派遣社員でも休業手当はもらえる?確認のポイントと対応の手順

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

 コロナの影響もあり多くの企業で業績が悪化、感染症対策としても休業を余儀なくする職場も増えているようです。

 派遣先の職場が急に休業になったり、自分の仕事が会社側の理由で中止になったりしたら、黙って自分もお休みに入るしかないのでしょうか?そんな時には「休業手当」があなたの収入を支えてくれるかもしれません。

 この記事では休業手当の性質と派遣社員が休業手当を請求する際のポイントを学び、突然の事態にも落ち着いて対応できるよう確認のポイントをその手順をみていきましょう。

休業手当とは?概要とその金額について

 自分の都合で休んだ場合はその時間分お給料が出ないのは当然ですが、例えば急に「会社の業績が悪くなったから申し訳ないけど今週いっぱいで契約終了です」と会社から言われたら、派遣社員はなすすべなくそれに従って、自分で次の仕事を探さなければいけないのでしょうか?

 このような場合、労働基準法で定める「休業手当」が請求できる可能性があります。

 まずは休業手当の制度について確認しましょう。

労働基準法で定められた「休業手当」

 休業手当は労働基準法第26条で「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と定められています。

 つまり、会社側の都合で休んでください(=働かないでください)と言われた場合、労働者は突然働けずに無給になってしまうと困ってしまうので、会社は労働者に最低限6割以上の手当を休業手当として支払ってくださいね、ということです。

 この「労働基準法」は派遣社員も含めて、ほぼ全ての労働者を雇用する会社に適用されます。(ほぼ全て、というのは、例えば家族で経営している会社であったり、家事使用人として働いている方が適用除外と定められているためです)

 ちなみに「休業手当」とよく似た言葉に「休業補償」という制度もあります。

 これは労災保険制度から支払われるもので、「業務上の怪我や病気のために休業する場合」に労働者の請求に基づき支給されるものです。

 いわゆる労災によって怪我や病気になり、仕事を休まざるを得ない状況となった場合には一定額が補償される制度で、「休業手当」はそのような怪我や病気ではなく労働者本人には労働する能力があるにも関わらず、会社側の都合で休ませる場合の手当、となります。

 両者は混同されやすいので、違いを覚えておきましょう。

「使用者の責に記すべき事由」とみなされる場合とは?

 では、使用者の責に帰すべき事由とは、どのような場合を指すのでしょうか?

 「使用者の責に帰すべき」とは、「使用者(会社)に責任がある」という事になりますが、会社側にも色々な事情があります。

 例えば、天災事変で事業所が大きな被害を受けて稼働できないような場合は、使用者の責任の外の事由として休業手当の支給義務は無いと考えらられます。

 一方で、例えば材料の供給網の停滞や機器の故障による生産活動の停止、資金繰りの不調等での経営難による休業のような会社の事業活動の範囲内で起こりうる原因であれば、一般的には休業手当における「使用者の責に帰すべき事由」に当たると考えられています。

 昨今の新型コロナの影響での休業については、いくつかのパターンが考えられます。

労働者本人がコロナウイルスに感染し療養のため休業する必要がある場合

 これは本人側の事情ですので休業手当の対象とはなりませんが、健康保険制度から「傷病手当金」という制度が利用できる可能性があります。

同じ職場の社員が感染したために事業所の消毒作業等のため休業状態となった場合

 会社としてどのような理由で休業状態とするかによって個別に検討される事案と考えられますが、一般的には会社が自主的に感染予防等のため休業状態とする場合には「使用者の責めに帰すべき事由」に該当するものと考えられます。

 使用者の責に帰すべき事由、というのは場合によっては非常に判断が複雑になりますので、もし自身で休業手当の対象となるか調べたい場合は会社から(派遣の場合派遣先と派遣元それぞれから)どのような説明や指示があったかを記録しておくことも重要になってきます。

休業手当の額は?

 休業手当は「平均賃金」の「6割」以上とされています。

 平均賃金の計算方法は次の2パターンが存在します。

原則①「休業日以前3ヶ月間の賃金総額 ÷ 3ヶ月の総歴日数」

 ここでいう「3カ月間」とは直近の給与締め期間を言います。月末締めの場合は各月の日数通りですが、各月15日締め27日払い、のように月の途中で締める場合は各締め期間の日数をカウントする必要があります。

 例:月末締めで10月10日から休業となった場合

   算定の対象期間:7月・8月・9月分の賃金総額 ÷ 92日

 またここでいう「賃金総額」には、通勤手当や残業手当等の手当も含めて算出しますが、出産祝い金や退職金等の臨時で支払われたものやボーナスは含まれないものとされていますので、毎月支給される給与が対象と捉えておけば良いでしょう。

