人事評価が低いから辞める!会社の評価基準は違法になり得るのか

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

「会社からつけられた自分の人事評価が納得できない」

「フィードバックをされても結局どこをどう頑張ればよいのか、詳細を伝えてくれない。」

「同僚は人事評価が高く、低い自分はすぐに抜かれてしまった・・・」

人事評価の基準が曖昧で会社に不満をもつ労働者は多く、このまま泣き寝入りして辞めるかどうか迷っている人もいると思います。

場合によっては、人事評価が違法になるのではと疑問にもつこともありますよね。

今回は会社からの人事評価が低いことは、不当になるのか違法になるのか、詳しい解説を法律を交えながらお話ししていきます。

人事評価でモチベーションも下がっている人は、一度参考にしてください。

人事評価が不当に低いことは違法になるのか?

人事評価が違法かどうかは非常に判断が難しいですが、このまま不満に耐えて会社に居続けるのも辛いと思われます。

自分だけで評価が違法になるかどうか調べることもあるでしょう。

はたして違法になるのかどうか、法律の観点からお伝えしていきます。

人事評価が不当で違法になる場合

人事評価が不当と見なされる対象は、まとめて言えば上司個人の好みによって左右されることがほとんどになります。

パワハラ・セクハラ・差別などの周囲から見ても明らかな不公平な評価など、労働者を著しく格下げしたものは違法になるでしょう。

人事評価で突然の降格・減俸・解雇されたといった場合も、違法に当てはまります。

法律で決められている強行規定を犯している場合も、労働者の意思を無視しているとし人事評価が不当で違法になると認められるでしょう。

主に人事評価が違法と見なされるのは、以下の法律に引っかかった場合、強行規定の違法だと判断される可能性が十分にあります。

  • 労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由とする、労働条件の差別的取り扱いの禁止(労働基準法3条)
  • 性別を理由として、賃金の差別的取り扱いの禁止働基準法4条)
  • 性別を理由として、昇進等について差別的取り扱いの禁止(男女雇用機会均等法6条)
  • 女性労働者の婚姻、妊娠、出産などを理由とする不利益な取り扱いの禁止(男女雇用機会均等法9条、育児・介護休業法10条等)
  • 労働組合員であることを理由とする不利益な取り扱いの禁止(労働組合法7条)

人事評価が違法とされるポイント3つ

  1. 不当な動機、目的がある
  2. 評価の前提となった事実に間違いがある
  3. 評価基準が著しくバランスを欠いている

上司があなたを陥れるために評価をわざと極端に下げたり、きちんとした目標設定やフィードバックを行なってくれない場合、違法と指摘されることがあります。

人事評価が低いのは自分の能力のせいなのか、それとも不当な判断をされているのか。

あなただけで決めるのは非常に危険です。

仮に違法な人事評価ではなかった場合、反対につめられる可能性が高くなるでしょう。

上のポイントに当てはまっているからと、先走る前に冷静になることが大切です。

人事評価が公正かどうか確認するには

労働者には人事評価に納得がいかない場合、公正がどうか確認するために制度のチェックを上司などに申し出られます。

  1. 公正かつ客観的評価制度の整備・開示
  2. 公正な評価の実施
  3. 評価結果開示・説明義務

反対に評価の開示を求めたが、話をうやむやにされたり無視を決め込む上司は、とても公平な態度とはいえないでしょう。

何度言っても情報を開示してくれないときは、さらに上の上司に話してみるのがよいです。

人事評価が低いことで会社に対応を求められるか?

人事評価が低いと、会社に公平な対応をしてほしいと思うのは、誰しもが普通に感じることでしょう。

会社に対応を求め、きちんとした人事評価をしてくれるようになるのか。

以下に順を追って説明していきます。

人事評価の件で対応を求めるのは難しい

突然肩を落とすような話になりますが、人事評価については会社(上司)の裁量権が広く認められているため、対応を求めてもあしらわれたり異議を受け入れてくれないことの方が多い結果となっています。

もしくは多方面からみた評価になると客観的にみてくれていることになるので、「多方面から総合的に考慮した結果が会社の評価につながらなかっただけである」と判断されることもあるでしょう。

