最低賃金とは?給与を正しく受け取るために知っておきたい基礎知識

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

39 eyecatch

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

誰でも一度は「この労働に対してこの時給は割に合わない」とか、「時給が低い」などと賃金に対して不満を感じたことがあるでしょう。

正しい給与を受け取っているのであれば問題ありませんが、勤務先が提示する賃金額をそのまま鵜呑みにするのは危険です。

正社員や契約社員、アルバイト、パートなど雇用形態を問わず、給与を正しく受け取るためには、「最低賃金」についてしっかり理解しておかなければいけません。

特に正社員や契約社員など日給制や月給制で働く労働者の場合は、時間給を把握しづらいため、最低賃金額を下回っている、つまり金額をごまかされている可能性もあります。

では、給与を正しく受け取るために、労働者が知っておくべき最低賃金の基礎知識についてみていきましょう。

最低賃金とは?|最低賃金は2種類ある

最低賃金は、雇用主が賃金を支払う際に守らなければならないルールです。

しかし、そのルールを守らず、最低賃金を下回った金額で労働者を雇用する企業も中には存在しています。

あなたは、正しい金額の給与を受け取ることができているでしょうか?

では、雇用形態を問わず、労働者が損をしないよう、知っておくべき最低賃金のルールを確認しておきましょう。

最低賃金とは?

最低賃金とは、雇用主である企業が、労働者へ支払わなくてはならないと国が定めている1時間あたりの賃金(時給)の最低金額のことです。

雇用主が自由に賃金を決めることができると、不当な賃金で労働者を雇用することが考えられます。

そのため、国が労働環境が理不尽なものとならないよう、また労働者に公平な環境を与えることを目的とし、最低賃金制度が導入されました。

仮に雇用主と労働者の双方が合意の上で、最低賃金を下回る賃金で労働契約を結んでいたとしても、それは法によって無効となります。

最低賃金法第4条2項には、「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となったた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。」と定められています。

つまり、法によって無効となるだけでなく、最低賃金額と同様の定めとみなされるため、雇用主には定められた最低賃金額との差額を支払わなければいけません。

最低賃金は2種類ある

最低賃金は、「地域別最低賃金」「特定最低賃金」の2種類あります。

それぞれの地域の物価や業種の特性を考慮し、毎年10月に最低賃金額が見直されます。

最低賃金額は、雇用形態を問わずアルバイトやパートにも適用されます。

したがって、基本的には最低賃金額を下回る賃金(時給)で募集が開始されることはありませんが、中には低賃金で労働者を雇用するブラック企業も存在するので、最低賃金額を把握しておくことはとても重要です。

では、2種類の最低賃金について詳しくみていきましょう。

地域別最低賃金とは?

地域別最低賃金とは、それぞれの都道府県ごとに決定する最低賃金です。

地域によって物価などの事情が異なるため、地域ごとの事情を加味した上で決定されます。

雇用形態や職種を問わず、すべての労働者に適用されますので、自分の住む場所や働く予定地の最低賃金を確認しましょう。

なお、試用期間中の方、精神・身体の障害により労働能力が著しく低い方、他の従業員よりも簡易な業務に従事する方などは、地域別最低賃金の適用外となります。

特定最低賃金とは?

特定最低賃金とは、関係する労働者・雇用主の申し出に基づき、最低賃金審議会が地域別最低賃金よりも高い水準の最低賃金を定めることが必要と認めた特定の産業についての最低賃金です。

特定業種には、製造業や鉄鋼業、特定商品の小売業など、対象となる業種は地域によって異なります。

適用対象者は、特定の産業の基幹的労働者(18歳未満又は65歳以上や技能習得中の人を除く)です。

地域最低賃金と特定最低賃金の両方が適用対象となる労働者の場合は、より高い方の最低賃金額を支払わなければなりません(最低賃金法第6条1項)。

給与形態別の最低賃金の計算方法

各企業又は雇用形態によって、時給制・日給制・月給制と給与形態は異なります。

時給制であれば、地域別最低賃金と特定最低賃金の金額を実際の時給を比較することで、適性かどうかを容易に確認することが可能です。

一方、日給制や月給制の場合は、最低賃金である時給を自分で計算しなければいけません。

そのため、定めているルールが守られていなかったり、本来受け取るべき金額をもらっていなかったりしている可能性があります。

自分の給与が正当かどうか、最低賃金の計算をしていきましょう。

日給制の場合の計算方法

日給制の場合、1日単位で賃金が定められていますので、日給を1日の所定労働時間で割り出すことで最低賃金を求められます。

つまり、「最低賃金額=日給÷所定労働時間」という計算式を当てはめます。

算出された金額が、最低賃金額よりも大きければ正当、最低賃金額額よりも小さければ違法と判断できます。

月給制の場合の計算方法

月給制の場合、各種手当が付与されています。

まずは支給額から最低賃金の対象とならない各種手当を除いてください。

最低賃金の対象は、基本給や職務手当のみです。

通勤手当や時間外手当、休日手当などは最低賃金の対象外となります。

その後、「最低賃金額=月給÷1ヶ月の平均所定労働時間」という計算式を当てはめて計算しましょう。

なお、1ヵ月の平均所定労働時間は「年間の所定労働日数×1日の労働時間÷12」で求めることができます。

算出した金額が、最低賃金を上回っているか、それとも下回っているかを確認しましょう。

では、自分の給与が最低賃金を下回っている場合は、どうすればよいのでしょうか?

勤務先が最低賃金の基準を違反していたときの対処法とは?

最低賃金額を求めたことで、雇用主が最低賃金の基準を守っていない事実が発覚したらショックですよね。

今まで安い賃金で労働をさせられていたことを考えると、その理不尽さに怒りを覚えることでしょう。

最低賃金の基準を守らずに、それを下回る賃金で働かせることは、違反行為です。

雇用主の違反が判明したときの対処法についてみていきましょう。

雇用主に確認してみる

最低賃金を下回る賃金で労働させられていたことが分かった場合は、まずその旨を雇用主に確認してください。

特にアルバイトやパートの場合、給与明細書を発行していない勤務先は、時給をごまかしている可能性があるので注意が必要です。

最低賃金法の第40条には、「違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

つまり、最低賃金を下回る賃金で労働させることは犯罪です。

自分の賃金が最低賃金を下回わっている場合は、違反行為であることを追求してみましょう。

そして、労働者には働いた分の賃金を受け取る権利がありますので、支払っていない差額の賃金を支払うように請求してください。

労働基準監督署へ相談してみる

直接雇用主に話すことに不安を感じるなら、労働基準監督署へ相談することもひとつの対処法です。

労働基準監督署は、労働者の相談を無料で受け付け、適切な解決策を提案してくれます。

例えば、「最低賃金を下回った時給で働かされている」とか、「最低賃金が改訂されたのに、時給(賃金)は変わらないまま」など、お金や労働の問題で悩んでいるなら、労働基準監督署で悩みを解決してもらいましょう。

労働基準監督署では、労働者が気軽に相談できるよう、匿名での相談も可能です。

勤務先にバレることがないようお願いすることもできるので、まずはひとりで悩まずに相談してみましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。