不当解雇・退職勧奨の
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いくら働いても給料が変わらないなんて…
もしや、昇給がないのは違法なのでは?と疑いたくもなりますよね。
会社のために休日出勤したり、残業をしたりがんばってきたのであればなおさらのことでしょう。
ご自身の置かれた昇給なしの状況は違法になるのか?ならないのか?
事例を交えながら解説するとともに対処法についても解説します。
目次
何年も勤めているのに、給与が上がらないとそれだけで不当な扱いを受けているようにさえ感じられます。
ですが、そのことを会社側に訴えたところで却下されてしまうのがおちです。
なぜなら、昇給なしの実態が違法ではないケースがほとんどであるから。
いったいどういうことなのでしょうか?
昇給があるのか、ないのかは就業規則できちんと規定をしなければならないと法的に定められています。
とはいえ、法的には必ず昇給を約束するようにといった強制力はありません。
つまり、昇給あり、なしは会社が独自で決めてよいこととされているのです。
なお労働基準法89条において、常時10人以上の労働者がいる会社では、就業規則の作成、ならびにその中で昇給の有無を記載する義務があります。
そのため、会社側が昇給なしと決めたうえでその旨を就業規則に明記しているのであれば、違法とはなりません。
とはいえ、少しでもいい暮らしをしたいとか勤続年数によってはそれなりの昇給があって当然と考えるのは当たり前の感情ともいえます。
だからこそというのか、求人情報などで「昇給なし」を前面に出している会社を見かけることはあまりありません。
ところが、実際、会社に入社して就業規則を確認すると昇給がないことが記載されたいた事例もあります。
情報操作といってしまえばそれまでですが、「こんなはずではなかった」ということにならないためにも、入社前には昇給のあり、なしをきちんと確認しておきたいものです。
逆に昇給ありと就業規則に記載をしている会社であれば、必ず給料を上げなくてはなりません。
履行せず強引に昇給なしを押し通すものならば、それこそ違法になりますから。
しかし「うちの会社にはちゃんと昇給ありの記載がある!やったー」と喜ぶのはまだ早いかもしれません。
たとえ就業規則に年1回の昇給があることが記載されていても、その裏には巧妙な仕掛けがあるのが常です。
ほとんどの会社で、昇給させるための条件として但し書きが添えられていることがあり、その条件を満たさない場合は会社側に昇給の義務がありません。
具体的な事例として、以下のような但し書きが考えられます。
たとえば 2. 4. に関連するところで、新型コロナウイルス感染拡大の影響は経済に大打撃を与えました。
このようなケースでは昇給なしとされても、違法性を訴えることはできないでしょう。
これでは会社に都合のいい話ばかり。
所詮、労働者側は弱い立場に追いやられるだけなのでは?
そう思わざるを得ない待遇と感じられそうですが、昇給がないことに違法性を訴えることができるケースも実はあるのです。
具体的に見ていきましょう。
周囲の人は給料が上がっているのに、自分だけ昇給なしだとしたら…
こんな人事考課は不公平で納得できない!違法にあたるのでは?と怒りの感情さえこみ上げてきそうです。
けれども、ここは冷静になって自分を見つめてみる必要があります。
周囲から自分の仕事ぶりはどのように見られているのか?遅刻や欠勤の有無など勤務態度に問題はないのか?業務を遂行する上で、極端に能力が不足していないか?
