休業補償とは?休業手当との違いと感染症や自然災害で休んだ場合についても解説

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

休業補償はどのような仕組みなのか、どのような人がもらえるのか、どのような条件があるのか分からないのではないでしょうか?休業補償とは、業務中あるいは通勤中のケガや病気によって働けなくなり賃金がもらえないときに受け取れる補償です。

この記事では、休業補償とはなにか、休業補償の対象者・支給条件・支給金額・支給期間・休業補償と休業手当の違いについて解説します。感染症や自然災害で休んだ場合の休業補償手続きについても解説しているので、感染した場合や感染が疑われる場合にはどのように手続きすればよいかを確認しておきましょう。

休業補償とは

休業補償とは、業務中あるいは通勤中のケガや病気の治療のために賃金が受け取れない場合に受け取れる補償です。労働災害保険が関わる制度で、労働基準法76条及び労働者災害補償保険法14条、22条の2に定められています。

労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。

労働基準法 第76条

休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。

労働者災害補償保険法14条

休業補償の種類

休業補償には、休業補償給付休業給付の2種類があります。休業補償給付は、業務が原因となるケガや病気の治療のために休業する場合に受け取ることができ、休業給付は通勤が原因となるケガや病気の治療のために休業する場合に受け取ることができます。

休業補償給付

休業補償給付は、業務が原因となるケガや病気の治療のために休業する場合に受け取ることができる給付です。

給付の対象になるのは、決められた業務を決められた場所・時間でおこなった場合です。勤務時間中だけではなく、事業場内での休憩時間中や開始前の待機中も含まれます。業務が原因で疲労や過労・ストレスなどによる病気になった場合は、業務との因果関係が認められる必要があります。

休業給付

休業給付は、通勤が原因となるケガや病気の治療のために休業する場合に受け取ることができる給付です。

自宅から勤務先までの往復までの間に発生した場合が対象になります。往復の経路や通勤手段は「社会通念上合理的」であることが必要です。

通勤の経路からそれたり中断したりした場合には、通勤として認められませんが、日常の買い物・通院・保育園などの送迎については、日常で必要なこととして通勤の中断が認められています。通常の経路に戻ったあとは、通勤として認められることになります。

通勤の経路内であっても、通勤と直接関係ない行為によるケガの場合には労災として認められない場合があります。通勤中のケガがすべて労災になるとは限りません。通勤時に自宅からゴミをもってゴミ出しをする際に足をひねったという場合に労災として認められなかったという事例もあります。

休業補償の対象者

休業補償の対象となるのは、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの雇用されているすべての従業員です。

派遣社員については、実際に労働をおこなっている派遣先ではなく派遣元に雇用されているので、休業補償の手続きや相談は派遣元におこないましょう。

フリーランスについては休業補償の対象になりません。労災保険は雇用されている労働者のための保険であり、フリーランスは雇用されているわけではないからです。

休業補償の支給条件

休業補償は、以下の条件を満たした場合に支給されます。

  • 治療中であること
  • 働けない状態であること
  • 賃金を受け取っていないこと

休業補償の支給期間

労災保険の休業補償は、働けなくなった日の4日目から支給されます。(労働者災害補償保険法14条)休業開始から3日目までは待機期間となり、労災保険からの給付は受けられません。

ただし、待機期間に対しては、会社から平均賃金の60%が支払われます。(労働基準法 第76条)

休業補償の支給金額

休業補償で受け取れる金額は、平均賃金の80%です。

休業補償は賃金ではなく、働けなくなったことに対する補償になるので税金がかかりません。つまり、実際に受け取る金額は、普段受け取っている給料の80%よりも多くなります。

休業補償の支給金額の計算方法

ケガや病気で20日間働けなかった場合の計算式は以下のようになります。
休業補償の支給金額=給付基礎日額×80%×(20-3)日

給付基礎日額

給付基礎日額は、3か月間の賃金総額を3か月間の総日数で割った金額です。

休業補償と休業手当の違い

休業補償と休業手当の違いは、休業がケガや病気によるものなのか、会社都合によるものなのかです。休業補償給付が労災保険から支給されるものであるのに対し、休業手当は企業が支払うという違いがあります。このほかにも、受け取れる金額や支給期間、所得税の対象になるのか、個人で申請が必要なのかといった違いもあります。

似たような名前ですし休業時にお金がもらえる点は同じですが、制度としては全く違うものになります。

休業手当とは

休業手当とは、会社の都合により休業を指示された場合に受け取れる手当です。休業手当は労働基準法第26条によって定められています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない

労働基準法第26条

使用者の責に帰すべき事由

「使用者の責に帰すべき事由」というのは、企業の経営不振や業績悪化などにより、一時的に休業させられる場合になります。自然災害などが原因で休業せざるをえない場合には不可抗力と認められ、休業手当を受け取ることはできません。

感染症に感染した場合や感染が疑われることを理由に休業を命じられた場合については、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと解釈され、休業手当を受け取ることができません。

<感染した方を休業させる場合>

問2 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。

新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。

  具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください。

参考:厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

休業手当の対象者

休業手当の対象となるのは、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの雇用されているすべての従業員です。

派遣社員については、実際に労働をおこなっている派遣先ではなく派遣元に雇用されているので、休業手当の手続きや相談は派遣元におこないましょう。

感染症で休んだ場合の休業補償

感染症で休んだ場合や感染が疑われる場合については、感染が業務に起因するものと求められる場合に限り、休業補償を受けられます。

感染経路が判明しない場合

感染経路が判明しない場合でも、複数の感染者がいる環境で仕事をしていたり、顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務をおこなっていた場合には感染が業務に起因するものと判断される可能性があります。

参考資料:厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)

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