申請し忘れた扶養手当を請求できる場合とは?トラブル対処法も!

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

子どもが生まれた直後はバタバタしていて扶養手当を申請しわすれていた…

パートナーが半年前に仕事を辞めたけど扶養手当をもらえるなんて知らなかった…

申請していれば必ずもらえたはずの扶養手当。

気づく時期が遅かったせいで損をした気分になりますよね。

この記事では、扶養手当を遡って請求することができるか、確認方法と対処法を解説します。

そもそも扶養手当とは?扶養手当は賃金?

扶養手当とは、扶養家族をもつ勤労者にその生活を維持させるため、使用者が基本給に加えて支給する手当をいいます。

パートナーが扶養に入るまで、あるいは、お子さんができるまでは、扶養手当自体を知らない方も多いのではないでしょうか。

実は、法律上も、会社が扶養手当を従業員に支給することを義務付けられてはいません。

まずは、なかなか馴染みのない扶養手当制度について概説します。
また、扶養手当が、労働基準法の「賃金」に当たるかどうかは、会社に遡って請求できるかという点から重要ですので、確認しておきましょう。

扶養手当制度は会社ごとに異なる

扶養手当は、法律上、必ず支給されることにはなっていません。

そのため、扶養手当を支給する会社もあれば、支給しない会社もあります。

ご自身の会社が扶養手当を支給するかどうかは、就業規則を確認する必要があります。

この記事の説明も、ご自身の会社の就業規則と照らし合わせてチェックしてください。

扶養手当は賃金に当たる場合が多い

労働基準法11条の「賃金」とは、労働の対償として、使用者が労働者に支払う全てのものをいいます。

扶養手当の支給基準が明確に規定され、使用者(会社)に支払が義務付けられ、支払の有無について裁量が認められない場合、「賃金」といえます。

たとえば、就業規則に以下のような条項があれば、扶養手当は「賃金」といえます。

【扶養手当】
扶養手当は、扶養家族を有する従業員に対し支給する。

配偶者    月額○円

18歳未満の子1人から3人まで       1人につき  月額○円

このように、「支給する」と書いてある場合、支給の有無について、会社には裁量がないといえます。

また、「配偶者」「月額〇円」と書いてある場合、支給基準が明確になっているといえます。

反対に、ご自身の会社が、扶養手当を賃金として位置づけていない場合には、扶養手当は福利厚生として位置づけられていることになります。

扶養手当を遡って請求できる場合

ご自身の会社が扶養手当をどのように位置づけているかにより、もらい忘れていた扶養手当を遡って請求できるか否かが変わります。

扶養手当が賃金にあたる場合

扶養手当が労働基準法上の賃金に当たる場合、賃金全額払いの原則(労働基準法24条1項)から、使用者(会社)は、賃金を全額を確実に支払わなければなりません。

そのため、過去に発生していた扶養手当を会社に請求することは原則として可能です。

ただし、2020年4月1日以前に発生した扶養手当請求権については、2年以内に請求する必要があります(労働基準法115条)。

また、2020年4月1日以後に発生した扶養手当請求権については、3年以内に請求する必要があります(附則143条3項)

一方、就業規則で、届出があった日を起点として支給を開始するとされている場合には注意が必要です。

たとえば、「届出が遅れた場合、会社は家族手当を支給しない」という規定があった場合がこれにあたります。

就業規則は合理性があり実質的に周知されていれば、労働契約の内容になるため(労働契約法7条)、届出があった日を起点として支給を開始することが周知されていれば、遡って請求することは出来ません。

「届出が遅れた場合、会社は家族手当を支給しない」という条項がなく、遡って請求することができるかが不明な場合には、賃金という重大な労働条件について、会社側が不明瞭な基準を設けていることになります。

労働基準法15条1項は「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金…その他の労働条件を明示しなければならない」としており、説明が不十分な場合には、損害賠償請求が出来ることがあります。

扶養手当が福利厚生に当たる場合

扶養手当が福利厚生に当たる場合、扶養手当は会社からの恩恵という位置づけになります。

そのため、ご自身の会社の規定に従って請求することになります。
たとえば、ご自身の会社の規定が、扶養手当の支給要件にあたる事由が発生した日から扶養手当が支給されることになっている場合には、遡って請求することも可能となります。

一方、扶養手当の支給要件にあたる事由が発生した場合には、速やかに届け出を提出することが支給要件となっている場合には、原則として、遡って請求できないことになります。

ただし、扶養手当が福利厚生に当たる場合には、会社に支給するか否かの裁量があるため、過去の扶養手当についても支給する裁量はあることになります。

そのため、扶養手当を遡って請求できるか否か、ご自身の会社に問い合わせることを推奨します。

扶養手当を遡って請求した場合のトラブルについての解決方法

会社によって様々である扶養手当。

扶養手当を遡って請求する方法についても、会社によって様々です。
そのため、ご自身で、どのような部署に、どのような書類を添付して、どのような申請書を提出するかを確認する必要があります。

ここでは、扶養手当を遡って申請した場合に、想定される共通のトラブルについての解決方法を確認します。

ご自身が、扶養手当を遡って請求することが出来る場合に該当していることを確認したうえで、以下のトラブルについて確認してください。

扶養手当を請求する権利を放棄したとされた場合

1年前の扶養手当を遡って請求した場合、ずっと請求し忘れていたのだから、権利を放棄したとされる場合があり得ます。

扶養手当が賃金に当たる場合、自由な意思に基づいて賃金債権を放棄することは可能ですが、自由意志であるか否かは厳格に判断されます。

単に忘れていた、扶養手当制度を知らなかった、というだけでは、権利を放棄したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在しているとはいえません。

そのため、時効期間がすぎるまでは、基本的には請求することが可能です。

ご自身が扶養手当を放棄していない限りは、時間の経過については心配する必要はありません。

扶養手当制度が途中から出来た場合


最初に確認した通り、扶養手当制度は、法律上会社に義務付けられた制度ではありません。

そのため、ご自身に扶養する方ができた当初から扶養手当制度がない場合があります。

就業規則で扶養手当制度が規定されている場合、就業規則が遡って適用されることは原則としてありません。

そのため、ご自身に扶養する方ができた当初は扶養手当制度がなく、途中から扶養手当制度が出来た場合には、扶養手当を遡って請求することはできません。

扶養手当制度の規定が不明瞭だった場合

扶養手当制度の規定が不明瞭だった場合、ご自身の会社に問い合わせる必要があります。

扶養手当を遡って請求できるか不明瞭なまま請求し、後に不正受給であることが発覚した場合には、会社から返還を求められることに加え、会社の懲戒事由にあたる場合には懲戒処分をうけることもあります。

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