退職にかかる期間に法律上のルールはある?就業規則との関係も解説

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

「会社を退職したいものの、どれくらい前に申告すれば良いかわからない」

「退職の意思を伝えたけれど、就業規則を理由に退職を拒否された」

退職にあたって、このような経験をお持ちではありませんか?もしかすると、あなたの会社のその対応は法律に違反しているかもしれません。

もし辞めさせてくれないような場合には、労働者側からの毅然とした対応が必要になります。

この記事では

  • 会社を自由に退職できる理由
  • 退職にかかる期間を定める法律上のルール
  • 退職期間で会社と労働者の間に発生しがちなトラブルと対処法

以上3点をわかりやすく解説します。この記事を通して退職期間について理解し、スムーズに退職できるようにしましょう。

会社は自由に辞めることができる

まず大前提として、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態にかかわらず、社員(労働者)は自由に会社を退職することが可能です。

そして、社員が会社を退職したい旨を会社側に申告すれば、原則として使用者である会社はそれを拒むことができません。

少し大きな話になりますが、日本国憲法では「奴隷的拘束の禁止(18条)」および「職業選択の自由(22条)」を定めていますから「働きたくない会社でいつまでも働かなければならない」ということは、一切ありません。

ただし、退職にかかる期間には法律上のルールがあります。

そして退職に必要な期間や条件は、会社と交わした雇用契約(給与支給や契約期間など)によって異なりますから、あなたの雇用契約と照らし合わせながら読み進めてください。

【参考】『日本国憲法18条及び22条』(電子政府の総合窓口e-Gov)

退職までにかかる期間は雇用契約によって異なる

退職までにかかる期間は、あなたがどのような「雇用契約」を会社と結んでいるかによって異なります。

雇用契約とは「雇用契約の期間」「給与の計算方法や支払い方」などを、就職時に会社と定めた決まりごとのことです。通常は書面で契約を交わしますが、口頭での契約も有効です。

退職までにかかる期間を雇用契約別に解説します。

雇用期間の定めのない場合は2週間前に申告

まずは、雇用契約に「◯年の◯月まで働く」といった雇用期間の定めがない場合の説明です。

雇用契約時に雇用期間の定めを行わなかった場合、退職の申し入れをしてから2週間が経過すると、自動で雇用契約が終了となります。(民法627条1項)この場合、会社の合意は必要ではありません。

したがって、雇用契約の定めの無い契約の場合には、退職の意思表示をしてから2週間で退職することが可能です。

また、この規定は月給制など「期間によって報酬を定めている場合」も同様です。

以前は月給制などの場合、退職の申し入れはその退職月の前期にしなければならないと定められていました。しかし、近年実施された民法改正により2020年4月1日からは2週間前に申告すれば良いことになりました。

このあたりは情報が古いままの企業もございますから要注意です。

期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

改正民法672条2項

ただし、6ヶ月以上の期間によって報酬を定めた年俸制などの場合には、3ヶ月前にしなければならないことになっているため注意してください。(民法627条3項)

雇用期間の定めがあれば契約終了まで原則退職不可

次に、雇用契約に「◯年◯月◯日まで働く」といった雇用期間の定めがあるケースです。

雇用期間の定めがある場合には、原則として契約の終了日まで退職をすることはできません。ただし、これは原則であるため、やむを得ない事情がある場合には直ちに契約の解除をすることが可能です。(民法628条)

「やむを得ない事由」の法律上の定義はありませんが、一般的には「妊娠・出産・育児」「家族の介護」「残業があまりにも多い」などがあてはまります。

この場合に退職をするには、法律論というよりも使用者との交渉が重視されますから、雇用期間の定めがある場合の退職は、会社とよく話し合うことが重要です。

ただし、契約を開始した日からすでに勤務が1年を超えている場合には、民法第628条の規定にかかわらず、労働者は使用者に申し出ることで、いつでも退職をすることが可能です。(労働基準法第137条)

契約条件と異なる場合には即時に退職可能

「契約時に約束した条件と、実際の労働条件が違う!」ということは意外とよくあるケースです。

例えば、「採用時に約束をした賃金を会社が払わない」「勤務時間が異なる」「勤務予定地と異なる場所で働かされる」といった場合です。

このような場合、労働者は使用者である会社の同意を問わずして契約を即刻解除することが可能です。(労働基準法第15条第2項)

