失業保険を受給するには?離職理由と待期期間・給付制限の関係

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

失業保険を受給するには

失業してしまったからには、次の仕事を見つけるため、求職活動に勤しむことになります。

しかし、日々の生活資金の不安から、求職活動に集中できなくなってしまっては、良い仕事に巡り合えるチャンスを逃してしまうかもしれません。

そんな時、金銭面で求職活動を支援してくれる制度が失業保険です。

仕事に就いている間は無縁の制度なので、受給までの待期期間など、実際どのような制度かはなかなか知りえないと思います。

まずは、失業保険という制度の確認と、自分は受給できるのかという疑問を解消していきましょう。

失業保険とは?

一般に、失業保険と呼ばれている制度は、雇用保険の被保険者が失業したときに受けられる手当のことを指し、雇用保険の失業等給付のカテゴリ中にある求職者給付を指します。

給付の目的は、「失業された方が、安定した生活を送りつつ、1日も早く再就職できるよう求職活動を支援する」ことです。

失業手当とも呼ばれており、国から現金で給付されるものとなります。

失業保険を受給できる条件は?

以下の要件をすべて満たす場合、失業保険が受給できます。

  • 一般被保険者が失業していること

※一般被保険者…雇用保険の被保険者が仕事に応じて分けられる4類型(一般被保険者・高年齢被保険者・短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者)のうちの1つ

  • 離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あること(ただし、特定受給資格者、特定理由離職者に該当する場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上ありでも可)
  • ハローワークで求職の申込みを行い、就職の意思と能力があるにもかかわらず、失業の状態にあること

簡単に言えば、「前職で(一般被保険者として)雇用保険に一定期間入っていたが、失業し、再就職したいにも関わらず、次の仕事がまだ決まっていない」という場合、失業保険を受給できるということです。

失業保険の受給手続きができる窓口は?

失業保険を受給するための受付窓口は、自分が住んでいる場所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)の中にある雇用保険窓口です。

なお、厚生労働省が全都道府県の公共職業安定所管轄一覧をWebで公開しているので、そちらから確認ができます。

失業保険の受給はいつから?―待期期間と給付制限

失業保険を受給できることは確認できても、いつから受け取ることができるのか…これは誰もが気になる点です。

ここで関係してくるルールが、待期期間と給付制限になります。

そして、失業保険受給ルールの中では、受給できる人の中でも区分が設けられており、その区分によって受給の開始時期に差が生じます。

よって、この区分がどう決まるのか、という部分が大事なポイントになってきますが、この区分は、離職理由によって決定されます。

それでは、いったい自分はどの区分に該当するのか、いつから失業保険を受け取れるのかを確認していきましょう。

離職理由と区分

失業保険を受給する場合、どのように退職したかによって、大きく3つに区分されます。

  1. 特定受給資格者(倒産や解雇等による退職)
  2. 特定理由離職者(正当な理由がある自己都合退職等)
  3. 一般受給資格者(正当な理由のない自己都合退職等)

例えば、会社が倒産してしまった場合や、会社の経営不振で退職勧奨にあった場合、1. 特定受給資格者に該当します。

有期契約の満了や、病気・ケガ等で働けないといった正当な理由がある場合は、2. 特定理由離職者に該当します。

上記のような正当な理由がないまま退職した場合は、3. 一般受給資格者に該当します。

退職から受給まで―待期期間と給付制限

離職理由による区分によって、受給までの期間が異なります。

まず、1. 特定受給資格者、2.特定理由離職者の場合についてみていきましょう。

退職後10日~2週間で、会社から離職票が届きます。

離職票が届いたら、その他必要書類(個人番号確認書類・身分証明書・証明写真・印鑑・通帳またはキャッシュカード)を揃えて、ハローワークの雇用保険窓口で失業保険の手続きをしましょう。

離職票を提出し、必要な手続きを完了させたら、失業保険の受給資格決定日が決まります。

この受給資格決定日から、失業状態が7日間あってはじめて失業保険の受給が開始する失業認定日が決まります。

受給資格決定日から失業保険の受給が開始するまでの7日間を、待期期間といいます。

この記事でも既にお伝えした通り、失業保険という制度の目的は、「失業された方が、安定した生活を送りつつ、1日も早く再就職できるよう求職活動を支援する」ことです。

この待期期間で、失業者が本当に所得を補償する必要がある失業状態であるかどうか、確認しているのです。

よって、この待期期間中のアルバイト等は原則としてできません

もしアルバイト等をしてしまった場合、その日数分、待期期間が延長されます。

待期期間を経た後に決まった失業認定日に、ハローワークへ行きましょう。

この失業認定日からおおよそ1週間程度で最初の給付があります。

多くのステップがありますが、受給開始に絞って確認すると、最初の給付は、ハローワークで必要な手続きを済ませた日(受給資格決定日)から、おおよそ1か月後に行われます。

