自己都合退職で失業保険を受けるために―受給までの給付制限とは

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

毎日働いている中で、今の仕事内容がどうしても合わないと思ってしまったり、収入や働き方に対して将来に不安を感じて、転職を考える方は少なくありません。

次の仕事がすぐに決まれば問題はないのですが、再就職先がすぐに見つかるとは限らないですよね。

退職して転職活動を始めたけれど、次の仕事が見つからない…そんな時に利用したいのが失業保険の制度です。

ただし、解雇や倒産で退職した時と違い、自分の意思で退職した場合、失業保険を受給する際に給付制限というものがかかります

この記事では、いわゆる「自己都合退職」で失業保険制度を利用する際に知っておきたいことについてご紹介します。
なお、基本的な失業保険の受給制度について確認したい場合、「失業保険を受給するには?離職理由と待期期間・給付制限の関係」をご覧ください。

自己都合退職で失業保険を受ける―給付制限とは

失業保険とは、失業された方が安定した生活を送りつつ、再就職できるよう、国が求職活動を支援するものです。

よって、自己都合で退職した場合であっても、条件を満たせば受給は可能ですが、失業保険は、本人の意思に反して離職した人をより手厚く保護するような制度となっています。

そのため、本人の意思に反して離職せざるをえなかった「会社都合退職」と違い、「自己都合退職」をした場合、給付制限というものが付加されます。

それでは、給付制限の概要から、給付制限中に気を付けるべき点まで、確認していきましょう。

失業保険における給付制限とは

会社を自己都合で退職した場合、失業保険の受給資格決定日から7日の待期期間後さらに2か月間失業保険を受給できない期間があり、これを給付制限といいます。

なお、以前は、この給付制限期間は3か月でしたが、2020年10月1日から制度が変更され、原則2か月に短縮されました。

よって、2020年9月30日より前に離職した場合は、給付制限期間は3か月となる点にご注意ください。

給付制限中に行う求職活動について

失業給付を受給するためには、労働の意思・能力があることが前提となります。

そのため、待期期間満了後から設定される失業認定日に、労働の意思・能力があると認めてもらうには、求職活動の実績が必要となります。

ちなみに、失業認定日は4週間ごとに設定され、基本的には失業認定日毎に2回以上の求職活動実績を報告することになります。

給付制限がある場合、待期満了日後から2回目の失業認定日までの期間は、3回以上の求職活動実績が必要となります。

また、そのうち1回の求職活動は、待期期間満了後から初回の失業認定日までの間に行う必要があります。

求職活動として認められる主な活動は以下の通りです。

  1. 求人への応募
  2. ハローワーク等が行う職業相談、職業紹介等
  3. ハローワーク等が行う各種講習、セミナーの受講
  4. 許可・届出のある民間事業者(民間職業紹介事業者、労働者派遣事業者)が行う職業相談、職業紹介等
  5. 許可・届出のある民間事業者(民間職業紹介事業者、労働者派遣事業者)が行う求職活動方法等を指導するセミナー等の受講
  6. 公的機関等が行う職業相談等
  7. 公的機関等が行う各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講、参加等
  8. 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験等

その他求職活動実績にあたるかどうか不明の場合は、ハローワークに問い合わせることで確認ができます。

求職活動を行っていないとみなされると、失業保険が不認定となり、受給できなくなる可能性もあるので、注意してください。

給付制限中に注意すべき就労について

2か月の給付制限期間中、全くの無収入状態だと、生活が苦しくなってしまうことも考えられます。

そのため、アルバイトが認められています。

ただし、このアルバイトは、雇用保険に加入しない範囲に抑える必要があります。

理由は、雇用保険に加入してしまうと、就職した(=失業状態でない)と判断され、失業保険を受け取れなくなってしまうためです。

雇用保険の適用条件は、「1週間の所定労働時間が20時間以上」、かつ、「31日以上の雇用見込みあり」です。

雇用保険に加入せずにアルバイトをするには、勤務時間が週20時間未満になるように、あらかじめアルバイト先と調整しておくと安心でしょう。

失業保険制度でもらえる手当―給付制限中の再就職等

それでは、給付制限中に再就職先が決まってしまった場合、失業保険制度の恩恵を受けることは一切できないのでしょうか。

確かに給付制限中は失業保険を受け取れませんが、その代わり、一定の要件を満たせば受け取ることのできる、ほかの手当も存在します。

また、例外的に、給付制限を解除できるケースもあります。

どういったものか、みていきましょう。

失業保険給付制限期間中の再就職手当

失業者の早期再就職を促進するために設けられた制度で、以下の支給要件を全て満たした場合に、再就職手当が支給されます。

  1. 失業保険受給手続き後、7日間の待期期間満了後に、就職または事業を開始した
  2. 就職日の前日までの失業認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上である
  3. 離職した、以前の会社に再び就職したものでなく、また、離職した前の会社と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない会社に就職した
  4. 給付制限がある方は、受給資格決定日から待機期間満了後1カ月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものである
  5. 1年を超えて勤務することが確実である
  6. 原則として、雇用保険の被保険者となっている
  7. 過去3年以内の就職について、再就職手当、または常用就職支度手当の支給を受けたことがない
  8. 受給資格決定前から採用が内定していた会社に雇用されたものではない

簡単に言うと、給付制限期間中に再就職手当を受けるため気を付けなければならない点は、以下の通りです。

  • 待期期間満了後に、就職した
  • 内定は受給資格決定前にもらったものではなく、内定先は前職と同じもしくは系列会社ではない
  • 雇用保険の被保険者となり、1年以上勤務することが確実である
  • 過去3年以内に同種の手当を受け取っていない
  • 受給資格決定日から待期期間満了後1カ月内に就職した場合は、就職ルートが限定される

上記条件を満たした場合、給付制限期間中でも、再就職手当を受け取ることができます。

失業保険給付制限期間中の就業手当

それでは、再就職先での雇用期間が1年未満だった場合、手当はもらえないのかというと、そうではありません。

1年以上の雇用契約で受け取れる再就職手当が存在する一方で、1年未満の雇用契約となってしまった時に受け取れる手当が、就業手当です。

さらに、この就業手当を受けた場合でも、そのあと、雇用先での仕事が安定した職業になったと認められたときは、再就職手当の支給対象になることもあります。

公共職業訓練―給付制限の解除

給付制限を解除する方法もあります。

それは、公共職業訓練を受けることです。

公共職業訓練とは、キャリアアップや希望する就職を実現するために、必要な知識やスキルを習得することができる公的な制度のことです。

情報技術、ビジネス、介護福祉等、様々な訓練コースが用意されています。

基本的には無料で受けることができるうえ、公共職業訓練期間が失業保険の給付期間を超える場合、給付期間が延長されるメリットもあります。

公共職業訓練の手続きは、ハローワークで行うことができます。

入校するには、訓練実施施設が行う適性検査に合格する必要もありますが、適性検査の内容については、希望する訓練コースの案内等で確認が可能です。

給付制限期間中に公共職業訓練を受ける場合、給付制限が解除される日は、公共職業訓練が開校した日となるため、その日から、失業保険の支給対象になります。

最後に

自己都合退職の場合、2か月間もの給付制限があるため、「もらえないだろう」と失業保険制度の利用自体を諦めてしまう方もいるかもしれません。

しかし、この記事で、給付制限期間中に再就職をすることや、公共職業訓練を受けることで、給付制限があっても失業保険制度の恩恵を受けられる方法をご紹介しました。

自己都合退職であっても、失業保険は再就職を支援するものですから、様々な方向から、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。