約書などなど…とりあえずたくさんの書類に署名押印をしますよね。そんななかで就業規則なんかじっくり見てないよ、という人も多いと思います。

そこでここでは、就業規則とは何か、という説明からしていきたいと思います。

就業規則は労働契約の内容になっている

日本の企業の場合、就業規則は労働契約の内容になっていることも多いといわれますが、これはどういうことでしょう。

例えば、何か高価な物を買いたい時を想像してください。その物を買うとき、いつどのようにして誰がお金を払うかなど細かい条件について契約書を作成します。

労働契約においてもこれは同様で、原則として契約は個別的具体的に当事者の交渉の結果生み出されるものです。

しかしながら、日本においては労働者を雇う際、別々の契約を締結することはほとんどありません。そのようなとき、会社側としては同様の条件で契約するのであれば一括して労働者側に条件を提示・受諾させたいと考えます。

その結果利用されるのが就業規則です。つまり「就業規則に書いてあることに同意して契約を結んでね」として、労働契約を結ぶことが多いため、日本において就業規則が労働契約の内容になっていることが多いと言われるわけです。

就業規則は「周知」されていなければならない

労働基準法106条1項によると、就業規則が適法に成立するには労働者側代表者の意見聴取、行政庁への提出、労働者への周知が必要とされています。

その中でも重要なのが、最後の「労働者への周知」です。

「周知」といわれると、就業規則がいつでもどこでも知らしめられてることのように感じますが、そうではありません。

ここでいう「周知」は労働者がいつでもどこでも見れることではなく、見ようと思えば見れること(学問上「実質的周知」と言われます。)を指すとされています。

例えば、会社の休憩室に備えているとか、会社のデータ共有フォルダの中にあり、いつでもアクセス可能になっているなど様々な方法が考えられます。

逆に上司等に聞いても就業規則を見せてもらえない、どこにも就業規則がなく見ようと思っても見れない状態は違法と判断されることになります。

先にも述べた通り、何か労働関係上の問題が起こったり、何かおかしいなと感じたりしたらまず就業規則を見てくださいと言ってもいいほど、就業規則は重要です。

実質的周知がなされていない状況があればすぐに地方の労働基準監督署に相談しましょう。

就業規則は上位法に反してはならない

では逆に就業規則で何でも好きに定めれば労働者を好きにできるのか、という疑問も思い浮かぶかもしれません。しかしながら、それはほとんど不可能です。

確かに日本の法制度上、法律よりも各人の合意が優先する場合は多々ありえます。しかしながら労働基準法などの労働関係の法は強行法規性という性質を持っている規定があります。強行法規性とは、法に反する合意などを一切許さないという性質と解釈してもらえばいいと思います。

例えば労働基準法32条1項および2項によると、労働時間は1日8時間、週に40時間とされています。これに対して就業規則で労働時間は1日9時間とすると規定したとしても、それは労働基準法32条2項に反してその反する部分が無効とされます。

さらに労働基準法やその他強行法規の最上位には憲法があります。法律たちは憲法に従う義務がありますので、就業規則もまた憲法に反しないようにしなければなりません。

すなわち、就業規則や誓約書などが「いつも正しいわけではない」ことに注意が必要です。会社の規則で定められているから絶対に従わなければならないわけではなく、会社の規則が法に反していない場合に初めてそれに従う義務が生まれます。

副業禁止の規定は合法?

それでは少し具体的な例を挙げて説明してみましょう。

会社で副業禁止の規定を見たり、副業しないことを誓約する書類を書いたりしたことはありませんか?

そのようなことをする会社は実際少なくないのですが、実はこの規定や誓約書、違法な可能性もあるのです。

労働者は原則副業は自由にできる

日本にいる住民は「職業選択の自由」(憲法22条1項)を有しています。これは憲法上の自由であって、一般的にこれを侵害したり制約したりしてはいけません。

ここで上にでてきた法律の上下関係の話が出てくるのですが副業禁止の規定はこの自由を正面から否定しています。

確かに、会社にも財産権があり、「労働時間」という労働者を使役できる時間が与えられています。労働者と使用者が合意した労働時間内は確かに職務に専念する義務もありますから副業できないのは当然です。

しかしながら労働時間外にまで副業を禁止することは、本来労働者が自由に使える時間に介入するものなのです。

会社側の

しかしながらここで注意しなければならないのは会社側にも「正当な事情」がある場合があることです。

例えば、労働者が副業をしすぎて本業に差支えが生じる場合や、労働者が同業他社に副業に行くことにより会社のノウハウが流出する場合などが考えられます。

そのような場合に限って、使用者が労働者の副業を禁止することは可能と解されています。

「一律禁止」は違法、「許可制」は合法

上のようなことから判例上、副業を一律に禁止する規定は違法と解されています。対して会社にもそのような財産流出を防止する権利はありますから、副業を「許可制」にすること自体は違法とされていません。

もっとも、会社が「許可制」を定めても、実質的に「一律禁止」と同様の運用をしている場合(例えば労働者が副業申請をしてもろくに調査もせず許可をしない場合)にはそれは違法な実態があるということになります。

問題が発生した場合

最後に、会社が副業許可制について不当な運用をしたり、不当に懲戒処分を課してきたりした場合、どうすればいいでしょうか。ここではその手順を簡単に説明します。

①まず就業規則を見せてもらう

会社の雇用関係で何かおかしいなと感じたらまずは就業規則を見せてもらいましょう。特に懲戒処分などはその発生理由(懲戒事由といいます)と効果が就業規則などに明示されていなければ効力が発生しません。

その他労働に関することは大体就業規則に書いてあることが多いので、見るだけで解決する問題かもしれませんし、のちに外部に相談する場合にも就業規則を見ておけば相談がスムーズにできます。

就業規則を見せてもらえない場合や、どうしても見れない場合、見てもそもそも就業規則の内容がおかしいのではないかと思う場合には次の段階に移りましょう。

②外部に相談する

上の手法でも解決できなさそうな場合、急いで地方の労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。問題とされる権利によっては時効のようなものがある場合も考えられますからなるべく急いだほうがいいです。

費用が心配という場合には労働事件について初回相談なら無料とする事務所もありますし、労働基準監督署に電話をかけてみるのも手です。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。