「明らかに不公平だ」といえる証拠などがない限り、会社に対応を求めるのは非常に難しいといえるのはこういった理由があるからです。

人事評価の不当が裁判になったケース

しかし人事評価に納得がいかなくて、裁判を起こした労働者が会社に勝ったケースもあります。

以下のいずれの事件も、会社に損害賠償や慰謝料を請求できる結果となりました。

①住友生命保険事件

住友生命保険相互会社の社員であった、女性従業員12名。

彼女たちは全員既婚者という理由だけで、会社から頻繁に差別・嫌がらせを受けることになりました。

家事・育児などの理由で定時に退社しているからと評価を低く査定され、本来なら就けるはずの役職にも昇格できず。

昇給に関しても未婚女性との賃金の差は年収200万にもなり、明らかな格差がありました。

これに対し既婚者の女性従業員12名は、昇格・昇給の差別・ハラスメントだと主張し、会社に損害賠償を求めた事例です。

労働者が勝ったポイント

昇格については当時まだ決定されていなかったので棄却されましたが、昇給の差別は未婚女性と比べると明らかでした。

既婚者であるからと評価の対象である業績・能力を否定、定時に退社しているからと評価を低く査定するのも認められない。

これにより裁判所では人事権の濫用をした不法行為と判断、損害賠償を一部認容した判決となりました。

②マナック事件

労働者であるXは、ある日同僚の前で経営陣に対する批判を発言。

上司・会長から発言の注意を受けていましたが、Xはこれに対する謝罪を拒否しました。

この言動・態度により「勤務成績が著しく悪い」と判断され、当時主任であったXを降格処分対象に。

それから4年間の間も評価は最低ランクのEをつけられ、賃金・賞与についても業績問わず低く評価されたことにより減額となっていました。

これによりXは会社に損害賠償を要求。

降格処分・評価の最低ランク・賞与の減額は違法であると訴えにでました。

労働者が勝ったポイント

人事評価については会社の裁量権が広く認められているため、違法ではないと裁判所では判断。

降格についても問題はないとされました。

しかし4年間の間、Xは批判的言動・行動をしていないにも関わらず評価は最低ランクのE。

その後も賃金・賞与の減額が続いていたことから「経営陣に対する批判を理由にした、極端な評価である」と認識されました。

これにより、評価のつけ方に関しては会社側に違法性があるとの判決。

裁量権から逸れているという観点から、慰謝料は棄却されましたが差額賃金の一部を請求することが認められました。

③塩野義製薬事件

女性労働者Xは会社に正社員として入社したあと、薬剤師免許を取得。

一般事務職の「DI担当者」として配属されたのち、その後女性で初めての「製品担当者」に従事することになりました。

さらに11年後には課長待遇にまで昇格。

Xは順調に昇格していたので能力に問題はなかったはずですが、当時同期であった男性従業員5名と、賃金・昇給に大きな差があることが判明しました。

これによりXは、男女差別を受けたとして会社を告訴。

会社に損害賠償・慰謝料を請求することにしました。

労働者が勝ったポイント

裁判所はXが女性であるというだけで、男性従業員と賃金・昇給に差をつけたことは会社側の問題であることを指摘。

不法行為・労働契約の違法にあたるとして、会社に賃金の差額分と損害賠償・慰謝料の支払いを求めました。

④シャープエレクトロニクスマーケティング事件

当時、女性労働者Xは通信機械器具・電気機械器具等の販売をしていました。

Xは女性という立場だけで賃金に差別をつけられており、昇格に関しても男性従業員は順調にあがっていくにも関わらず、女性であるXは長い間上にあがることはできませんでした。

これによりXは「圧倒的に不利な差別を受けた」と会社を訴えることを決意。

昇格した地位の確認・不法行為ではないかを理由として、会社に損害賠償を求めました。

労働者が勝ったポイント

会社の賃金制度・人事評価からみると、男性の方が早く昇格する傾向があると裁判所は認識。

しかし女性従業員であるXは能力に問題がなかったにも関わらず、男性よりも昇格が遅いというのは差別であることを指摘しました。

差額賃金の請求は棄却されましたが、男女差別があったことは明白であることから、労働基準法違反として慰謝料の支払いを会社に命じたケースになります。

人事評価の不満は声を上げて言うべき

会社の対応が難しくともまずは自ら声を上げて、人事評価が低いことに意見することで事態を好転させられる見込みがあるでしょう。

今まで会社に文句をまったく言わずに働いている人はとくに「何も言ってこないだろう」と足下を見られている可能性があるからです。

評価が低いことに不満をもっている証拠や根拠などを自分で提示することで、会社に公正な対応を促せるかもしれません。

期待値は低いとは言えますが、一度勇気を持って人事に納得がいかない旨を伝えてみるのがよいでしょう。

人事評価が低いから辞める場合の理由はどうする?

