失業保険はいくらもらえる?知っておきたい退職後にもらえるお金

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

退職後にもらえるお金|失業保険いくらもらえる?

失業保険をいくらもらえるかは退職を検討している人にとっては重要な要素ですが、失業保険の内容や給付される金額の計算方法などはあまり知られておらず、よくわからないのが現状でしょう。

難しそうというイメージが大きい失業保険ですが、きちんと情報を整理するとそこまで難しいものではなく、あなた一人だけでも失業保険をいくらもらえるのか導き出すことは可能です。

今回の記事では失業保険がいくらもらえるのか、またどのくらいの期間もらえるのかなど失業保険にまつわる疑問点を中心に解説いたします。

失業保険の計算方法は?

失業保険(雇用保険)とは、労働者が失業した場合などに政府から様々な手当が受けられる制度です。

具体的には、以下のようなときに手当を受け取ることができます。

  • 労働者が失業したとき
  • 労働者が自ら職業訓練を受けたとき
  • 労働者が子供を養育するため休業したとき

ここからは、労働者の方が退職や解雇、倒産などで「失業したとき」にもらえる「基本手当」がいくらになるかについて、考えていきましょう。

失業保険の基本手当の計算式は?

失業保険の基本手当日額(基本手当の1日あたりの金額)の計算式は以下の通りです。

基本手当日額=賃金日額×給付率

賃金日額とは労働者の1日あたりの賃金を指し、「離職した日の直前6ヶ月に支払われた給与÷180日」で計算されます。
ここでの給与には、一般に通勤手当や住宅手当は含まれ、賞与や退職金などは含まれません。

給付率とは、賃金日額の何パーセントぶんを失業保険の基本手当日額として受給できるかを示した割合です。
離職した日(基準日)に何歳か、賃金日額がいくらかで給付率が変わってきます。

それでは、実際にいくら受け取れるのかを見ていきましょう。

(1)30歳未満の失業保険はいくら?

離職した日に30歳未満だった場合、受け取れる失業保険の基本手当日額は以下のようになります。

賃金日額基本手当日額
2,574円以上 5,030円未満賃金日額×80%
5,030円以上12,390円以下賃金日額×80~50%*
12,390円を超えて13,700円以下賃金日額×50%
13,700円(上限額)を超える6,850円
*基本手当日額= 賃金日額×80%-{(賃金日額-5030 )/7360}×賃金日額×30%

例えば離職時28歳だった方の賃金日額が10,000円だった場合、失業保険の基本手当は以下のようになります。

10,000×0.8-(4970/7360)×10,000×0.3
≒8,000-2,026
≒5,974円

(2)30歳以上45歳未満の失業保険はいくら?

離職した日に30歳以上45歳未満だった場合、受け取れる失業保険の基本手当日額は以下のようになります。

賃金日額基本手当日額
2,574円以上 5,030円未満賃金日額×80%
5,030円以上12,390円以下賃金日額×80~50%*
12,390円を超えて15,210円以下賃金日額×50%
15,210円(上限額)を超える7,605円
*基本手当日額= 賃金日額×80%-{(賃金日額-5030 )/7360}×賃金日額×30%

例えば離職時30歳だった方の賃金日額が5,000円だった場合、基本手当日額は以下のようになります。

5,000×0.8=4,000円

(3)45歳以上60歳未満の失業保険はいくら?

離職した日に45歳以上60歳未満だった場合、受け取れる失業保険の基本手当日額は以下のようになります。

賃金日額基本手当日額
2,574円以上 5,030円未満賃金日額×80%
5,030円以上12,390円以下賃金日額×80~50%*
12,390円を超えて16,740円以下賃金日額×50%
16,740円(上限額)を超える8,370円
*基本手当日額= 賃金日額×80%-{(賃金日額-5030 )/7360}×賃金日額×30%

例えば離職時50歳だった方の賃金日額が18,000円だった場合、基本手当日額は8,370円(上限額)となります。

(4)60歳以上65歳未満の失業保険はいくら?

離職した日に60歳以上65歳未満だった場合、受け取れる失業保険の基本手当日額は以下のようになります。

賃金日額基本手当日額
2,574円以上 5,030円未満賃金日額×80%
5,030円以上11,140円以下賃金日額×80~45%*
11,140円を超えて15,970円以下賃金日額×45%
15,970円(上限額)を超える7,186円
*①基本手当日額= 賃金日額×80%-{(賃金日額-5030 )/6110}×賃金日額×35%
②基本手当日額=賃金日額×5%+4456
①②のいずれか低い方の額

例えば離職時64歳だった方の賃金日額が10,000円だった場合、基本手当日額は以下のようになります。

①10,000×0.8-(4970/6110)×10,000×0.35
 ≒8,000-2847
  ≒5,153

②10,000×0.05+4,456=4,956

①、②の金額のうち低い方、すなわち4,956円が基本手当日額となります。

(5)65歳以上の失業保険はいくら?

65歳を超えた失業者に対しては、失業保険ではなく高年齢求職者給付金という一時金が支払われます。

給付金の金額は、以下のようになっています。

勤続年数給付金額
1年未満基本手当日額×30日ぶん
1年以上基本手当日額×50日ぶん

失業保険の給付期間・総額はいくら?

