歩合制は違法?歩合制が違法になるケースとは?

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

求人広告でよく目にする「歩合制(ぶあいせい)」。

給与にプラスアルファとして特別にお金がもらえるイメージがありますよね。

でも、「歩合制になって給与が増えたと思ったら、翌月は成果が出せずに給与が極端に下がってしまった」という経験をしたことはありませんか?

実は、歩合制には、異なる特徴を持つ2つの給与体系があり、そのうちひとつは雇用形態によっては違法になる可能性があります。

そこで歩合制とはどのようなものか、また、歩合制が違法になる具体的なケースについてみていきましょう。

歩合制の正しい意味 | 完全歩合制は違法?

個人の出来高に応じて成果を受け取る歩合制は、仕事での成績がダイレクトに給与に反映されます。

そのため、実力主義の方にとっては、やりがいを感じることができる給与形態ですよね。

でも、思ったように結果が出なかったときや、体調を崩したり、プライベートな事情で仕事ができなかったときは、給与もその分少なくなってしまうので落胆してしまうこともあります。

そんな歩合制には、「固定給+歩合給」「完全歩合制」の2つの給与体系があります。

どちらの給与体系が採用されているかにより、場合によっては違法となる可能性があるため注意は必要です。

では、異なる特徴を持つ2つの歩合制についてみていきましょう。

固定給+歩合給

「固定給+歩合給」とは、歩合給とは別に、基本給として一定額を固定で受け取れる給与形態です。

会社で雇われている労働者に一番多い歩合制と言えるでしょう。

固定給は比較的低めに設定されているケースが多いですが、その分、個人の成績に応じて歩合給を受け取れるのが特徴となっています。

また、一定の固定給が保障されているので、成績に関わらず安定した生活を送ることが出来るのはメリットです。

完全歩合制

一方、「完全歩合制」とは、固定給が一切支払われず、個人の成果に応じた給与のみが支払われる給与形態です。

完全歩合制は、「フルコミッション」や「完全出来高制」ともいわれています。給与を受け取るためには、会社が定めた基準に沿って実績を上げる必要があります。

好成績を残せば高い給与を手にすることができますが、全く成果を残せない場合は給与がゼロになります。

そのため、実力に自信がある方や成績などを見える形で評価されたい方にとっては最適な給与形態と言えるかもしれませんが、多くの方にとってはリスクの伴う給与形態と言えるでしょう。

アルバイトやパートでも歩合制が採用されていることも

歩合制は、正社員や業務委託だけでなく、アルバイトやパートなどでも採用されています。

例えば、チラシ配布や商品販売などの仕事は、時給ではなく、配ったチラシの枚数や販売した商品の個数などで給与が決定します。

また、美容師やビールの売り子、タクシー運転手などにも歩合制が採用される職業として知られています。

完全歩合制は違法なのか?

完全歩合制を強いることは、法律上、違反になる可能性があります。

労働基準法27条は、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と定めています。

会社は雇用契約を結んでいる労働者に完全歩合制を採用することが認められていません。

つまり、利益に結びついたかどうかに関わらず、雇用主は労働者に一定額の賃金を支払う義務があるのです。

そのため、労働契約に「完全歩合制とする」と記載されているとしても、法律違反となるため、契約は無効になります。

もちろん、完全歩合制で働いている人たちもいます。

ただし、完全歩合制を採用できるのは、労働者ではなく、「業務委託契約」として契約を結んでいる個人事業主などであり、労働者ではありません。

したがって、現在、会社から完全歩合制で給与をもらっている場合は、違法となります。

歩合制の額が適正か規定でチェック!

歩合制を採用している企業はたくさんありますが、その中には歩合制を悪用している、いわゆるブラック企業も存在しています。

労働者を不当に低い給与で働かせているのです。

ですから、歩合制が採用されているなら、「自分は雇用主にこきを使われていないか?」「適切な額の給与をもらっているか?」「最低賃金を下回わっていないか?」とチェックしましょう。

そのためには歩合制の規定を理解する必要があります。適切な額の給与を受け取れているか確認してみましょう。

労働基準法による「最低賃金」の規定

労働基準法では、労働者が不利益を被らないよう「最低賃金」「保障給」の規定を定めています。

最低賃金とは、最低賃金法に基づきで定められた1時間あたりの労働賃金(時給)のことです。

最低賃金は、地域や業種で設定されており、毎年10月に各都道府県の労働局長らが改定します。

会社と雇用関係を結んでいる労働者の場合、最低賃金を下回る賃金での労働は法律で認められていません。

「固定給+歩合」においても、最低賃金を下回ってはいけません。

時給の求め方

固定部分の時給は「固定部分の時給=固定部分の給与÷所定労働時間」、歩合給部分の時給は「歩合給部分の時給=歩合給部分の給与÷総労働時間」という計算式で求めます。

その後、固定部分の時給と歩合給部分の時給を合計したものが、時給となります。

時給を求めたら、自分が働いている都道府県の最低賃金と比較してみましょう。

もし、最低賃金を下回っていた場合は、違法となります。

違法の場合は、「(最低賃金-算出した時給)×労働時間」の計算式で算出された差額を請求することができます。

労働基準法による「保障給」の規定

一方、保障給とは、労働基準法27条で定めている「使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」の「一定額の賃金」のことです。

固定給+歩合が採用されている場合は、この一定額の賃金である保障給を必ず受け取れます。

また、一定額の賃金とは、労働省からの通達(労働省発基)によると「支払われた賃金の6割以上」が1つの目安とされています。

例えば、給与総額に対して歩合給の割合が4割を超えた場合は、給与総額に対して固定給が6割以上になるように増額されていなければいけません。

つまり、この増額した分が、保障給に該当するというわけです。

歩合制が違法になる具体的なケース

労働基準法を無視した歩合制の運用を悪用している企業は、実際に数多く存在しています。

違和感を感じつつも、違法とは知らずに、そのまま使われている労働者は少なくありません。

歩合制は、成果が見えやすいのでモチベーションアップにつながりますが、違法であるなら、働いた分の対価を賃金としてもらう権利が労働者にはあります。

では、歩合制が違法になる具体的なケースをみてみましょう。

雇用契約を結んでいる場合

正社員や契約社員、アルバイトやパートなど雇用形態を問わず、会社と雇用契約を結んでいる労働者に対して、完全歩合制が採用されている場合は、違法です。

なぜなら、完全歩合制を採用できるのは、「業務委託契約」を結んでいる個人事業主だけだからです。

個人事業主との契約であれば、労働基準法は適用されません。

つまり、労働基準法27条の「使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」は適用されないため、完全歩合制が採用できます。

最低賃金よりも低い「固定給+歩合給」の場合

「固定給+歩合給」の場合でも、歩合制が最低賃金よりも低い場合は、違法とみなされる可能性があります。

固定給+歩合給の場合、基本的に固定給は低くなりがちですが、法律上、最低賃金以上の給与は保障する必要があります。

そのため、固定給で働いている労働者よりも、著しく給与が低い場合は、法律で罰せられることがあります。

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