有給休暇の買取は例外的にOK!認められる3つのケースを紹介

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

有給休暇はできるならば全て取得したいところですが、実際は使いきれず余ってしまうケースも多いです。

もったいないので、余った有給休暇を会社に買い取ってもらいたいと考える人もいるでしょう。

しかし、有給休暇の買取は原則違法であり、条件を満たした場合のみ例外的に認められるものです。

今回は、有給休暇買取が認められる3つのケースなどを具体的に解説します。

有給休暇買取は違法?有給休暇の仕組みを解説

有給休暇の買取は原則、違法です。

行政通達(昭和30年11月30日基収4718号)は「年次有給休暇の買い上げを予約し、有給休暇の日数を減らすことは労働基準法に違反する」と述べています。具体的には、労働基準法39条で規定する年休の保障に違反します。

なぜ有給休暇の買取が違法になるか、制度趣旨等の観点から見ていきましょう。

企業側からの買取申出は違法

そもそも有給休暇の制度趣旨は、賃金が支給される休暇を与えることで、労働者の心身のリフレッシュをはかる点にあります。

有給休暇の買取を認めてしまうと、その分休暇日数が減ってしまいます。

これは上記趣旨に反することになるため、会社側による有給休暇の買取は原則認められていません。

一方、労働者側が有給休暇の買取を望む場合、合法だと考えられています。労働者自らの判断であれば、不利な立場に立たされる心配が少ないからです。

しかし、それでも条件を満たした場合に例外的に認められているに過ぎません。基本的には有給休暇の買取は難しいと覚えておきましょう。

有給休暇の付与日数

有給休暇の付与日数は勤続年数に応じて定められており、以下の2つの条件を満たさなければ、有給休暇の取得権利は発生しません。

  • 6ヵ月間勤務を続ける
  • 全労働時間の8割以上勤務する

労働基準法では上記条件を満たすと、10日間の有給休暇を与えなければいけないと規定しています。(労働基準法第39条)

勤続年数が増えるにしたがい、付与される有給日数は増えていき、上限は6年半以上勤務した場合における20日間です。

ただし、上記の日数はあくまで最低基準を示しているに過ぎません。個別の就業規則において、労働基準法で定める水準以上の休暇を与えることは認められています。

労働基準法所定の有給休暇日数が買取の基準となる場合があるため、勤続年数と付与日数の関係は覚えておきましょう。

2019年4月1日から有給休暇取得が義務化

有給休暇に関する最新の法改正の内容もチェックしましょう。

従来、有給休暇取得の際は、従業員からの請求が必要でした。つまり、従業員が要求しなければ、会社側は有給休暇を取得させる必要はなかったのです。

しかし法改正があり、2019年4月1日から「10日以上の有給取得が認められている全ての従業員に対し、会社側は時期を指定して毎年5日間、有休を取得させなければいけない」と定められました。

対象の従業員は、正社員に限った話ではありません。アルバイトやパートで働く従業員も、10日以上の有給休暇があれば対象です。

アルバイトやパートの場合「1週間の所定労働時間が30時間未満、かつ所定労働日数が4日以下」「または所定労働日数が年間216日以下」のいずれかに該当すれば、所定労働日数に応じた有給休暇が付与されます。

アルバイトやパートの従業員が10日間の有給休暇を取得できるケースは、下記の通りです。

  • 週5日(年217日)以上の場合⇒ 半年勤務すれば有給休暇が10日付与される(通常の労働者と同じ日数)
  • 週4日(年169~216日の場合)⇒ 3年と半年勤務すれば有給休暇が10日付与される
  • 週3日(年121~168日の場合)⇒ 5年と半年勤務すれば有給休暇が10日付与される

有給休暇を買取できる3つのケース

例外的に、有給休暇の買取が認められる3つのケースを紹介します。

現状の制度ではこの3つに該当しない限り買取が認められることはないので、具体的な条件を頭に入れておきましょう。

ケース①2年の時効を迎えた場合

一定の期間が過ぎると権利を主張できなくなる制度を時効と呼びますが、有給休暇の時効は2年です。

時効を迎えた有給休暇はもう利用できません。従業員側に不都合が生じることはないため、時効を迎えた有給休暇の買取は認められています。

ケース②退職時に残った休暇

従業員が退職する場合、残っている有給休暇に関しては買取可能です。

こちらも労働者が権利を主張することは無いため、休暇日数を減らしても問題ないと判断できるためです。

退職時に有給休暇が残っている場合、退職日を延ばして有給休暇を全て消費してから退職するというケースも多いです。時間的な猶予ができるので、引継ぎや転職先の調整等に役立つでしょう。

ケース③法定付与日数以上の部分

労働基準法所定の日数を越える水準の有給休暇が付与されている場合、その超過分に関しては、買取が認められています。

休暇日数は少なくなりますが、労働基準法所定の最低基準は満たしているため、許容範囲と判断されています。

例えば、半年間働けば、15日の有給休暇を取得できる企業で働いたとしましょう。

このケースでは、半年間働き全ての労働時間の8割以上勤務していれば、労働基準法の基準を越える5日分の有給休暇を買い取ってほしいと主張できます。

有給休暇を買い取ってもらう際に知っておくべきこと

最後に、実際に有給休暇を買い取ってもらう際の注意点を紹介します。

重要なのは、主張したからと言って必ず買取が認められるわけではない点です。

会社には有給休暇の買取を認める義務はないため、上司や人事担当者に「ダメだ」と言われてしまうと、法律上この決定を覆すのは難しいのです。

退職時の買取では所得税額が変更となる

退職にあたり有給休暇の買取を依頼するケースでは、買取により生じた手当は、給与所得ではなく退職所得に該当します。

所得税法第30条には「退職により一時的に生じる給与は退職所得とする」と明記されており、有給休暇の買取手当も「退職により一時的に生じる給与」の一つに該当します。

給与所得と退職所得の区分によって、所得税額が変わってきます。

退職所得の方が税率が低いため、有給休暇の買取によって、支払う税金は低くなります。

具体的な税額に関しては、退職時に会社から受け取る源泉徴収票を確認しましょう。

買取金額は会社側が自由に定めて良い

有給休暇の買取金額は、会社側が自由に定めて良いとされています。

このため、従業員が希望金額を提示したとしても受け入れてもらえる可能性は低いでしょう。

ただし、基本的には有給を取得した場合と同等の金額を得られる可能性が高いです。

直近3ヵ月間の平均賃金、標準報酬月額の日割額などが算定に用いられる場合が多いです。

有給休暇の買取を認めてくれるかは会社次第

有給休暇の買取は原則禁止されていることもあり、紹介した3つのケースに該当したとしても、会社側が従業員の要求を拒否する可能性はあります。

例えば、過去に買取の事例がないから拒否されるケースは十分考えられます。

事前に有給休暇の買取を認めてくれる会社なのか確認するために、就業規則の内容をチェックしましょう。

会社によっては、有給休暇の買取に関して就業規則に明記している場合があります。

ただ、買取の前例がなく就業規則に記載がないケースでも対応してもらえる可能性はゼロではありません。

一度上司等と話し合いの場を設け、有給休暇の買取を求めてみることをおすすめします。

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