これってモラハラ?職場で起きるモラハラの特徴と対応

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

 職場の中で自分だけ孤立している、なぜかいつも嫌味を言われる、仕事を自由にやらせてくれない。でもそうなっている原因は自分にあるかもしれない。

 そんな辛い想いをしながら我慢をしている人、自分が受けている行為が「モラハラ」ではないかと考えてみたことはありますか?

 この記事ではモラハラの定義と職場におけるモラハラの特徴、自分がハラスメントを受けていると感じた時の対応方法を確認してみましょう。

モラハラとは?パワハラやセクハラとの違いとその特徴

職場で起きる問題として「パワハラ」や「セクハラ」という言葉は聞いたことがある人も多いと思います。ただ最近では、それらとはまた別の特徴を持った「モラハラ」が注目されています。

 モラハラとは、職場において上下関係や性別とは無関係に他者の言動によって精神的な苦痛を受けることを指します。まずはモラハラのより詳しい定義とその特徴を確認してみましょう。

そもそもハラスメントとは?

 「ハラスメント」には「嫌がらせ」や「いじめ」といった意味があります。

 ただ、単なる嫌がらせとは少しニュアンスが異なり、その嫌がらせにあたる発言・行為をした本人にとって「嫌がらせをしてやろう」という意図が有るか無いかに関わらず、結果的に受け手が不快に感じたり、尊厳を傷つけられたと感じる行為のことを特に「ハラスメント」と指すと言われています。

 「〇〇ハラ」というのは、そういった広い意味でのハラスメントの中で、その特徴からある程度パターン分けをして表現されるようになったものです。

 その代表的なものが「パワハラ」「セクハラ」で、比較的古くからその問題が指摘されてきました。

パワハラ・セクハラの定義

  古くから認識されてきたパワハラ・セクハラですが、法律ではどのように定義されているのでしょうか。

  パワハラとは「パワーハラスメント」の略で、2020年6月に施行された改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)では

  1.  優越的な関係を背景とした
  2.  業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
  3.  就業環境を害すること

 と定義されています。パワーというと力、の意味ですが、職場における力といえば権力や上下関係のことです。

 上司からのいじめや嫌がらせ、時には暴力を受けているのに、その上司が自分の評価や今後のキャリアの決定権を持つために抵抗できず苦しんでしまうというのが典型的なパワハラの例です。

 上司からすると「部下の事を想って言っている」発言が、部下にとっては重荷になり、精神的なストレスから体調を崩してしまう方も多いようです。

 一方、セクハラは「セクシャルハラスメント」の略で、『職場において性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により労働者の就業環境を害すること』(男女雇用機会均等法第11条)と定義されています。

 以前は男性から女性への性的な言動に関連することと捉えられていましたが、近年では女性から男性という方向に行われる行為や、いわゆるLGBTQにまつわる発言についてもセクハラ(ジェンダーハラスメント、と呼ばれることもあるそうです)として認知されるようにもなってきました。

モラハラとは?

 パワハラが力関係を、セクハラが性的な言動を背景に起きるハラスメントであったのに対し、またそれらとは異なるハラスメントが問題になるようになりました。それが「モラルハラスメント」です。

 モラハラについてはまだ法律での定義はされていませんが、厚生労働省が委託運営するWebサイト”こころの耳(働く人のメンタルヘルス・サポートサイト)”では『言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること』と説明されています。

 倫理や道徳といった意味を表す「モラル」という概念的な言葉から連想されるとおり、モラハラの被害は「精神的な苦痛」が中心となる場合が多く、パワハラで問題になる暴力行為やセクハラで問題にされる異性への接触等とは異なり、目に見えない要素が多いため見逃されがちなのもモラハラの特徴です。

 精神的な苦痛は他人には伝わりにくく「こうなっているのは自分のせいだ」「自分がもっとがんばればきっと関係は良くなる」と我慢してしまう傾向があります。抱え込んだ問題が他人に気づかれないうちに心身へのストレスとなり、最終的には体調の不調や人間関係へのトラウマに繋がってしまうというのがモラハラ問題の難しさと言えます。

モラハラの具体例を知る

では、具体的には職場でのどのような言動がモラハラと考えられるのか、事例をいくつか見てみましょう。

個人からのハラスメントになるケース

無視や罵倒

 他の人に対する態度と明らかに違い、また特に理由もなく無視されたり軽微なミスでも必要以上に罵倒されたり、わざと他人に聞こえるように大きな声で注意される。

業務の妨害

 業務上必要な情報をあえて与えられなかったり、自分にとって簡単すぎる仕事しか与えられない。または反対に、自分ひとりでは絶対に完成できない仕事を一人でやるように指示される。