人事評価に納得がいかなくて辞める場合、その理由を正直に話すか穏便に済ませるため嘘をつくか、迷うことが多いと思います。

人事評価に不満があってやめるのに、それが自己都合退職となるのかどうかも気になっているところでしょう。

ここからは人事評価の不当を会社都合にできるのかどうかに加えて、評価が低いという理由で会社を辞める場合どう伝えればよいのか、以下から詳しくお伝えしていきます。

人事評価に不当があれば会社都合が可能

明らかな不当があったにもかかわらず自己都合退職になった場合、後日ハローワークで証拠を提出して認められれば、会社都合退職に変更することが可能です。

人事評価の不満を上司に申し出たら無理やり解雇されたなど、目に見えて不当だと分かる行動をされた場合、十分会社都合だと認められる証拠となるでしょう。

ハローワークで「会社都合退職になり得る」と判断されれば、通常2ヵ月の期間を待つことなく早めに失業保険が支給されます。

逆にいえば証拠があっても、会社都合と認められないときは、残念ながら自己都合退職の扱いとなるでしょう。

人事評価に不満があると正直に話す

率直に理由を告げることで、自分の気持ちもスッキリできるしょう。

注意点としては不満を包み隠さず言ったことで、上司から嫌がらせを受ける可能性や退職を引き止められる可能性があがるといった内容です。

嫌がらせは退職までの我慢、とメンタルを強く保てばクリアできるでしょう。

しかし上司の「人事評価を改善するから、退職はしないでくれ」などの口車にのってしまい退職願いを取り下げてしまったら。

時間が経つばかりで状況は相変わらず変わっていない、といった悲惨な末路になるケースも考えられます。

一度退職を取り下げてしまったことでまた辞めたいと感じても、どのタイミングで言えばいいか迷ってしまうことになるでしょう。

自分の意思が硬いのであれば、上司の甘い囁きにも乗らずに退職の手続きを速やかに行うことが大切です。

人事評価の不満が理由であっても隠す

あえて退職理由を隠して他のポジティブな言い方に変えることで、退職までの期間がまだあったとしても肩身が狭い思いをしなくても済みます。

自身の気持ち的にも後腐れなく不満をぶちまけたいと思うでしょうが、上にあげた例のように、正直に話したことによって嫌がらせを受けることもあり得ます。

そう考えると、違う会社に転職するにしても嫌な気持ちのまま見送られるよりもよい状況だといえます。
嘘を言うことに抵抗がある人もいるかもしれませんが、嘘も方便というように円満に退職するにはもってこいの告げ方にはなるでしょう。

人事評価が低いことを誰かに相談するには?

人事評価が低く悩んでいるときは、第三者から意見をもらうと物事が解決方向に向かう手立てになるかもしれません。

誰彼構わず同僚や身近な人に公にすることはオススメできません。

話すのなら自分が心から信頼できる人、もしくは専門家に相談するのがよいといえます。

相手をしぼったうえで、人事評価が低いことに納得がいかない旨を根拠を交えながら話していきましょう。

労働局もしくは弁護士に相談する

労働局では労働者と会社の間に起きたトラブルに対し、職場での問題の相談を受け付けてくれたり、あっせん(仲介)してくれたりします。

助言をくれたり、証拠から問題が発覚したら会社に指導してくれることもあるのです。

各都道府県に機関が設けられているので、誰にも相談できる人がいないといった場合には足を運んでみるのがオススメといえます。

弁護士は労働に関する専門知識がある人に相談するとよいでしょう。

弁護士と聞くとハードルが高そうで相談するのに戸惑うかも知れませんが、人事評価が違法・不当かどうかの判断を、法律などの観点から助言してくれます。

人事評価が訴えられるレベルかどうかは、労働者だけだとなかなか判断できません。

そういった場合には、一度無料相談などを使って聞いてみるのがよいといえます。

忘れないでほしいのが、労働局や弁護士はあくまで頼みの綱というだけです。

人事評価が違法・不当でなかった場合、もう一度自分だけで会社に立ち向かうことになるかもしれません。

もうひとつ、証拠・資料・事実だと言える根拠は、他でもないあなたが相談する前に入手しておくことになります。

できる範囲でよいので有利になりそうなものがあれば、すべてかき集めておき、労働局や弁護士に提出してきちんと説明できるようにしておきましょう。

人事評価のことを信頼できる上司に話す

評価をしている上司は避けて他の上司に相談することで、もしかしたら人事評価の件について意見をあおいでもらえるかもしれません。

言われた上司が逆上する可能性もありますが、あなたから尋ねても返答してくれないのなら他の上司に頼めば何か変わるかもしれないです。

「聞き入れてくれなくてもいいから、話だけでも聞いてほしい」という場合は、それもよっぽど信頼のおける上司にしておきましょう。

なかには表面上だけいい顔をして、実は口の軽い人だった、ということもあります。

普段の行動や言動を十分に見極めてから、慎重に話す上司を選ぶのがよいでしょう。

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