あなたを評価する上司はそうした総合的な仕事力を見ています。
まれにではありますが、そんな客観的な視点ではなく上司に好かれていないという理由だけで昇給できないケースもあるようです。
そんな理不尽なケースであれば、そもそも会社を離れて転職をすべきなのかもしれませんね。
あるいは、あなたにはおよび届かないところで、たまたまあなたの所属する部署が売上げに貢献していない部署として評価されているだけかもしれません。
いずれにせよ、自分の仕事に対してしっかりと成果を上げているのであれば、まずは正当な理由があっての昇給なしなのか会社側に確認してみるとよいでしょう。
子育て支援として政府が後押しする育児休業(育休)を利用する人も増えてきました。
職場への復帰が比較的スムーズにできる環境整備も整いつつある中で、育休明けの昇給については働く側と会社側で認識のズレがまだまだあるようです。
ですが、育休明けの昇給なしという待遇が違法と判断される事例も近年出てきています。
たとえば、近畿大学の男性講師の事例。
この講師は2015年に9ヶ月間の育児休業を取得したところ、就業規則に定められていた「前年度に12ヶ月勤務」という昇給条件を満たしていないとして、 職場復帰後の昇給が見送られました。
この処遇に対して男性講師は訴訟を起こし、勝訴を勝ち取っています。
判決によると、定期昇給は在籍年数に応じて一律に実施されていることから年功賃金的な要素であると判断。育児休業を取得した男性講師を昇給させないのはこの趣旨に反しており、違法だとする判決を下しました。
たとえ就業規則で独自の規定を設けていたとしても、その規定自体が違法と認定される好例といえるでしょう。
今度は女性の事例を取り上げてみます。
本来、子どもを授かれば「おめでた」ということで職場は一気に祝福モードになることでしょう。
ところが、もしもそれが授かり婚だったとしたら?
人によって受け止め方の違いこそあれ、快く祝福ができないという上司もいるようです。
風当たりの強さを感じて、妊娠中にどれほど体調が悪くても休むことなく、ひたすら勤務を続けてきたというこの女性。
それなのに、賞与は他の社員が軒並み増額する中で前回よりも減額。
昇給はかろうじてあったものの、それでも同期と比べると5分の1から10分の1ほどの昇給幅だったそうです。
男女雇用機会均等法9条3項では「妊娠を理由とした不利益な取り扱い」を禁じています。
産休を見越して賞与を与えない、昇給させない行為は法に抵触する可能性があり、違法性をはらんでいると見ることができそうです。
このような不当な扱いを受けたときには、まずは専門の弁護士に相談するのがよいでしょう。
昇給がないことに対して違法性が認められる事例はあるものの、それがそのまま昇給につながるわけでもありません。
給料が上がらないことに異議をとなえることで、かえって後味の悪い思いをしたり逆に仕事へのモチベーションが下がったりする場合があるからです。
昇給なしの状況を変えるには、ネガティブな感情を引きずったままずるずると働き続けないスタンスが大事で気持ちの切り替えも大切になります。
具体的な対処法を見ていきましょう。
自分ひとりで悩むことはありません。
まずは昇給がないことを専門家に相談してみてはどうでしょうか?
法的なエキスパートである弁護士は、さまざまな案件に関わり解決してきた経験を持っています。
とはいえ、どの弁護士に相談してよいのか分からないという問題もあるでしょう。
相談料も無料のところもあれば、30分で5,000円や1時間で10,000円など弁護士事務所によって異なります。
可能であれば、複数の弁護士に会って自分の悩みに寄り添ってくれそうな弁護士を選ぶのが最善と思われます。
昇給がないことに不満があるのであれば、思い切って昇給ありの会社へ転職をすることも検討してみましょう。
一概におすすめするものではありませんが、業界によっては採用の門戸を広げているところもあります。
もちろん給与面だけでなく、仕事の内容や職場環境、会社の将来性など諸条件を検討材料に入れながら、転職エージェントや口コミ情報などを通じて調査してみるとよいでしょう。
いまのご時世、なかなかいい転職先が見つからないのも事実です。
そうであればいっそのこと、昇給に期待をするのではなく、収入の穴埋め的なことを考えていくという発想をしてみてください。
終身雇用制度が事実上崩壊して、働き方改革が叫ばれているいまは、副業を始めるチャンスという見方もできます。
副業といえどもさまざまです。
まずは小さくお小遣い稼ぎの感覚でできる副業を始めてみるのもよいでしょう。
いま勤めている会社でスキルを磨いて昇格を目指すということも手段のひとつです。
それによって役職手当などが付与されれば、昇給につながります。
あるいは営業職など昇給しやすい部署への異動希望を出すこと。
新しい部署で活躍をして会社への貢献度が認められれば、おのずと給与アップへの道は開かれます。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。