プライベートへの介入

 業務時間外の過ごし方について、必要以上に確認されたり、その過ごし方の良し悪しを執拗に評価される。SNSでの書き込みをチェックされ、業務とは無関係なことも毎回会話のネタにされる。(SNSがきっかけで起きるハラスメントについて、最近では「ソーハラ(ソーシャルネットワークでのハラスメント)」と呼ぶこともあるそうです)

集団からのハラスメントになるケース

仲間外れ

 懇親会の案内からわざと外される、業務上の打合せが知らないところで開催されているなど自分だけが孤立するように仕向けられている。

根も葉もない噂や悪口

 「〇〇さんていつも上司に媚びを売って評価をあげているらしいよ」「〇〇さんはこの会社にコネで入社したらしいよ」など、根も葉もないことを噂されたり悪口を言われる。

責任の押しつけ

 チームに設定された営業目標に達成しなかったことを、明確な理由もないのに特定の個人の責任として避難される。

モラハラは組織的な問題になりやすい

 パワハラやセクハラは1対1の関係で成立しますが、モラハラは必ずしもそうではありません。誰かから受けた嫌な言動も、周囲の人がフォローしてくれることで大きな問題にならないことも多々あります。

 一方で、特定の個人から受けた行為は大きな問題ではなかったものを、周りの人が無視したり、誰も助けてくれなかったりすることで、だんだんと精神的苦痛が増してハラスメント問題に繋がる場合もあるのです。

 それぞれの人は悪意がある訳ではないのに、そうした職場全体の雰囲気そのものがモラハラを招くということにも注意が必要です。

モラハラにあっていると感じた時の対応のポイント

自分はモラハラを受けているのでは?と感じたら「記録を残すこと」「適切な相談相手を探すこと」が重要です。

事実を整理して記録を残す

 まずは自分が受けた言動や出来事を記録するようにしましょう。

 日記をつけるような形で構いませんが、先述したとおりモラハラは精神的な苦痛の有無が対象となるだけに感情面や曖昧な表現になりがちです。

 客観的にモラハラの認定を受けるには、5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのようにして)の観点で事実を記録していくようにしましょう。

 後になって今まで受けてきた行為がモラハラだったかも?と感じた場合に過去を遡って出来事を記録するときには、明確に記憶している出来事と、そうでない事を分けて記録に残しましょう。

 というのも、万が一将来裁判等でモラハラの認定を受けようとする際に、曖昧な記憶で作成したものが混在しもし間違った情報が入っていると「この記録は曖昧な記憶により後から作成されたもので事実ではない」と相手方から主張されるかもしれないからです。

 また、モラハラは必ずしも1対1の関係だけで起きるとは限りません。直接的な出来事だけでなく、周りで起きていた出来事についても記録しましょう。

 例えば「同僚Aから今日も無視をされ、仕事で必要な資料も共有してくれなかった。」という時に「同じ部署の同僚Bに対してはAは普通に対応している。隣の部署のCさんがこの様子に気づいて「大丈夫?」と声をかけてくれた。」という事実も、同僚Aが自分にだけ特別な態度をとっており、他部署の人間から見ても心配に感じるような状態だった、というふうに状況をより客観的に伝えることに繋がります。

 このほか、自身の体調の変化や具体的な被害は必ず記載しましょう。会社には黙って有給休暇を使って休んだ場合でも、体調不良で薬を飲んだり、病院に通院した場合はその記録が分かる領収書や診療の記録を残しておくようにしましょう。

相談する相手を探す

 モラハラを受けている相手に直接「やめてください」と言える位なら、そこまで悩まずに解決できるのかもしれませんが、実際には難しいものです。解決のためにはどこに相談すれば良いのでしょうか。

(1)同僚や上司に相談する

 同じ会社の同僚で、ある程度部署の状況や登場する人物を知っている人に相談するというのがまず現実的です。モラハラの相手が自分の部署の中にいるなら、信頼できる他部署の同僚や上司に相談を仰ぐというのも手です。

 これには単に相談にのってもらい解決の糸口を探るというだけではなく、もう一つ、自分に起きている状況を他人に理解してもらい仲間を増やすという重要な意味を持っています。