原則②「休業日以前3ヶ月間の賃金総額 ÷ 3ヶ月間の労働日数 × 60%」

 原則①では3ヶ月の総歴日数で割るため、もともと勤務日数が少ない人にとっては働いていない日数の方が多く、不利な計算になってしまいます。

 そこで平均賃金の算定上最低保証額としてこちらの原則②の計算と比較して高い方の金額をその人の平均賃金とする、という取り扱いがあります。

 例:月末締めで10月10日から休業となった場合(週3勤務、3カ月で36日勤務)

   算定の対象期間:7月・8月・9月分の賃金総額 ÷ 36日 × 60%

 これらの原則①または②で計算された額のいずれか高い方の60%が休業1日辺りの休業手当の額、ということになります。

派遣社員の場合、特に注意することは?

 休業手当の基本的な事項を理解した上で、派遣社員の場合に特に注意したいポイントを確認してみましょう。

派遣社員の場合、休業手当を払う義務があるのは派遣元!

 派遣社員が働く前提には「労働者派遣契約」という形で派遣元と派遣先がまずどういった業務にどのくらいの期間、いくらで契約する、といった契約が存在します。

 派遣社員はその契約に基づいて派遣元の会社と雇用契約を結んでおり、あくまで派遣先は働く場所や指示を受ける上司がいる場所にすぎません。

 派遣社員の休業手当を含む労働条件に関することは派遣元との契約に基づき判断されますので、もし休業手当の支給を求めるような状況になったときに派遣先に訴えても筋違い、ということになりかねません。

 仮に派遣先の上司から突然休業や派遣打ち切りを命じられた場合でも、その場での不安や焦りから感情的になって派遣先での関係を悪化させないように注意し、冷静にその事実を派遣元の担当者に伝え休業手当の扱いを含めてどのような対応になるかを確認するようにしましょう。

派遣先と派遣元の間での約束事は関係ありません!

 先に述べたように、休業手当はあくまで派遣元と労働者の間で確認する事柄ですが、派遣先と派遣元の間で「〇〇の場合には派遣先が休業手当に関する費用を負担する」といった取り決めがなされている場合があります。

 本来このような取り決めは会社間での契約内容ですので派遣社員自身が知ることはありませんが、仮にこのような取り決めがあってそれに該当するから派遣先が休業手当を負担してくれない、といったケースであっても、それは会社間での問題です。

 もしそのような取り決めがあることを理由に派遣元が休業手当の支給が難しいという説明がされた場合は、自身の休業の理由を確認して、派遣元の担当者に再度検討してもらうか、場合によっては労働基準監督署等の公的機関の相談窓口で解決方法を相談しましょう。

具体的な手順の確認

それでは、もし自分が急に派遣先や派遣元から休業を命じられた場合に休業手当が支給されないのか確認をする手順を確認しましょう。

①休業や仕事ができなくなる理由を確認する

 まずなぜ仕事ができなくなるのか、理由を正確に確認しましょう。派遣社員の場合、大抵は派遣先の事情が関係してくると思われますが、あまり派遣先で声を大きくして人間関係を悪くするのも今後仕事が再開した場合に望ましいとはいえません。派遣先で説明を受けた事項を基に、派遣元の担当者に確認するのが望ましいでしょう。

 なお、派遣先、派遣元ともに説明を受けた事項については万が一将来労働トラブルとなった場合も考えて、できる限り記録をとっておくことが望ましいでしょう。

②他の職場の紹介を受けるor休業手当の支給可否を確認する

 派遣元は休業手当を支給するという対応だけでなく、派遣先の事情でやむを得ず仕事ができなくなった派遣社員に他の派遣先を紹介することで労働者の雇用や収入を守るという方法をとることが一般的です。まずは引き続き仕事ができる可能性を担当者によく相談しましょう。

 そのような相談をしてもなお、仕事が見つからない場合は、休業せざるを得ない期間中の休業手当の支給を受けられないか、派遣元に確認しましょう。

③もし休業手当の支給が受けられない場合は労働基準監督署へ

 自分に非が無いのに休業の指示や派遣契約の打ち切りによって仕事を失い、派遣元から次の仕事の紹介も休業手当の支給も受けられない場合は、事情を整理して労働基準監督署に相談しましょう。必要に応じて公的機関が間に入って問題を解決してくれたり、解決のためのアドバイスをもらうことができます。

 労基署、というと仰々しく感じる方もいるかもしれませんが相談内容は守秘義務を持って対応してもらえるので、何かおかしいな?と思ったら相談してみるのがおすすめです。

 この際、当初の派遣元との雇用契約の内容、派遣先・派遣元から休業に際して説明を受けた事項を正確に伝えられるよう、書面がある書類は必ず持参するほうがよいでしょう。

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