失業保険で実際に総額いくらもらえるかは、基本手当日額×給付期間(給付日数)で決定されます。

給付期間が何日になるかについては、以下の要素が関わってきます。

  • 解雇、倒産、退職勧奨などにより離職した特定受給資格者にあたるか
  • 雇い止め、家族の介護、希望退職募集への応募などにより離職した特定理由離職者にあたるか
  • 離職時の年齢は何歳か
  • 雇用保険に加入していた期間は何年か

実際に失業保険の給付日数が何日になるか、見ていきましょう。

特定受給資格者、特定理由離職者の場合

解雇や倒産、退職勧奨、リストラなどによって離職した場合の失業保険の給付期間は、以下のようになります。

年齢\雇用保険加入期間1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30~34歳90日120日180日210日240日
35~44歳90日150日180日240日270日
45~59歳90日180日240日270日330日
60~64歳90日150日180日210日240日

仮に離職時の年齢が40歳、雇用保険の被保険者である期間が18年である労働者の失業保険給付期間は、240日間となります。

それ以外の理由による離職の場合

ご自身のキャリアアップや結婚、引っ越しのための離職(自己都合退職)、あるいは懲戒解雇されたような場合の失業保険の給付期間は、以下のようになります。

年齢\雇用保険加入期間1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日120日150日

失業保険の基本手当以外でももらえるお金は?

退職したら収入源がなくなりますから失業保険にばかり目がいきがちですが、実は退職してもらえるお金は失業保険だけではありません。

以下のようにあらかじめ知っておいて上手く行動することで、失業保険以外にももらえるお金はありますので、ぜひ覚えておかれるとよいでしょう。

その他の失業保険①技能習得手当

技能習得手当は再就職のために新しいことを学んだり、知識を深めるために努力した人に対して支払われる奨励金のようなもので、公共職業訓練を受講することで支給されるのです。

公共職業訓練という文字だけみると堅苦しそうにも思われますが、たとえば訓練内容にはウェブデザイナーや医療・調剤事務、貿易実務のような専門的な分野を受講でき、近年求められやすい職業の知識を身につけられます。

特に近年では託児付きのプログラムもありますので、育児で勉強する時間がないという方でも受講しやすい環境が整えられつつあります(大阪ハローワークの場合)。

ハローワークによってどのようなプログラムがあるかはそれぞれなので、詳細は最寄りのハローワークのホームページをご覧ください。

その他の失業保険②寄宿手当

寄宿手当とは一緒に住んでいる家族と離れて公共職業訓練を受ける際に、訓練施設に付属する宿泊所を利用した人に支給されます。

ただし月額が10,700円と定額であり、ハローワークが必要性を認めた方が対象となりますので、支給されるかご不安でしたら事前に相談されるとよいでしょう。

その他の失業保険③再就職手当

再就職手当とは、失業保険を受給していた労働者が早期に安定した職業についたとき、一定の条件のもと支払われる手当です。

再就職手当の計算方法については、以下のような基準から金額が決定されます。

基本手当の支給残日数再就職手当の支給額
所定給付日数の3分の2以上の場合支給残日数×基本手当日額×70%
所定給付日数の3分の1以上の場合支給残日数×基本手当日額×60%
基本手当日額の上限は6,195円(60歳以上65歳未満は5,013円)

失業保険の給付で注意したいこと

失業保険は単語こそ世間でも馴染んでいる言葉ですが、実はいくつか知っておかないと思わぬ結果となる場合もあります。

具体的に以下のような点で不意を突かれることが多いので、失業保険の給付を検討している場合は特に覚えておかなければいけません。

再就職する意思が必要

失業保険の給付にあたっては、再就職する意思が必要です。

失業保険は再就職する意思があるのに就職できない人をカバーしようとする給付金ですので、退職後に再就職する意思がない人には支給は認められません。

たとえば「建築士になりたいので、大学に通います」という人だと勉強の意思はあれど再就職の意思は認められないということです。

ただし技能習得手当に必要な職業訓練のように、就職活動中において就職のための勉強は支給の対象になりますから、勉学がすべていけないというわけではありません。

失業保険に加入していればいいわけではない

失業保険で気をつけなければいけないのは、失業保険に加入していれば給付されるわけではないということもあります。

一般的には失業保険に加入していれば誰でも給付されるような印象がありますが、退職した日の前から2年の間に通算して12ヶ月以上(会社都合の場合は退職前1年の間に6ヶ月以上)加入していなければなりません。

わかりやすくいうと、働くのがはじめてで半年だけ働いて自己都合で退職するケースでは失業保険への加入期間が半年しかないので、失業保険の手続きができないということです。

退職理由によって給付まで時間がかかる

失業保険は手続きすれば早めに給付されるイメージもありますが、実際は退職の経緯によって給付までに時間がかかる場合があります。

たとえば自己都合で退職した場合、失業の認定を受けても2回目の失業認定の1週間後に失業保険(基本手当)が支給されますが、会社都合の場合では1回目の失業認定から1週間後に支給されるのです。

さらに細かく説明すると、自己都合退職の場合は1回目の失業認定から7日間と2ヶ月、そして2回目の失業認定から1週間後の給付なので会社都合との給付までの時間に違いがあります。

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執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。