傷病手当金と失業保険の両方はもらえない?制度の説明から流れまで紹介

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

 病気やケガにより長期間働けなくなった場合、生活費を保障する制度として「傷病手当金」と「失業保険」があります。しかし、傷病手当と失業保険には違いがあり、また同時にもらうことはできません。

 本記事では、傷病手当金と失業保険の制度に関する説明から注意点、どちらを活用すればよいのかについて、労働者目線で紹介いたします。

傷病手当金の制度と注意点

病気やケガで長期間働けなくなった場合の生活を保障する制度の1つに傷病手当金があります。本章では傷病手当金の制度と注意点について紹介します。

傷病手当金はどんな制度なのか?

 傷病手当金とは、病気やけがで4日間以上働けなかった場合に、給料の一定額が健康保険から支給される制度です。細かい計算は複雑なので本記事では割愛しますが、おおよそ給料の3分の2が保障されると考えておけば間違いないでしょう。

 傷病手当金の特徴は、医師の判断に基づいて決まることです。そのため、傷病手当が支給されるためには、医師の診断書が必要です。また、傷病手当金の申請書には本人・医師・会社の記入欄があり、全て記入された時点ではじめて受給されます。

 また、傷病手当には実は2種類あります。それは、健康保険から支給される「傷病手当金」と雇用保険法上の「傷病手当」です。

 2つの違いとしては「在職中に発生した傷病」と「離職中に発生した傷病」です。本記事では前者の「在職中に発生した傷病」である「傷病手当金」に関して紹介します。

しかし、傷病手当金は受給期間について注意が必要です。

傷病手当金に関する注意点

 傷病手当金の受給期間は最大で1年半となっていますが、この受給期間に注意点があります。それは「はじめて傷病が発覚した日から1年半」ということです。具体例を交えて紹介します。

 例えば、あなたが2019年の4月1日に病気を患ったとします。この場合、傷病手当金の受給期限は1年半後の2020年10月31日までとなります。しかし、下記のような場合も多いのではないでしょうか。

 2019年4月1日に病気が発覚し休職して、同年7月1日に復職。しかし同年11月1日に再発し再び休職しました。この場合、7月1日から10月31日の4か月間は勤務していますが、傷病手当金の受給期限は勤務している4カ月分伸びるということはなく、2020年10月31日まで受給期限のままです。
 ただし、傷病が異なればリセットされます。例えば複雑骨折で2カ月休職し、復職して半年後うつ病で休職したとしましょう。この場合の傷病手当金の受給期間は、複雑骨折の日から1年半ではなく、うつ病を患った日から1年半となります。

失業保険の制度と注意点

意外と思われるかもしれませんが、失業保険も病気やケガで長期間働けなくなった場合の生活を保障する制度です。しかし、病気やケガで働けない方ならではの注意点もあります。本章では失業保険の制度と注意点について紹介します。

失業保険はどんな制度なのか?

 失業保険とは会社を退職した後に、次の仕事が見つかるまでの間の生活費を保障する制度です。失業保険の金額計算も傷病手当と同様に複雑ですが、おおよそ退職前の5~8割と考えておけば間違いないでしょう。

 失業保険の特徴は自己都合退職と会社都合退職(リストラなど)で、受給開始日と受給日数が異なることです。病気やケガで退職する場合の大半が「自己都合退職」に該当しますが、自己都合退職では1週間の待機期間後、※3カ月の給付制限期間があります。そのため、3カ月分の生活費を貯金しておく必要があります。

※2020年10月1日以降に自己都合で退職された方は、給付制限期間が3カ月から2カ月に短縮されます(ただし懲戒解雇など、自己の責めに帰すべき重大な理由を除きます)。

 一方で、病気やケガで失業保険を検討される方の場合、注意点があります。

失業保険の制度に関する注意点

 失業保険での注意点ですが、そもそも「働く意思があるが、仕事が見つからない人向けの制度」ですので、病気やケガで働けない場合はもらうことはできません。

 しかし、病気やケガですぐに働けない方向けの救済処置が2つあります。

 1つ目は「受給期間の延長制度」です。こちらは、退職日の翌日から1年間で30日以上継続して働けなかった方向けの救済処置となります。延長期間は本来の受給期間の1年に加え、3年の猶予があり最大4年となります。受給期間の延長制度を利用するには届け出が必要ですので、病気やケガで退職された方は、忘れずに申請しましょう。

