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【年俸制=残業代がもらえない】そう思っていませんか。
結論として、年俸制でもほとんどの方が残業代をもらえます。
この記事では、なぜ年俸制でも残業代がもらえるのか、残業代がもらえるケース・もらえないケースについて徹底解説。
さらに、どうすれば残業代がもらえるのか、またいくらもらえるのかお伝えします。
目次
年俸制は年間の給与がズバッとわかるため、長期的な計画を立てやすいというメリットがありますよね。
ですが、成果主義・能力主義というイメージから、「年俸制は残業代がもらえない」と思っていませんか。
結論、これは間違いです。年俸制の方でも残業代はもらうことができます。
では、どういう場合に残業代が請求できるのでしょうか、年俸制について説明をしながらお伝えします。
【年俸制】と聞くと、一昔前ならプロ野球選手のイメージが強く、あまり馴染みのない言葉でした。
しかし、ベンチャー企業や外資系企業など年俸制を採用する企業が増え、さらに国内の大手企業でも年俸制を取り入れるということが増えています。
普通に暮らす私たちにとっても、年俸制という言葉は一般的になりつつあります。
とは言うものの、野球選手のイメージから【年俸制=成果主義や能力主義】という印象が強く、年俸制の具体的な内容について理解されていない場合がほとんどです。
なかでも、「年俸制では残業代をもらうことができない」、「年俸制は残業代込みである」と考える方が多く、現在年俸制で働いている方々は大きな誤解をされているかもしれません。
年俸制だからといって、残業代がもらえないというのは間違いです。
企業と雇用関係を結んだ労働者であれば、月給制と同じように労働基準法が適用され、「年俸制だから」という特例があるわけではありません。
そのため、月給制と同様、給与の支払い基準に法定労働時間が関わってきます。
法定労働時間とは、1週間の労働時間の上限を「40時間」、あるいは1日の労働時間の上限を「8時間」と規定したものです(労働基準法32条)。
この法定労働時間を超えた場合は残業代が発生し、年俸制だとしても労働者には残業代をもらう権利があります。
このことから、年俸制でも残業代を請求することができます。
しかし、一部例外もあります。
次にその例外についてお伝えしていきます。
年俸制でも例外的に残業代をもらえないケースがあります。
一体どういった場合でしょうか。
例外的なケースをご紹介していきます。
「固定残業代」とは、企業側が業務内容からある程度の残業を見越し、実際の労働時間にかかわらず、先にその一定額の残業代を年俸内に設定するものです。
固定残業代は一般的に「みなし残業」と言われ、そちらの方が見慣れている方が多いかと思います。
年俸に固定残業代(みなし残業)が設定されている場合、設定された時間よりも実際の残業時間が短い場合は別途残業代をもらうことができません。
ただし、固定残業時間(みなし時間)よりも実際の残業時間が短いとしても、その分減給されるわけではなく、固定残業代は全額支払われます。
しかし、固定残業時間(みなし時間)を超えて残業をした場合、超えた部分の残業代を請求することができます。
「管理監督者」とは、経営者と同じ立場の人のことです。
労働基準法41条では「監督若しくは管理の地位にある者」については、「労働時間、休憩や休日に関して労働基準法の規定は適用しない」とされています。
先に説明した、1週間40時間以内、1日8時間以内などの法定労働時間が適用されないため、一般的に残業代がもらうことができません。
しかし、管理監督者は一部の人であり、ほとんどの労働者は年俸制であろうと残業代をもらうことができると言えます。
またレアケースではありますが、個人事業主として企業と業務委託契約を結んでいる場合も同様に残業代が出ない年俸制になります。
残業代は、労働者を守るために定められた労働基準法に基づいて発生するため、個人事業主には適用されません。
例えば、プロ野球選手は個人事業主として球団と契約を結んでいます。
年俸1億円の選手が法定労働時間の1日8時間労働を超えたため、残業代をもらうというイメージをするのは難しいかと思います。
ただやはり、年俸制で残業代がもらえないというのは一部であり、ほとんどの場合は残業代をもらうことができます。
年俸制で、固定残業代(みなし残業)を超えた残業代をもらうにはどうすればよいのでしょうか。
それは、実際に残業をしていたという客観的事実と、企業が独自に定めている所定労働時間を調べる必要があります。
また結果として、一体いくら残業代がもらえるのか、計算方法をお伝えします。
実労働時間を証明するのに、一番わかりやすいものはタイムカードです。
ですが、年俸制を採用している企業では、タイムカードを導入しておらず、企業側も労働者が実際どれだけ働いているのか理解していない可能性があります。
その場合、労働者側がどれだけ残業をしたのか、実労働時間を証明するために別の証拠が必要です。
以下が、主な残業時間の証拠となるものです。
このほかに、実際いくら残業代がもらえるのかを計算するために、就業規則や雇用契約書に記載された所定労働時間を知る必要があります。
さらに、企業側が残業代を未払いであることを証明するため、給与明細や源泉徴収票が必要です。
年俸制の残業代の計算方法も、月給制の計算方法と同じ。
【残業代=基礎時給×割増率×残業時間】という計算式を使います。
この項目のなかで重要なのが、「割増率」。
「割増率」を簡単に言うと、本来の賃金に対しどれだけ割増するかを表す数字です。
この割増率は労働基準法37条に具体的に規定されており、パターンによって割増率が変動します。
このように働き方によって割増率が異なります。
最後に簡単な事例をお伝えし、具体的な残業代を計算していきます。
年俸額が360万円で、1ヶ月の残業時間が50時間、法定休日や深夜の残業、また固定残業代(みなし残業)がないものとします。
基礎時給:360万円÷12÷170時間※=1764円(小数点以下切り捨て)
残業代:1764×1.25×50=110,294円(小数点以下切り捨て)
※一般的な1ヶ月の所定労働時間が170時間前後であるため、170時間としています。
月間で約11万円、年間で約132万円、年俸制でも残業代がプラスされ、実質500万円近い年収になります。
ここまで、年俸制でも残業代がもらえるのかについて解説しました。
結論として、年俸制でもほとんどの方が、残業代をもらえます。
また、場合によっては大きい金額の残業代がもらえる可能性があります。
自分だったらいくらもらえるのか、【残業代=基礎時給×割増率×残業時間】の計算式を使って、確認してみるのはいかがでしょうか。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。