残業代請求を成功に導く3つのコツ

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

残業をしているにもかかわらず会社が残業代を支給しない場合は、当然ながら会社に残業代の請求をすることができます。

これは法律の建前ですが、実際に会社が支払いに応じない場合には、会社と交渉し、場合によっては裁判をしなければなりません。

そこで、このページでは残業代請求を巡る争いになった場合に成功するためのコツを、3つに分けてお伝えします。

残業代請求を成功に導く鍵は残業の証拠

残業代請求を成功に導くコツの1つ目は残業をした証拠をきちんと集めることです。

残業代請求は最終的には裁判をして争われる

会社が残業代の支払いをしない場合、労働者は会社と支払いを求めて交渉をするのですが、もし交渉をしても残業代の支払いに応じない場合には、最終的に裁判をせざるを得ません。

残業代請求を成功に導くために、残業の証拠が必要である、というのは裁判の仕組みと関連しています。

残業代請求の裁判では原告である労働者が証拠を集めなければならない

残業代請求の裁判を起こす場合、民事に関する裁判の原則からすると、残業をしたことの証拠を集めなければならないのは、原告である労働者の側です。

もし、労働者側で残業に関する証拠を集められず、残業をしたことが立証できなくなると、裁判をしたとしても負けることになります。

この状態は会社側とすれば、労働者側が証拠を持っていないことを見越せる状況ならば、裁判をされても負けることは無い、と支払いを強きに拒むことができることになります。

そのため、労働者側としての対策は、なるべく証拠は集めるべきということになります。

証拠を収集していれば請求がスムーズに行われる場合も

もし、労働者側が証拠をきちんと収集していれば、会社側としてもむやみに争って裁判をされると不利になります。

もし裁判で争われる場合には、付加金というペナルティが課されて、労働者に倍の金銭の支払いをしなければならない場合があるからです。

そのため、証拠を持っていれば、裁判をしなくても会社が残業代の支払いに応じてくるということが期待できます。

残業代請求の代表的な証拠をいくつかご紹介

残業代請求をする場合にどのような証拠があるか、代表的なものをいくつかご紹介します。

まず最初に、タイムカードが挙げられます。

紙になっているものを打刻するような場合でも、インターネットを介して申請をするような場合でも、かならずコピーや印刷をして、手元に持っておくことが望ましいといえます。

退職した後に会社に開示を請求したとしても、証拠を隠滅されるおそれがあるからです。

次に、オフィスワーカーの方であれば、パソコンのアクセスログやメールの送受信履歴(日時がわかる状態のもの)が挙げられます。

会社からタイムカードを定時で切るように強いられていたような場合でも、パソコンに残っているこれらの情報から、残業をしていたことを立証できる場合があります。

このようなものの取得が難しい場合に、メモを残しておけば、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、無いよりはあった方がいいものの、メモだけでは自分でどうにでも記載ができることになるので、証拠としての価値は低いといえます。

メモをしていく中で、客観的な証拠として得られるものはコツコツ集めていくことが鍵になります。

残業代を請求したときに会社がしてくる反論をきちんと把握する必要

残業代の請求をした場合に、会社は様々な反論をして、残業代の支払い義務がないと主張します。

残業代請求を成功に導く2つ目のコツは、会社の反論に的確に反論をすることです。

その代表例をいくつかご紹介します。

固定残業代を支払っているという反論には所定時間以上の残業があると反論

現在多くの企業でみなし残業・固定残業代制度の導入がされており、これを理由に追加の残業代を払わないと反論をしてくることがあります。

固定残業代は、あらかじめ残業代を含んだ給与の支払いをすることになっているものです。

例えば、20時間分の残業代○○万円を含む、月給○○万円、という給与で労働契約を結んだような場合です。

この場合に、20時間以上の残業をした場合には、20時間を超える残業分についての残業代の支払いはしなければならず、固定残業代の支払いをしているからといって免除されるものではありません。

そのため、固定残業代を支払っていると反論されても、それを上回る残業が発生していて、固定残業代の支払いは理由にならないと反論します。

残業の指示はしていない

次に、残業の指示をしていない、という反論が考えられます。

残業といっても、会社に居て無尽蔵に残業代をもらえる訳ではなく、会社が業務として残業を指示した場合に認められるものです。

しかし、残業の指示は明示的に行っているものだけではなく、定時間近に残業が必要な業務の指示をするなど、黙示的なものでも指示があったといえます。

また、自主的な残業を会社が黙認しているような場合にも、指示があったとされる場合があります。

残業をしていることと、それに対して会社がどのような黙示的な指示をしたと評価できるかを指摘して反論をします。

タイムカードは定時までになっているので残業をしていない

タイムカードを強制的に切らせているような場合には、会社はそもそも残業をしていないので、残業代の支払い義務はないと反論してくる可能性があります。

このような主張をしてきた場合には、パソコンのアクセスログ・メールの送受信履歴など、タイムカード後も仕事をしていたことを主張します。

弁護士に依頼をすると残業代請求をスムーズにすることができる

残業代請求に成功するための3つめのコツは、弁護士に依頼をすることです。

確かに、残業代請求については、自分で請求をすることもできます。

しかし、たとえ弁護士費用がかかっても、弁護士に依頼したほうが、より多くの金額を得てスムーズに解決することが可能です。

その理由としては次の2つがあります。

法律知識・手続知識でサポートをしてくれる

残業代請求の成功のためのコツの1つ目として、証拠が重要であることをお伝えしましたが、どのような証拠を集めるべきかは人によって異なります。

また、上記でいくつか会社がしてくる代表的な反論をご紹介しましたが、一つ一つ的確に応える必要があり、どのような反論をしてきてもいいように準備しておく必要があります。

裁判や労働審判を利用する場合には、手続きを進行するための知識も欠かせません。

弁護士に依頼をすると、法律・手続面でのサポートを受けることができます。

必要以上に感情的にならずに請求をすることができスムーズな解決が目指せる

法律的には、残業代請求は未払いの残業代があるのか・ないのか、あるとしていくらなのか、どのようにして支払うのか、という問題です。

しかし、労働者としては、適切な残業代をもらえなかったことへの不満があり、会社としては、他の社員も受け取っていない・雇ってあげていた恩を忘れている、などの不満がある、ということがあります。

そのため、面と向かった請求によって、必要以上に感情的になって、鋭い対立が生じてしまい、交渉がうまくまとまらなくなることがあります。

弁護士に依頼をすれば、淡々と請求をこなしてもらえ、当事者が面と向かうこともないので、手続きがスムーズに行くことが期待できます。

まとめ

このページでは、残業代請求に成功するためのコツについてお伝えしてきました。

残業代請求をスムーズにすすめるためにも、なるべく早い段階から弁護士に相談しておくのが良いでしょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。