失業保険はいくらもらえる?知っておきたい退職後にもらえるお金

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

失業保険をいくらもらえるかは退職を検討している人にとっては重要な要素ですが、失業保険の内容や給付される金額の計算方法などはあまり知られておらず、よくわからないのが現状でしょう。

難しそうというイメージが大きい失業保険ですが、きちんと情報を整理するとそこまで難しいものではなく、あなた一人だけでも失業保険をいくらもらえるのか導き出すことは可能です。

今回の記事では失業保険がいくらもらえるのか、またどのくらいの期間もらえるのかなど失業保険にまつわる疑問点を中心に解説いたします。

失業保険でもらえる金額・期間

失業保険という単語を聞くと「退職したらもらえるお金」のイメージがありますが、いくらもらえて、どのくらいの期間給付されるのか一般的ではないのでうやむやにしてしまいがちです。

しかし失業保険は法律に計算方法など細かく定めているので、以下のように当てはめて考えていくと、ご自身がもらえる失業保険の内容を導くことはそう難しいことでもありません。

失業保険の計算方法

失業保険がいくらもらえるかは、計算方法によって変化します。

失業保険は『保険』と名前こそついていますが、実際は雇用保険法というれっきとした法律によって定められており、一律にいくらもらえるというわけではないのです。

計算方法ですが、退職前に得ていた給料半年分から1日あたりの給与(賃金日額)を算出して、賃金日額に応じたパーセンテージで基本手当日額という値を出します。

賃金日額は退職前6ヶ月の給与総額÷180日×(45~80%)で算出します。

具体的には月10万円で働いている場合だと、月10万円×6ヵ月で1日あたりの給料を算出し、半年分の日数である180日を上記で算出した60万円を割りますので、賃金日額は3,333円という値が算出されます。

そして年齢に応じた給付率が定められていますので、賃金日額に定められた給付率を掛け合わせれば、あなたが失業保険をいくらもらえるかのベース(基本手当日額)を割り出せ、総額を導き出せるのです。

給付される失業保険の総額

失業保険で実際にいくらもらえるかですが、前述した基本手当日額と退職した経緯によって変わります。

失業保険は前述のように一律でいくらもらえるという制度ではなく、基本手当日額をベースに失業保険(雇用保険)への加入期間に応じて失業保険をもらえる日数が変化します。

たとえば自己都合退職をしたとしても失業保険に加入していた期間によって給付される日数が違い、10年未満であれば90日、10年以上20年未満であれば120日、そして20年以上であれば150日と開きがあるのです(65歳未満の場合)。

つまり具体的な金額は基本手当日額に失業保険加入期間に応じた日数分だけ給付されますので、基本手当日額が5,000円で自己都合退職で失業保険に10年未満の加入でしたら5,000円×90日となり、受給額は45万円となります。

給付される期間

失業保険が給付される期間ですが、退職した経緯と失業保険の加入期間に応じて変化します。

たとえば自己都合退職は先のように90日から150日ですが、会社都合で退職した場合は退職時の年齢、そして自己都合退職よりもより細かく期間を定められた加入期間に応じた日数が給付される期間となるのです。

会社都合で退職したのが30歳未満なのか、30歳以上35歳未満だったのかのように細かく分岐しますし、失業保険の加入期間も1年未満なのか、1年以上5年未満、5年以上10年未満といったように細かく分かれます。

具体的には、あなたの年齢が34歳で失業保険に9年加入していた場合において会社都合で退職した際の給付日数は180日となるのです。

失業保険以外でももらえるお金がある

退職したら収入源がなくなりますから失業保険にばかり目がいきがちですが、実は退職してもらえるお金は失業保険だけではありません。

以下のようにあらかじめ知っておいて上手く行動することで、失業保険以外にももらえるお金はありますので、ぜひ覚えておかれるとよいでしょう。

技能習得手当

失業保険以外にもらえるお金として、技能習得手当というものがあります。

技能習得手当は再就職のために新しいことを学んだり、知識を深めるために努力した人に対して支払われる奨励金のようなもので、公共職業訓練を受講することで支給されるのです。

公共職業訓練という文字だけみると堅苦しそうにも思われますが、たとえば訓練内容にはウェブデザイナーや医療・調剤事務、貿易実務のような専門的な分野を受講でき、近年求められやすい職業の知識を身につけられます。

特に近年では託児付きのプログラムもありますので、育児で勉強する時間がないという方でも受講しやすい環境が整えられつつあります(大阪ハローワークの場合)。

ハローワークによってどのようなプログラムがあるかはそれぞれなので、詳細は最寄りのハローワークのホームページをご覧ください。

寄宿手当

失業保険以外にもらえるお金として、寄宿手当もあげられるでしょう。

寄宿手当とは一緒に住んでいる家族と離れて公共職業訓練を受ける際に、訓練施設に付属する宿泊所を利用した人に支給されます。

ただし月額が10,700円であることと、ハローワークが必要性を認めた方が対象となりますので、支給されるかご不安でしたら事前に相談されるとよいでしょう。

失業保険の給付で注意したいこと

失業保険は単語こそ世間でも馴染んでいる言葉ですが、実はいくつか知っておかないと思わぬ結果となる場合もあります。

具体的に以下のような点で不意を突かれることが多いので、失業保険の給付を検討している場合は特に覚えておかなければいけません。

再就職する意思が必要

失業保険の給付にあたっては、再就職する意思が必要です。

失業保険は再就職する意思があるのに就職できない人をカバーしようとする給付金ですので、退職後に再就職する意思がない人には支給は認められません。

たとえば「建築士になりたいので、大学に通います」という人だと勉強の意思はあれど再就職の意思は認められないということです。

ただし技能習得手当に必要な職業訓練のように、就職活動中において就職のための勉強は支給の対象になりますから、勉学がすべていけないというわけではありません。

失業保険に加入していればいいわけではない

失業保険で気をつけなければいけないのは、失業保険に加入していれば給付されるわけではないということもあります。

一般的には失業保険に加入していれば誰でも給付されるような印象がありますが、退職した日の前から2年の間に通算して12ヶ月以上(会社都合の場合は退職前1年の間に6ヶ月以上)加入していなければなりません。

わかりやすくいうと、働くのがはじめてで半年だけ働いて自己都合で退職するケースでは失業保険への加入期間が半年しかないので、失業保険の手続きができないということです。

退職の経緯によって給付まで時間がかかる

失業保険は手続きすれば早めに給付されるイメージもありますが、実際は退職の経緯によって給付までに時間がかかる場合があります。

たとえば自己都合で退職した場合、失業の認定を受けても2回目の失業認定の1週間後に失業保険(基本手当)が支給されますが、会社都合の場合では1回目の失業認定から1週間後に支給されるのです。

さらに細かく説明すると、自己都合退職の場合は1回目の失業認定から7日間と2ヶ月、そして2回目の失業認定から1週間後の給付なので会社都合との給付までの時間に違いがあります。

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執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。