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退職して転職活動を始めたけれど、次の仕事が見つからない…そんな時に利用したいのが失業保険の制度です。
ただし、解雇や倒産で退職した時と違い、自分の意思で退職した場合、失業保険を受給する際に給付制限というものがかかります。
この記事では、いわゆる「自己都合退職」で失業保険制度を利用する際に知っておきたいことについてご紹介します。
なお、基本的な失業保険の受給制度について確認したい場合、「失業保険を受給するには?離職理由と待期期間・給付制限の関係」をご覧ください。
目次
失業保険とは、失業された方が安定した生活を送りつつ、再就職できるよう、国が求職活動を支援するものです。
失業保険は、本人の意思に反して離職した人をより手厚く保護するような制度となっています。
そのため、本人の意思に反して離職することになった「会社都合退職」と違い、「自己都合退職」をした場合、給付制限というものが付加されます。
それでは、給付制限の概要から、給付制限中に気を付けるべき点まで、確認していきましょう。
給付制限とは
失業保険の受給手続き日から7日間経過した翌日から数えて2ヵ月間の、基本手当を受給できない期間のこと
※給付制限があるのは、正当な理由なく自己都合で離職した者のみです。
会社を離職した際に受け取れる失業保険の基本手当は、申請してすぐには受け取れない場合があります。
なぜなら、離職してすぐに手当が受け取れるとなると、労働者の安易な離職を招くことになってしまうためです。
なお、2020年9月30日より前に離職した場合・懲戒解雇など自己の責めに帰すべき理由で解雇された場合は、給付制限期間は3か月となる点にご注意ください。
失業者が以下の条件に当てはまる場合、失業保険の給付制限はありません。
おおまかに離職理由で給付制限を分けると、以下のようになります。
離職理由 | 給付制限期間 |
---|---|
会社都合退職(特定受給資格者) | なし |
正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者) | なし |
懲戒解雇 | 3ヶ月 |
令和2年9月30日以降の正当な理由のない自己都合退職 | 2ヵ月 |
令和2年9月30日以前の正当な理由のある自己都合退職 | 3ヶ月 |
失業保険の給付制限を含めた流れは、以下のようになっています。
離職後、会社から届く離職票や本人確認証明書類、印鑑などを持ってハローワークで求職手続きならびに失業保険の受給手続きを行います。
この後に以前は雇用保険説明会への出席が必要でしたが、現在は雇用保険についての解説動画の視聴で代替されています。
受給手続き後、失業の状態が7日間経過するまでは基本手当を受け取ることができません。
この期間を、待期期間といいます。
待期期間満了後、その翌日から給付制限期間が設けられることがあります。
この間は、失業保険の基本手当は受け取れません。
待期期間満了後(給付制限期間がある場合はその後)、失業の認定が行われ、申込み時から失業状態が続いていることが確認されます。
以降は原則として4週に1度、ハローワークに失業認定申告書を提出することで「まだ失業状態が続いている」ことを証明し、基本手当を受給していきます。
失業の認定を受けてから、1週間程度でご自身の普通預金口座への振込が行われます。
もしもあなたが失業保険を受給しようとするにあたり、給付制限があった場合、その期間に何ができるのでしょうか。
失業給付を受給するためには、労働の意思・能力があることが前提となります。
そのため、待期期間満了後から設定される失業認定日に、労働の意思・能力があると認めてもらうには、求職活動の実績が必要となります。
ちなみに、失業認定日は4週間ごとに設定され、基本的には失業認定日毎に2回以上の求職活動実績を報告することになります。
給付制限がある場合、待期満了日後から2回目の失業認定日までの期間は、3回以上の求職活動実績が必要となります。
また、そのうち1回の求職活動は、待期期間満了後から初回の失業認定日までの間に行う必要があります。
求職活動として認められる主な活動は以下の通りです。
その他求職活動実績にあたるかどうか不明の場合は、ハローワークに問い合わせることで確認ができます。
求職活動を行っていないとみなされると、失業保険が不認定となり、受給できなくなる可能性もあるので、注意してください。
2か月の給付制限期間中、全くの無収入状態だと、生活が苦しくなってしまうことも考えられます。
そのため、アルバイトが認められています。
ただし、このアルバイトは、雇用保険に加入しない範囲に抑える必要があります。
理由は、雇用保険に加入してしまうと、就職した(=失業状態でない)と判断され、失業保険を受け取れなくなってしまうためです。
雇用保険の適用条件は、「1週間の所定労働時間が20時間以上」、かつ、「31日以上の雇用見込みあり」です。
雇用保険に加入せずにアルバイトをするには、勤務時間が週20時間未満になるように、あらかじめアルバイト先と調整しておくと安心でしょう。
それでは、給付制限中に再就職先が決まってしまった場合、失業保険制度の恩恵を受けることは一切できないのでしょうか。
確かに給付制限中は失業保険を受け取れませんが、その代わり、一定の要件を満たせば受け取ることのできる、ほかの手当も存在します。
また、例外的に、給付制限を解除できるケースもあります。
どういったものか、みていきましょう。
失業者の早期再就職を促進するために設けられた制度で、以下の支給要件を全て満たした場合に、再就職手当が支給されます。
簡単に言うと、給付制限期間中に再就職手当を受けるため気を付けなければならない点は、以下の通りです。
上記条件を満たした場合、給付制限期間中でも、再就職手当を受け取ることができます。
それでは、再就職先での雇用期間が1年未満だった場合、手当はもらえないのかというと、そうではありません。
1年以上の雇用契約で受け取れる再就職手当が存在する一方で、1年未満の雇用契約となってしまった時に受け取れる手当が、就業手当です。
さらに、この就業手当を受けた場合でも、そのあと、雇用先での仕事が安定した職業になったと認められたときは、再就職手当の支給対象になることもあります。
給付制限を解除する方法もあります。
それは、公共職業訓練を受けることです。
公共職業訓練とは、キャリアアップや希望する就職を実現するために、必要な知識やスキルを習得することができる公的な制度のことです。
情報技術、ビジネス、介護福祉等、様々な訓練コースが用意されています。
基本的には無料で受けることができるうえ、公共職業訓練期間が失業保険の給付期間を超える場合、給付期間が延長されるメリットもあります。
公共職業訓練の手続きは、ハローワークで行うことができます。
入校するには、訓練実施施設が行う適性検査に合格する必要もありますが、適性検査の内容については、希望する訓練コースの案内等で確認が可能です。
給付制限期間中に公共職業訓練を受ける場合、給付制限が解除される日は、公共職業訓練が開校した日となるため、その日から、失業保険の支給対象になります。
自己都合退職の場合、2か月間もの給付制限があるため、「もらえないだろう」と失業保険制度の利用自体を諦めてしまう方もいるかもしれません。
しかし、この記事で、給付制限期間中に再就職をすることや、公共職業訓練を受けることで、給付制限があっても失業保険制度の恩恵を受けられる方法をご紹介しました。
自己都合退職であっても、失業保険は再就職を支援するものですから、様々な方向から、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。