 問題がさらに深刻になって来た場合には自分の側に立って戦ってくれる味方を作っておくということも有効になります。

 ただし、もし職場全体からの無視等によって引き起こされている組織的なモラハラの場合は、相談相手は慎重に選び、できるだけその職場と関係が遠い人に相談するようにしましょう。

 相談相手からモラハラをしている相手側に相談内容が伝わってしまうと、「こっちは好意でやっているのになんでそんなこと言っているの?!」と相手の感情に火をつけてしまい、さらなるモラハラの引き金になりかねません。

(2)会社の相談窓口に相談する

 会社によっては、ハラスメント問題を担当する相談窓口を設置している場合があります。

 労働施策総合推進法ではハラスメントの相談体制について「労働者からの苦情を含む相談に応じ、適切な対策を講じるために必要な体制を整備すること」と定められたため、各企業において法律に沿った体制作りが今後進んでいくはずです。

 ただし相談窓口、と言っても

  • 会社の部署ごとに管理職が相談担当者となっている場合
  • 人事部門の労務担当者などを相談窓口と設定している場合
  • 第三者機関等に相談窓口を委託している場合

 など、様々なケースがあります。

 ハラスメント問題は組織的な問題でもあるので、いくら直属の上司が相談担当者となっていても上司自身も組織の人間ですから、相談した内容が適正に処理されるか不安な場合もあるかと思います。自分の会社の相談体制がどのようになっているか慎重に見定めることも重要です。

 第三者機関に相談窓口を委託しているような場合は、ある程度秘匿性は担保して取り扱われると考えてよいでしょう。まずは相談をして、解決の方向性を探ってみることは有効な手段と考えられます。

(3)弁護士に相談する(裁判の対応を検討する)

 同僚や社内の相談窓口でも対応が難しい場合や、既に自身の体調を崩したり会社に行くことができない等明らかな障害が発生している場合は弁護士に相談して早急な事態の解決に動くことをおすすめします。

 弁護士に相談する、と言うといきなり裁判になって大事になる、と考えて気おくれしてしまいがちですが、よほど本人の意志で裁判で戦いたいという気持ちで無ければ、弁護士はきちんと手順を追って対応を検討してくれます。

 まずは本人の代理人として、会社側に本人の主張や問題点を指摘してもらい、事態の改善を図るよう交渉をしてもらうことができます。弁護士はあなたの感情面も考慮しながら、会社側にどこまでの法的責任を請求できるかを検討しますから、これまで残してきた記録や、相談した同僚等の証言から相手や会社の何が問題であったかを法律の観点で見るためにも、やはり弁護士の力を借りるというのは問題解決のためには非常に有効な方法になります。

 会社側も1人の従業員よりも弁護士からの指摘であれば真摯に対応せざるを得ませんし、法的な問題点が客観的に説明されることで改めて自社の問題として認識される可能性が高くなります。

 しかし、残念ながらそのような交渉を経ても会社側が十分な対応をとってくれない場合には、裁判という選択肢もでてきます。

 裁判には民事・刑事の2種類がありますが、どのような争点で相手方と争い、何を求めるのか、そして裁判の後のことも考えてどのような態度で臨めばよいか等、弁護士と十分に相談しながら進めることが重要です。

 無事に裁判で相手方や会社の責任が認められれば、体調を崩したことや働けなくなったことで失われた労働の機会や、精神的な苦痛に対する損害賠償が認められる可能性も高まります。

 また、裁判に進んだとしても、会社にとっても長期間の裁判に臨む負担は大きいですから裁判中に示談や和解に向けた話し合いが設けられる可能性もあります。

問題の解決後のありたい姿を考える

 ハラスメント問題の解決は長期戦になることも少なくありません。

 ハラスメントに苦しんでいるうちには将来のことまで考えるのは大変ですが、問題が解決した後に自分はこの会社で長く働いていきたいのか、一度問題が起きた場所では働きたくないから転職を検討したいのか、しばらく休養して体調の回復を図りたいのかについても、問題の解決策と同時に考えていくことも大切です。

 ハラスメント問題を解決する真の目的は、自分が充実した職業人生を歩むことであるとも言えます。

 将来の方向性を見据えることで、解決に長い時間がかかったとしても前向きに対応が進められますし、相談する同僚や弁護士にとっても適切なアドバイスに繋がりやすくなるため、自分の将来のありたい姿についても徐々に明確にしていくように心掛けましょう。

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