多すぎる残業・・・実は違法?変形労働時間制と36協定について解説

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

2019年4月から時間外労働の上限規制が施行され、

「変形労働時間制、36協定という言葉を耳にすることが多くなった」

という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

中小企業においては2020年4月から施行され、どの会社でも残業時間をさらに厳しく管理するようになりました。

しかし、より働きやすい環境づくりを目的とした制度を悪用して労働者を酷使する職場があったり、そもそも従業員を残業させるための手続きをしていないのにもかかわらず、残業を要求している職場も存在するのです。

当記事では、状況に合わせて労働時間を変動させることができる「変形労働時間制」と、法定労働時間を超えた労働についての取り決めをする「36協定」について解説します。

「自分の労働時間は法律の範囲内なのか?」という疑問をお持ちの方は、是非ご一読ください。

変形労働時間制とはどのようなものか

職場の定める労働時間や残業の考え方を知るにあたり、まずは変形労働時間制について理解しておく必要があります。

業務の繁閑期に対応するための当制度について解説していきます。

変形労働時間制の概要

変形労働時間制とは、業務の繁忙期・閑散期に合わせて労働時間を調整する制度です。

労働時間は、労働基準法により「1日8時間、1週40時間まで」と定められています。

しかし、繁忙期と閑散期で業務量が大きく異なる職場の場合、常に一定の勤務スケジュールで固定すると都合が悪くなってしまいます。

そのような場合に導入されるのが、変形労働時間制です。

分かりやすく説明するための例として、「1ヵ月の前半に業務量が集中し、後半にかけて業務量が減少する職場」を想定してみましょう。

このような職場の場合、1ヵ月すべての勤務スケジュールを「1日8時間勤務」として固定してしまうと、繁閑の変動にうまく対応できません。

そこで、変形労働時間制を取り入れると「忙しい月前半は1日10時間勤務」、「閑散とする月後半は1日6時間勤務」というように状況に合わせてフレキシブルに労働時間を調整することができるのです。

変形労働時間制の4つの形式

変形労働時間制には週・月・年の単位によって4つの形式があります。

  • 1ヵ月単位の変形労働時間制
  • 1年単位の変形労働時間制
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制
  • フレックスタイム制

それぞれ一定の清算期間内において労働時間を調整できますが、中でも特徴的なのはフレックスタイム制です。

フレックスタイム制は、最長3ヵ月を清算期間として1日の労働時間を労働者の裁量によって決めることができます。

一定期間内の労働時間を調整できますが、それぞれの単位ごとに超えてはならない時間や日数などのルールが決められています。

例えば、1年単位の変形労働時間制の場合

  • 1日の労働時間が10時間以内
  • 1週間の総労働時間が52時間以内
  • 連続して労働させる日数の限度は6日

などのルールがあるため、特定の日や週に労働時間を集中させ過ぎるとルール違反となってしまうこともあるので注意が必要です。
実際はこの他にも多数のルールが存在するので、より詳しくお調べになりたい方は厚生労働省のホームページなどを参考にしてみてください。

変形労働時間制のメリットとデメリット

上記では変形労働時間制の概要と4つの形式について解説しましたが、労働者側の目線としてどのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。

労働者のメリット

  • 務量が少なく、暇な時期には無駄な業務を省くことができる
  • 終業が早い日があることで、プライベートを充実させやすくなる
  • 特にフレックス制であればプライベートな予定を立てやすくなる

労働者のデメリット

  • 残業代が減る
  • 勤務スケジュールが把握しづらくなる
  • 人事担当者の場合は管理業務が複雑になる

メリットとデメリットについて整理してみましたが、メリットはやはり業務外の時間を有効活用しやすくなることでしょう。

楽しみなプライベートの予定を立てることで、仕事のモチベーションが維持できているという方も多いのではないでしょうか。

特にフレックス制の変形労働時間制を導入している企業は人気が高く、入社の応募が集まりやすいようです。

一方、デメリットとして最も注意するべき点は残業代が減ってしまう点です。

通常「1日8時間」を所定労働時間とする職場の場合、10時間働くと2時間分は25%~50%の割増賃金となります。

しかし、変形労働時間制によって「1日10時間」が所定労働時間となった場合、定時勤務扱いとなり割増にはならなくなってしまいます。

割増の有無だけでなく、純粋に残業代を見込んで生計を立てている方にとっては、閑散期に早く帰らされてしまうことで収入が減ってしまうことになります。

これは使用者側としては大きなメリットとなるのですが、それゆえにこの制度を使用者ひいきの制度だとする意見も散見されます。

36協定とはどのようなものか

労働基準法による労働時間の原則と、一定期間内で労働時間を変動させられる変形労働時間制についてご紹介しましたが、どうしても上限となる労働時間を超えてしまう職場もあります。

