遅刻・早退での減給は違法?|懲戒処分とノーワークノーペイの原則

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

「遅刻をしたら、給料から一定金額が差し引かれていた」という経験をしたことはありますか?

電車の遅延、人身事故、豪雨など、遅刻や早退の理由は人それぞれです。

しかし、賃金は全額払いが原則です。

では遅刻や早退をした場合、賃金が減給されるのは違法なのでしょうか、それとも正しいことなのでしょうか?

この記事では、遅刻や早退をした場合の正しい賃金の扱い方についてみていきましょう。

遅刻・早退に対する減給の一般的な見方

給与は、労働者にとって重要な条件のひとつです。

雇用契約を結ぶ際に、賃金だけでなく、始業時間や終了時間、1日の労働時間などの勤怠管理をしっかり確認したことでしょう。

つまり、労働者は会社に雇用されている以上、会社が定めたルールに従う義務があるのです。

そのため、正当な理由なく、遅刻が慢性化しているなら、雇用主は「減給」という処分をとることがあるかもしれません。

では、労働者にとっての遅刻や早退の正しい見方を確認してみましょう。

遅刻は雇用契約違反!

遅刻の原因には、電車の遅延や人身事故など正当な理由だけでなく、二日酔いや寝坊、体調管理不足、時間管理能力の不足など自己都合による理由もあります。

しかし、雇用契約により、労働者は、始業時刻どおりに出勤する義務が課せられています。

したがって、どのような理由にせよ遅刻をすること、つまり始業時刻に間に合わないことは、雇用契約違反となるのです。

遅刻にはペナルティが生じることがある

遅刻は、労働者による雇用契約違反です。

そのため、自己都合による遅刻の場合は、雇用主は遅刻した労働者に対してペナルティを課すことができます。

企業によっては、トラブルを回避するため、事前に遅刻や早退による減給制度を採用しているところもあります。

もちろん、やむを得ない遅刻に対してペナルティを課すことは、労働者の労働意欲を失う危険性があるためふさわしくありません。

しかし、自己都合による遅刻が頻繁の場合は、減給、最悪の場合は解雇などのペナルティが生じることがあります。

遅刻や早退にペナルィが課される理由

就業規則に反する遅刻をした場合、違反行為に対して罰則を設けるのは一般的な考え方です。

それを理解するためには、遅刻が及ぼす影響を考える必要があります。

それは、雇用主が主に2つの影響、①業務の遂行、②他の労働者への心理的影響を心配しているからです。

まず業務を遂行するにあたり、必要な人数が揃わなければ業務は滞ってしまいます。

ミスやケガなどが発生する原因にもなるでしょう。

また、他の労働者の心理的影響にもつながります。

たとえ業務にそれほどの影響を及ぼさないとしても、遅刻や早退をする労働者を見ていい気持ちになる人はいません。

チームワーク全体の仕事に対するモチベーションを低下させてしまう恐れがあるため、遅刻する労働者に対してペナルティを課すことがあります。

遅刻・早退による減給は認められている?

労働者は会社に対して労働する義務があり、雇用主である会社には、労働者に労働の対価として、賃金を支払う義務があります。

特に雇用契約で結ばれている労働者にとっては、賃金は生活の糧になる非常に重要なものですよね。

でも、雇用主には労働者の遅刻による減給が認められています。

ただし、一定のルールに従っていなければ減給が違法行為となることがあります。

ノーワークノーペイの原則とは?

賃金は、労働者が労働時間分だけ働いたことに対する労働の対価です。

したがって、雇用主には、労働者が労働していない時間分の賃金を支払う義務はありません。

つまり、労働者が働いていないのであれば、それに対応する賃金は発生しない、ということです。

これを「ノーワークノーペイの原則」といいます。

遅刻や早退の場合は、少なくとも,遅刻した時間分、早退した時間分は労働をしていません。

ですから、雇用主にはその分の賃金を支払う義務は発生しないということです。

民法第624条には、「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」明記されています。

つまり、労働者は、遅刻や早退で給与が減給されてたとしても、労働していない分の賃金は、雇用主に請求することはできません。

給与を減額するかどうかは雇用主の判断

労働者が遅刻・早退をした場合、給与を減額するかどうかに関する法律上の規定はありません。

ですから、「ノーワークノーペイの原則」に従って遅刻・早退をした分の給与を控除することもできますし、控除しないことも可能です。

つまり、雇用主の判断で決められています。

遅刻・早退で減給する場合

通常の遅刻・早退に関する減給は、具体的に就業規則のどこをチェックすればよいのでしょうか?

まず遅刻・早退について給与控除の旨が記載されているかどうかを確認してみましょう。

遅刻・早退について時間で控除する場合は、規定例として「遅刻または早退により、所定労働時間の一部を休業した場合においては、その休業した時間に対する給与は支給しない」などの旨が記載されています。

このような旨が明記されている場合は、ノーワークノーペイの原則が当てはまります。

また、就業規則には、

  • 遅刻や早退をする場合、いつ連絡をすればよいのか?
  • 就業時間前に連絡する場合、どこに連絡すればよいのか?
  • 遅刻や早退は有給消化に対応しているか?
  • 遅刻の連絡がない場合、どのように対処されるのか?
  • 遅刻早退届を提出するのか?

などの具体的なルールも設けられているはずです。

遅刻の原因はさまざまで、自分の力ではどうにもできずに遅刻してしまうこともあります。

ですから、今の会社の就業規則をもう一度確認し、遅刻・早退で雇用契約違反とならないように日々努めてまいりましょう。

就業規則を確認してみよう

遅刻・早退による給与の減給が、どうしても理不尽に感じる場合は、就業規則(給与規定)、労働契約書をもう一度確認してみましょう。

なぜなら、あらかじめ就業規則に「懲戒処分」の性質を持つ減給の旨が記載されている場合は、違法とはみなされないからです。

では、懲戒処分の性質を持つ減給とは、どのような減給なのか確認してみましょう。

懲戒処分として減給する場合

雇用主には、遅刻した労働者に「懲戒処分」として減給の制裁を加えることも認められています。

懲戒処分は、ノーワークノーペイの原則よりも厳しい処分です。

そのため、懲戒処分の性質を持つ減給は、あらかじめ就業規則(給与規定)に明記しておくことが雇用主には求められています。

また、懲戒処分の理由もしっかり明記しておかなければいけません。

つまり、遅刻が懲戒処分の対象となり、減給される旨が就業規則等にあらかじめ予告されているということです。

一方、就業規則に減給の旨が記載されていないのに減給されている場合は、雇用主の違法行為となります。

減給額にはルールがある

懲戒処分の性質を持つ遅刻・早退による減給額は、労働基準法で上限が設けられています。

ですから、あなたの給与が減給されているなら、上限を超えていないか確認してみましょう。

労働基準法第91条には、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と規定されています。

つまり、①一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えていないことと、②総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないことです。

例えば、月給20万円で1日の平均賃金が1万円の労働者の場合、1回の遅刻・早退で減給できる上限は5,000円(1万円の2分の1)です。

そして、1ヶ月の間に複数回遅刻・早退をした場合は、2万円(20万円の10分の1)が上限となります。

このように遅刻・早退による減給には、ノーワークノーペイの原則に基づく減給と、懲戒処分の性質を持つ減給があります。

ですから、今一度就業規則(給与規定)を確認し、自分の遅刻による給与減額は正当なものなのかどうかを確かめてみましょう。

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