次に、離職理由による区分が前述 3. 一般受給資格者(正当な理由のない自己都合退職)に当てはまる場合ですが、7日間の待期期間後、2か月の給付制限が付加されます。

なぜ3. 一般受給資格者の場合、給付制限が発生するかというと、そもそもこの失業保険の制度の原則が、1. 特定受給資格者や 2. 特定理由離職者のような「本人の意思に反して」失業した人に対し、生活の保障と再就職の援助を行うための制度であるからです。

その結果、3. 一般受給資格者の場合は、本人の意思で失業したとしても、再就職できない期間が長期にわたってしまった(長期の失業状態が継続した)時にはじめて国の支援が必要だとして、失業保険を受け取れることとなります。

この長期の失業状態という判断軸が、2か月の給付制限にあらわれています。

なお、世間一般で、「自己都合退職だから、待期期間が2か月間ある」と言われることもありますが、実際は給付制限のことでしょう。

※2020年9月30日以前に離職されている場合、給付制限は2か月ではなく3か月となります。

失業保険の受給に関するトラブル

前述したとおり、失業保険は離職理由による区分によって、受給までの期間(待期期間に給付制限が付加されるか否か)に大きな差が生じます。

ここで最もトラブルになりやすいのが、離職理由です。

実際には不況で解雇されたにも関わらず、自己都合として処理されてしまったら、受給開始時期が遅くなってしまいます。

その他、失業保険に関して考えられるトラブルとして、いったん失業保険が受給できたはいいものの、それが不正受給とみなされてしまうことが挙げられます。

こういった失業保険に関するトラブルにどう対応すべきか、考えていきましょう。

離職理由の不合致―自己都合とされたら

失業保険を受給するためにハローワークで手続きする際に、離職票が必要になることはこの記事でもお伝えしました。

この離職票ですが、会社側で離職理由を記入する欄があります。

会社都合による退職だったのにも関わらず、自己都合による退職とされた場合、待期期間に加えて給付制限が発生してしまいます。

万が一、離職票に、会社都合で退職したにも関わらず、自己都合退職と記載されていた場合、まずは会社に離職理由が間違っていることを伝え、訂正対応をお願いしましょう。

会社側が対応しなかった場合でも、ハローワークを通して異議申し立てが可能です。

その場合まずは、離職票にある離職者本人の判断欄で、会社が示した離職理由に異議「有り」に〇をしてください。

さらに、離職者記入欄の具体的事情記載欄には、事情を記載しておきましょう。

退職理由が会社と本人で異なる場合、ハローワークが事実関係を調査し、最終的な判断をすることになります。

※なお、この調査の過程で、ハローワークから証明になる資料を求められることもあります。

離職前に会社側と話し合っていればこのような問題は生じませんが、もし離職理由に差異が出てしまい、会社側に対応してもらえないときは、ハローワークを通した異議申し立てで対応しましょう。

失業保険の不正受給とみなされたら

失業保険を受給するために、偽りや不正の手段で失業保険制度を受けている、もしくは受けようとしているとみなされたら、不正受給となり罰せられます。

失業保険の不正受給が発覚すると、不正をした時から受給が受けられなくなることはもちろん、不正に受給したお金の返還が命ぜられます。

さらに、返還が命ぜられた不正受給金額とは別に、不正の行為により受給した額の2倍に相当する金額以下の金額の納付(いわゆる「3倍返し」)が命ぜられることとなります。

もし、不正受給に心当たりがないのに、返還命令があった場合など、処分に誤りがあると思ったら、法律には不服申立てができる旨が規定してあるため、処分に対して審査請求をすることができます。(雇用保険法69条)

この審査請求は、ハローワークを通じ、あるいは、雇用保険審査官に請求可能です。

現在ハローワークでは取り締まりを強化しており、「この程度は不正受給にならないだろう」といった受給者側の認識の甘さから、不正受給に該当してしまったというケースもあります。

このようなことがないように、失業保険を受けるときは、まずは制度について把握したうえで、ハローワークへ相談しましょう。

最後に

日本で働くとすると、前提となるのは終身雇用ですが、そもそも日本で終身雇用が慣行として一般的になった当時から現代までの間で、社会も大きく変化しています。

実際に2018年に厚生労働省職業安定局が発行した資料によると、「若年期に入職してそのまま同一企業に勤め続ける者」の割合は低下傾向にあります。

自分の生き方・ライフスタイルを選択した結果、終身雇用を選ばない方もいますが、一方で、昨今の不況のあおりから、仕事を続けたくても続けられなくなる方も数多くいます。

収入が途絶えるほど将来が不安になることはありません。

ですが、今回の記事で紹介したように、日本には失業保険という心強い制度が存在します。

もし仕事を失ってしまった場合、受給条件や、待期期間等を把握したうえで、失業保険という制度に頼ってみましょう。

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