 2つ目は「雇用保険法上の休業手当」です。こちらは労働者が「業務上」での負傷した場合に、退職前の6割前後が支給される制度です。例えば、業務中に転落したことで負傷した場合は「業務上の傷病」ですので、休業手当をもらうことができます。業務によるケガや病気であると認められる場合には、救済処置として活用したい制度です。
 では、病気やケガで退職した場合、傷病手当金と失業保険を同時にもらうことはできるのでしょうか。

傷病手当金と失業保険、どちらがよいか?同時にもらえる?

結論からいいますと、傷病手当金と失業保険を同時にもらうことはできません。そのため、傷病手当と失業保険のどちらを受給するか検討する必要があります。

 また、状況によって傷病手当金と失業保険のどちらを受給するか異なります。本章では、傷病手当がおすすめの方と、失業保険がおすすめの方について紹介します。

傷病手当金と失業保険を同時にもらうことはできない

 冒頭でも紹介しましたが、傷病手当金と失業保険を同時にもらうことができません。同時にもらえない理由は、失業保険が「現時点ですぐに働けるが、仕事が見つからない人向け」であるためです。

 現在、病気やケガで長期間働けない状態ですから、失業保険をもらう前提「すぐに働けること」に該当せず、受給要件を満たしません。また、現在の職場に在籍しており休職中の場合「職がない」わけではないので、失業保険の受給要件を満たしません。

 一方で傷病手当金を受給するためにも条件がありますので、まずは傷病手当金の受給要件を満たすかどうか確認する必要があります。次章で傷病手当金の受給要件を紹介しますので、参考にしてください。

1年以上勤めた人はまず傷病手当金から

 傷病手当金の支給条件ですが「4日間以上連続して労務不能であり、なおかつ継続して健康保険に12カ月以上加入していること」となります。支給条件から判断しますと、退職日前に1年以上勤めた人は、まず傷病手当を受給しましょう。

 上記の条件を満たしている場合、傷病手当の受給期間である「発症から1年半」の間であれば、退職後でも、継続して受給することが出来ます(病気やケガが回復し、復職や転職した場合は別)。

 また、転職直後に病気やケガで長期間働けなくなった場合でも、「健康保険」に連続して12カ月以上で加入していれば、傷病手当金の受給要件を満たします。つまり、転職前と転職後で健康保険組合が異なっていても問題ありません。

 ただし、転職前に転職後と同一の傷病を患っている場合は、転職前の発症日を開始日としますので、最初の発症日から1年半以上経過していれば、傷病手当金を受給することができません。

 これまで説明した傷病手当金の要件を満たしていない場合は、失業保険の延長申し出を行う必要があります。

短期間での退職は失業保険の延長届け出を

 初めて健康保険に加入して12カ月以内というような短期間で退職された方、健康保険の加入期間のブランクがある方、傷病発症日から1年半以上経過している方は傷病手当を受給できませんので、失業保険の延長届け出を行います。新卒で入社して12カ月以内に病気やけがで長期間働けず、退職した場合が代表例です。

 失業保険の延長届け出は、あなたのお住いの地域のハローワークにて手続きを行っています。また、病気やケガによりご自身で届け出をすることが困難な場合は、郵送や代理人による手続きも可能です(代理人の場合は委任状が別途必要)。

傷病手当金から失業保険に切り替えるタイミング

 最後に、傷病手当金から失業保険に切り替えるタイミングに関して紹介します。切り替えるタイミングとしては傷病手当の受給期間が満了する、発症から1年半後になります。しかし、その後の手続きの方法は2パターンに分かれます。

 1つ目は傷病手当金の受給期間が満了し、29日以内に病気やケガが回復して働けるようになった場合です。この場合ですと、働けるようになった段階で失業保険の受給申請を行います。

 2つ目は傷病手当金の受給期間が満了したが、30日経っても病気やケガが回復しておらず働けない場合です。この場合では、先ほど紹介した通り「失業保険の延長届け出」を提出しなければなりません。

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