テレワークで労災が認められる条件と具体例や注意点を解説

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

会社以外の場所で働くテレワーク中にけがをした場合、労災として認められるか分かりにくいですよね。労災とは、勤務時間中や通勤中のけがや病気などになります。原則、テレワーク中であっても労災として認められます。ただし、テレワーク中のけがが労災として認められるためには、仕事中のけがであることと、仕事をしていたことが原因のけがであることが必要です。

この記事では、そもそも労災・テレワークとはなにか、テレワーク中のけがなどが労災として認められる条件と労災として認められる具体例と理由、労災を意識したテレワークの働き方について解説します。

そもそも労災とは? テレワークとは?

労災とは

労災とは、雇用されている人の仕事中あるいは通勤中のけがや病気などになります。労災には大きく分けると労働災害通勤災害の2種類があります。業務中のけがや病気は労働災害、通勤中のけがや病気は通勤災害です。労災が発生した場合は、労働者災害補償保険によって補償されます。

テレワークとは

テレワークとは、スマホやノートパソコンなどの情報通信技術を利用した、場所や時間にとらわれない働き方です。テレワークと聞くと、自宅で働く場合をイメージする人が多いかもしれませんが、テレワークには以下の3種類があります。

  • 在宅勤務
  • モバイル勤務
  • サテライトオフィス勤務

それぞれのテレワークの働き方がどういったものなのかを紹介しておきます。

在宅勤務

在宅勤務は、業務を自宅でおこなうため通勤を必要としない働き方です。育児休業明けなどの家庭生活と仕事を両立できる働き方になります。

モバイル勤務

モバイル勤務は、働く場所を自由に決めることができる働き方です。ノートパソコンなどを活用し、移動中の電車の中など臨機応変に働く場所を選択できるため、効率よく働くことができます。

サテライトオフィス勤務

サテライトオフィス勤務は、所属する会社以外のオフィスで仕事をする働き方です。在宅勤務やモバイル勤務より作業環境が整った場所で仕事ができるうえに通勤の負担が軽減される働き方になります。

テレワーク中のけがでも労災と認められるのか?認められる条件とは

テレワーク中のけがでも、原則として労災として認められます。労災として認められるためには業務遂行性業務起因性の2点を満たすことが必要です。ただし、テレワーク中のけがは、業務遂行性と業務起因性を客観的に確認しづらい点があるので注意が必要になります。

原則としてテレワーク中であっても労災として認められる

テレワーク中にけがをした場合、会社の中でけがをした場合と同様に労災として認められます。会社の中だけではなく、自宅やモバイル勤務、サテライトオフィスなどでけがをした場合も労災の対象となります。

また、モバイル勤務とサテライトオフィス勤務については、移動中のけがでも通勤災害と認められる可能性があります。

厚生労働省のガイドラインには、事業主の支配下で発生したテレワーク中の災害は業務上の災害として労災として認められると書かれています。

参考:厚生労働省:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン

業務遂行性と業務起因性の2点を満たす必要がある

テレワーク中に限らず労災が認められるためには、業務遂行性と業務起因性の2点を満たす必要があります。仕事中のけがや病気すべてが労災として認められるわけではありません。

業務遂行性と業務起因性とはどういったものなのかを解説します。

業務遂行性

業務遂行性とは、「労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態」にあることです。分かりやすく言えば、会社からの指示のもとに仕事をおこなっている状態になります。

テレワーク中は、常に仕事をしているだけではなく、家の掃除や料理、休憩時間中の副業などをおこなうこともあります。仕事をしていないときのけがについては労災と認められません。

業務起因性

業務起因性とは、「業務または業務行為を含めて、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態に伴って危険が現実化したものと経験則上認められること」です。分かりやすく言えば、けがをした原因が仕事をしていたことにあることになります。

テレワーク中は業務遂行性と業務起因性が確認しづらい点に注意

テレワーク中のけがについては、業務遂行性と業務起因性が確認しづらい点に注意しておきましょう。

テレワーク中にけがをした場合は、会社内で働いている場合の労災のように、誰かが業務遂行性と業務起因性を裏付けてくれることはありません。

テレワーク中のけがを労災と認めてもらうためには、仕事中のけがなのか、仕事をしていたことが原因のけがなのかといった業務遂行性と業務起因性を客観的に証明できる証拠があることが望ましいです。

労災として認められる具体例と理由

実際にどのような場合のけがが労災と認められるのかを、具体的な例と労災と認められる理由とともに解説します。

自宅の椅子から転倒してけがをしたケース

以下のような事例の場合は、労災と認められます。

「勤務時間中に自宅でパソコン業務をおこなっていた。トイレに行くために一旦パソコンの前から離れた後、再度仕事を始めるためにパソコンの前に戻り椅子に座ろうとしたら転倒してけがをしてしまった。」

この事例が労災と認められるのは、以下の2点を満たしているからです。

  • 業務遂行性
  • 業務起因性

労災と認められる理由について解説します。

私的行為によるものと認められない

上記の事例の場合は、所定労働時間中にパソコン作業をおこなうために椅子に座ろうとして転倒しています。椅子に座る目的がパソコン業務をおこなうためなので、私的行為によるものではないということになります。

業務行為に付随する行為に起因して災害が発生している

上記の事例の場合は、仕事をおこなうために椅子に座ろうとしたときに転倒しています。

「作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒したこと」が業務行為に付随する行為に起因した災害となるわけです。

テレワーク中のけがでも労災と認められないケース

テレワーク中のけがは労災と認められますが、私的行為が原因であるものや業務が原因でない場合については、労災と認められません。

私的行為が原因である場合

  • 自宅内のベランダで洗濯物を取り込む
  • 個人宛の郵便物を受け取る

上記のような状況で発生したけがについては、業務行為に付随する行為ではなく私的行為が原因となるため労災と認められません。

業務が原因でない場合

  • 子供のいたずらで頭にコブができた
  • 仕事しながらストレッチをしていたら腰をひねった

上記のような場合は、業務行為に付随する行為に起因していないと判断されるため労災と認められません。

労災を意識したテレワークの働き方

テレワーク中は、ひとりで仕事をおこなう場合がほとんどです。けがをしたときの状況を会社の誰かが見ているわけではありません。労災と認められるかどうかの判断は所轄の労働基準監督署がおこないます。労災の判定をおこなう場合の参考になるように以下の点に注意して働くようにしましょう。

  • 業務時間と私的時間を明確にする
  • 働く場所を明確にする
  • 仕事をしていたことが分かる記録をつける

具体的にどうすべきかを解説します。

業務時間と私的時間を明確にする

自宅でテレワークをおこなう場合は、業務時間と私的時間があいまいになりやすいです。椅子から転倒した場合でも、仕事中に転倒したのか、仕事をおこなうための行為が原因で転倒したのかを客観的に証明することは難しくなります。

業務時間と私的時間を明確にしておくことで、労災の判定をおこなう場合の参考になります。

働く場所を明確にする

テレワークをおこなう場合には、会社から働く場所を指定されることもあります。自宅で仕事をおこなうように指示されているのに、別の場所で仕事をおこなっていた場合は、労災の判定が不利になる可能性があります。

テレワークをおこなう場所については会社と事前に打ち合わせをしておきましょう。

仕事をしていたことが分かる記録をつける

テレワーク中は、仕事をしていたことを証明してくれる人がいない場合がほとんどです。定期的にメールを送信する、始業時と終業時の記録を残すといった仕事をしていたかどうかを客観的に判断できる記録を残すようにしましょう。

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