ただし、労働時間の上限を超過して働くためには36協定の届出が必要です。

それではこの「36協定」とはどのようなものなのか、以下で見ていきましょう。

36協定の概要

「36協定」の読み方は、「さぶろくきょうてい」です。

この名称は、労働基準法の第36条についての労使協定であることが由来となっています。

労働基準法第36条により、労働時間は「1日8時間、1週40時間まで」と定められていますが、職場の繁忙期などには規定の時間を超えて残業をしなければならないこともあるでしょう。

そのような場合に、残業について予め労働者と使用者の間で交わしておく取り決めを36協定といいます。

使用者が労働者に対して法定労働時間を超えた労働を命じる場合、労働基準監督署に36協定を締結した旨の書面(=時間外・休日労働に関する協定届)を提出していなければなりません。

この書面を提出せずに法定労働時間を超える残業をさせた場合、使用者側は労働基準法違反となり、罰則を受けることになります。

また、法令により労使協定での決定事項は労働者に周知し、請求があればいつでも開示する義務があります。
あなたが働く会社は法令違反をしていないか、残業についてどのような取り決めをしているのかを知りたいのであれば、一度「時間外・休日労働に関する協定届」の開示請求をしてみるとよいかもしれません。

上限規制を超えられる特別条項付き36協定とは

法定労働時間を超えた労働を可能にする36協定ですが、「1日8時間、1週40時間」を超えた先にさらなる制限が存在します。

さらなる制限とは、「残業時間が1ヶ月で45時間以内、1年で360時間以内」とする上限規制です。

36協定の届出を提出していたとしても、この上限規制を超えて労働させてしまうと使用者は法令違反となってしまいます。

しかし、働いている方々の中には「1ヵ月の残業が45時間を超えたことがあったが、問題にならなかった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、上限規制を超えて労働させることができる労使協定があるのです。

それが、特別条項付き36協定です。

特別条項付き36協定を締結することにより、上限規制をさらに超えた労働が可能となりますが、適用するためにはいくつか条件があります。

  • 上限規制を超えて労働させなければないらない程の特別な事情が発生している 
  • 1ヵ月45時間の上限を超えて労働できるのは1年で6回まで
  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の合計が、2ヶ月~6ヶ月の平均でひと月あたり80時間以内

「上限規制を超えて労働させなければならない程の特別な事情が発生している」ということが条件の一つとなっているため、特別条項付き36協定を締結したからといって、いつでも上限規制を超えた労働が可能になるわけではありません。

「決算期による繁忙」や「リコール、大きなクレーム発生時の緊急対応」など、臨時的に特別な事情がある場合に限り、特別条項が認められるのです。

悪質企業の抜け道

法定労働時間を超えて労働させることができる36協定について紹介しましたが、協定を結んだとしても、上限規制があるため残業時間は限られます。

さらに特別条項付き36協定を結んだとしても、上記で述べたとおりの条件があるため、使用者は労働者を無制限に働かせられるわけではありません。

ですが、中には制度を悪用するなどして不当な労働を強いる企業も存在するのです。

例をあげると、裁量労働制という制度を悪用したケースがあります。

裁量労働制とは、働く時間を労働者側の裁量に委ね、1日の労働時間を「みなし」で設定する制度です。

例えば、1日の労働時間を8時間としてみなしている場合、6時間だけ働いたとしても、10時間働いたとしても「8時間分の労働」として扱われます。

本来は労働者の自由な働き方を支援する制度なのですが、この制度を悪用する企業は多大な業務量を労働者に押しつけ、どんなに長時間労働をしても「みなし」として設定した時間しか働いていないことにしてしまうのです。

また、そもそも36協定を締結せずに法定労働時間を超えた労働をさせている企業が相当数存在するともいわれています。

職場にとって都合のいい使われ方をしないよう、労働における法律の知識はある程度持っておくべきでしょう。

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