不当解雇された場合どうすればよいか

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

突然会社から解雇を言い渡された場合、今後の生活をどうしていけばいいのか分からなくなると思います。しかし、解雇が不当解雇であれば受け入れる必要はないはずです。

今回は不当解雇とはどのようなものかということと、不当解雇に遭った場合にどのように対処すればよいのかを解説していきます。

使用者が労働者を解雇できる条件は限られている

解雇とは、使用者が一方的な意思表示で行う労働者との雇用契約を解消する旨の意思表示をいいます。

解雇は使用者の自由に行えるものではありません。

労働契約法第16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする。」と規定されています。

なお、使用者ではなく労働者からの一方的な意思表示による「辞職」や労使双方の合意による「合意解約」、有期雇用契約の期間が満了する「雇止め」は「解雇」とは異なる概念でその取扱いも異なりますので注意が必要です。

普通解雇とは

普通解雇とは、労働者の労働能力が低い場合や勤務態度の不良等、労働者側の事情を理由に行われる解雇をいいます。

解雇の目的が明確な懲戒解雇や整理解雇と比較して、普通解雇は使用者と労働者の間の信頼関係が破壊されたことによる労働契約の解除という性質が大きいです。

まず手続的な要件として労働基準法第20条には解雇の予告についてのルールが規定されています。

まず使用者は労働者を解雇しようとする場合には最低でも30日前に解雇の予告をしなければなりません。この予告をしない場合には、その代わりに30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

懲戒解雇とは

懲戒解雇とは、懲戒処分としての解雇をいいます。

懲戒処分とは、労働者の企業秩序違反行為に対する制裁としての処分のことです。

懲戒処分に関しては労働契約法第15条に以下のように規定されています。

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒にかかる労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効とする。」

この規定に基づいて、懲戒処分の適法性については以下の要素で判断します。

  1. 懲戒事由の根拠となる規定が存在すること
  2. 解雇権を濫用していないこと

懲戒解雇となることが多い具体的な事例を挙げたいと思います。

  • 業務上の立場を利用した犯罪行為や会社の名誉を著しく害する重大な違法行為
  • 経歴の重大な詐称
  • 長期無断欠勤
  • 重大なセクハラ・パワハラ

整理解雇とは

整理解雇とは事業を継続することが難しい場合に人員整理として行われる解雇のことをいいます。

使用者側の理由で労働者が雇用関係を解消されるものですので、判例上整理解雇には4つの要件があります。

  1. 人員整理の必要性
  2. 解雇回避努力義務
  3. 選定の合理性
  4. 手続の相当性

この4要件の詳細については後述します。

不当解雇と認められる解雇

不当解雇とはどのような場合をいうのでしょうか。

不当解雇とは労働契約や就業規則の規定に沿わずに使用者が労働者を解雇してしまうことをいいます。

解雇の要件を満たしていない場合や、解雇手続きが適法でないような場合がこれにあたります。

 では具体的にどのようなケースが不当解雇となるのでしょうか。解雇の種類別にみていくことにしましょう。

法令に違反する解雇は無効

 解雇制限規定に違反した解雇は違法無効です。

労働関係法令には以下に紹介するような解雇規制が規定されています。

労働基準法第19条には、療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇してはならないと規定されています。また使用者は妊娠した労働者に対して産前6週間と産後8週間は労働させることはできません、さらにその後30日間は解雇してはいけないと規定されています。

つまり、病気で休んでいる労働者に対してそれを理由に解雇することはできませんので、病気を理由に解雇した場合には違法な解雇にあたり無効です。

他にも労基法第104条2項には、使用者は行政官庁や労働基準監督官に申告したことを理由に労働者を解雇することを禁じる規定があります。

雇用機会均等法9条には、女性労働者が婚姻したことを理由として解雇することや、妊娠・出産したことや産前産後休業を取得したことを理由に解雇することを禁じる規定があります。

労働組合法第7条には、労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇することを禁じる規定があります。

これらのルールに反して行われた解雇は違法無効となります。

解雇権の濫用の場合の解雇は無効

問題を起こした労働者に対する解雇であっても、①その労働者の行為がどの程度、どのような損害を会社に及ぼしたのか、②損害に寄与したのは当該労働者だけか、③その労働者が事前・事後に非難に値するか、④他の労働者との均衡を考慮したといえなければ使用者の解雇は濫用と判断される可能性があります。

また、能力不足を理由とする解雇であっても、能力不足が著しい場合といえなければなりません。平均的な水準に達していないというだけでは認められません。また、使用者側の教育や指導で労働者に改善の見込みがないと言えなければなりませんし、配転等会社が雇用関係を維持する努力をしていないと評価されれば解雇濫用になります。

整理解雇が解雇権の濫用とされる場合

前述の整理解雇4要件に反している場合には解雇権の濫用であるとして無効と判断される可能性があります。

①人員整理の必要性

余剰人員の整理解雇を実施するには、削減をしなければ経営を維持できないという、企業の合理的な運営上やむを得ない程度の高度な必要性が無ければなりません。

②解雇回避努力

労働契約においては、解雇は最後の手段でなければならないということです。

例えば、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集や配置転換等により整理解雇を回避するための経営努力が既になされていることが必要です。

これらをやらずにいきなり整理解雇をしようとすると不当解雇と判断される可能性が高いです。

③選定の合理性

解雇される労働者の人選の基準が合理的で無ければ濫用のおそれありです。併せて具体的人選も合理的で公正でなければなりません。

④手続の相当性

整理解雇については労働者に原因がありませんから、使用者は信義則上労働者や労働組合と協議し説明する義務を負っています。

使用者は、人員整理の必要性と整理解雇の時期や規模、方法という内容について労働組合や労働者に対して説明をなし、十分な協議を経て納得を得るよう努力をしなければいけません。

4要件の中でも手続的要件は重要で、妥当な手続を経なければ他の要件を満たしていても無効とされるケースが多いです。

不当解雇を受けた場合に取りうる救済手段

それでは不当解雇を受けた場合はどのような手段を講じることができるでしょうか。いくつかの救済手段について説明していきます。

会社に資料を請求する

会社から解雇されて納得できない場合には、まずは会社に対して解雇理由証明書を請求すべきでしょう。

退職時の証明として、労基法第22条1項には、「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合はあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」と規定されています。

したがって、解雇予告を受けた労働者が、退職までの間に証明書を請求した場合には会社は法律上これを拒否できません。

解雇理由証明書を入手したら、就業規則に根拠規定はあるでしょうか。労働関係法令に違反していないでしょうか。まずはその点を確認しましょう。会社自身説明できないような解雇をしている場合にはこの請求によって解雇が取り消されることも期待できます。

労働基準監督署に相談する

労働問題の相談先として所轄の労働基準監督署に不当解雇の事実を申告しましょう。不当解雇は労働基準法違反事件ですので監督署は捜査権も有しています。

労基署を通して不支給手当の支給等も実現可能になるケースもありますので積極的に利用するべきです。

弁護士に相談する

労働問題を専門的に扱う弁護士に相談に行きましょう。法律を活用したり実務上の有効な解決方法を探ってくれたりするはずです。会社に復職を求めたり、損害賠償請求をするような場合には法律のプロである弁護士に任せることで独りで対応するよりもスムーズに手続きを進行させることが可能になります。

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