したがって、このような場合には即時に退職することが可能です。

双方の合意があれば即日で辞められることも

「なにがなんでも今日で辞めたい」という場合には、使用者と労働者双方の合意があれば即日で退職することも可能です。これを合意退職と呼びます。

「辞めてもらっても良い」という雇用主の主張と、「どうしても今日で辞めたい」という労働者の意見が合致するわけですから、それを拘束する必要はありません。

ただし有給休暇がある程度残っている場合、この退職方法はあまりおすすめできません。

というのも、もし有給が14日以上残っている場合には、退職を申告した次の日から有給を消化することで、次の日から契約解除となる2週間の間は会社に出社せず、かつ給与面で損をしないで辞めることができるためです。

退職期間で会社と労働者の間に発生しがちなトラブルと対処法

会社を辞めるにあたって、会社と労働者が話し合いの上で円満退職ができればそれに越したことはありません。

しかし、どんな手を使ってでも社員を引き留めようとする企業が一定数存在するのも事実です。そのような場合、退職にあたりさまざまなトラブルが発生します。

退職期間で会社と労働者の間に発生しがちなトラブルと対処法を以下で解説します。

就業規則を理由に退職を断られた

多くの企業では、担当者の引き継ぎ業務などを行うために「退職の30日以前に退職届けを提出するように」といった予告期間を定めています。

そして、この就業規則を理由に退職を断られたという問題はよく発生するトラブルです。

このような場合、就業規則が定める規定と法律のどちらに効力をもたせるかが問題になりますが、原則として法律が優位的に働くとされています。なぜなら会社の就業規則よりも、国の定めた法律の方が優先されるからです。

したがって、すぐにでも会社を辞めたい場合には、予告期間を定めた就業規則には従う必要はありません。

ただし、すぐに辞めたいという意思がなく、さらに予告期間が30日以内などの良心的な就業規則であれば、あくまでも社員側が譲歩して就業規則に従い退職をすることで、円満に退職することが可能です。

したがって、このあたりの問題は労働者側がどのような形で辞めたいかによりますので、よく検討してみましょう。

退職届を受け取ってくれない

会社が退職届を受け取ってくれない、もしくは渡したにもかかわらず退職を認めてくれないという問題も、よく発生するトラブルです。

このような場合でも、労働者であるあなたは自由に会社を辞めて問題ありません。

先述したように、労働者には仕事を辞める権利があり、労働者側が意思表示をすれば退職をすることが可能です。そして会社はそれを拒否できません。

また、退職の意思表示は書面である必要はありません。そのため上司や人事担当へのメールも充分に証拠として認められますから、受取拒否を避けることができます。

また、後ほど「そんなこと聞いていない!」と言われないためにも、退職届を「配達証明付き内容証明郵便」で会社に送付すると確実です。

どちらにせよ、退職届を会社側が受け取ってくれないと退職できないわけではありませんので、注意してください。

辞めたら損害賠償請求すると脅された

「今辞めたら損害賠償請求をするぞ」などと会社に脅されて辞めるにやめられないというトラブルもよく発生します。

結論から申し上げると、労働者に非がなく、かつ正当な手続きのもと退職をした場合に損害賠償請求をされる可能性は低いです。

正当な手続きとは、先述したように「2週間前に退職を告げる」「有期契約であればやむを得ない自由がある」といった場合のことです。

このような正式な手続きを踏むことで退職をした場合、会社に与える損害は少ないため、わざわざ損害賠償請求をされるケースはほぼありません。

一方で、「2週間前の意思表示をせず急に辞めた」「契約期間を残して消えてしまった」というような場合には、債務不履行として損害賠償請求がなされる場合があるので注意が必要です。

なお、仮に雇用契約書の中に「途中で辞めた場合には違約金を払うこと」「会社に損害を与えたら◯◯円払うこと」というような規定があった場合、その契約は労働基準法違法です。絶対に支払う必要はありません。(労働基準法第16条)

まとめ

退職にかかる期間は、雇用期間のない場合は原則2週間です。それ以外の雇用契約の場合には、退職までにある程度の期間が必要な場合があります。

なお、どのような理由があれ社員は会社を自由に辞めることが可能です。「絶対に辞めさせない」「退職を認めない」といった会社側の主張には従う必要はありません。

退職にあたりトラブルが発生した場合には、労働基準監督署や労働問題に詳しい弁護士に相談するよ良いでしょう。きっとあなたの助けになってくれるはずです。

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