割増賃金が支払われる3つの場合とは?誰が、どんな時に、いつ請求できる?

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

今月はたくさん残業したのに、全然お給料が増えていない…。

そもそも、割増賃金って、どんな時に支払われるの?

この記事では、割増賃金が支払われる場合や割増賃金の計算方法をまとめています。ご自身が働いた分のお給料がきちんと支払われているかをきちんと確認しましょう。

割増賃金が支払われる場面|賃金の基本を確認しよう

そもそも普通の賃金と割増賃金ってどう違うの?
お給料の分類を確認してみましょう。

賃金の種類

賃金には、所定内賃金所定外賃金があります。
基本給や、通勤手当、住宅手当、資格手当が所定内賃金に分類されます。
これらとは別に、特別な勤務に支払われる賃金が、所定外賃金です。
所定外賃金に分類されるのは、時間外労働賃金、休日賃金などです。
割増賃金は、この時間外労働、休日労働、深夜労働について発生します。

時間外労働|1週40時間・1日8時間労働の原則

労働時間は、休憩時間を除いて、1週間で40時間以内でなければなりません(労働基準法32条1項)。

また、労働時間は、1日につき8時間以内でなければなりません(労働基準法32条2項)。労働基準法は、使用者が必ず守らなければならない法律です。

1週40時間・1日8時間労働の原則を超えた労働時間が、時間外労働時間に当たります。この時間外労働時間に対して支払われる賃金が、時間外労働賃金です。

例えば、9時から19時まで勤務し、1時間の休憩があった場合には、9時間労働しているため、1時間の時間外労働時間をしたことになります。
この1時間の労働に対して、割増賃金が支払われることになります。

反対に、週6時間、6日労働をしている場合には、週40時間・1日8時間労働の原則は超えていないため、割増賃金は支払われません。

休日労働

使用者は、労働者に、毎週少なくとも、1回の休日(原則0時~24時まで)を与えなければなりません(労働基準法35条1項)。

一般的な会社は、土日を休日としていますが、そのうち1日が法定休日、もう一日は法定外休日です。ご自身の会社の休日が分からない場合は「就業規則」を確認してみてください。

法定休日とされている日に行われた労働は、休日労働にあたります。この休日労働に対して支払われる賃金が、休日賃金です。

たとえば、土曜日を法定休日としている会社で、土曜日に8時間勤務した場合、この8時間の労働に対して、割増賃金が支払われることになります。

深夜労働

使用者は、午後10時から午前5時までの間の深夜に働かせた労働者に割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条4項)。

たとえば、16時から24時まで勤務した場合、2時間の深夜労働をしたことになります。この2時間の労働に対して、割増賃金が支払われることになります。

働き方別にみる割増賃金がもらえる場合、もらえない場合

時間外・休日労働をした場合や、深夜に労働している場合でも、割増賃金が支払われない場合があります。

ご自身が、割増賃金を支払われる労働者にあたるかチェックしてみましょう!

変形労働時間制

変形労働時間制とは、一定の単位期間について、週当たりの労働時間の平均が週法定労働時間の枠に収まっていれば、法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

たとえば、4週間を単位期間とした場合、最初の1週間に45時間働いていても、労働時間が、4週間のトータルで160時間を超えなかった場合は、割増賃金は発生しないことになります。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、単位期間内で定められた労働時間配分につき労働者が選択できる労働時間制度のことをいいます。

労働者自身が労働時間配分を決定し、清算期間内を平均して法定労働時間を超えていなければいいという制度のため、1週40時間・1日8時間以上働いた場合でも、割増賃金は発生しないことになります。

事業場外労働みなし制

外回りや出張がある場合など、労働時間の算定が困難な場合には、所定労働時間だけ労働したとみなされることがあります。

この場合、たとえ実際には1日9時間働いたとしても、8時間だけ労働したとみなされることになるため、割増賃金が発生しないことになります。

ただし、やるべき業務をするにあたって所定労働時間をこえて労働することが通常必要となる場合には、その分の時間労働したとみなされます。

たとえば、やるべき業務をするにあたって、9時間の労働が通常必要となる場合、1時間の割増賃金が支払われることになります。

管理監督者

管理監督者に当たる場合、時間外労働・休日労働をしても割増賃金は発生しません(労働基準法41条2号)。

管理監督者とは、経営者と同様の立場にある人をいいます。

たとえば、部下の人事評価を最終的に決定する立場にある、役職手当を支給されている、ご自身がいつ労働するかについて裁量がある人は、管理監督者にあたります。

ただし、管理監督者でも、深夜割増賃金は発生します。そのため、管理監督者であっても深夜割増賃金は請求することができます。

割増賃金の計算方法

今月は法定労働時間をこえて働いていることがわかった!
割増賃金はいくら支払われる?
計算方法を確認してみましょう。

時間外労働の場合

時間外労働をした場合、通常の労働時間の賃金の2割5分の割増賃金が発生します(労働基準法37条1項、割増賃金令)。

たとえば、月収20万円の人は、20万円÷160時間(4週間分の法定労働時間)=1250円が通常の労働時間の賃金にあたります。

月に10時間残業した場合、1250円(通常の賃金)×10時間(法定労働時間を超えて働いた時間)×1.25(割増率)=1万5625円の割増賃金が発生します。

また、月60時間以上残業した場合、60時間を超える時間外労働については通常の労働時間の賃金の5割の割増賃金が発生します。

月に70時間残業した場合、1250円(通常の賃金)×10時間(法定労働時間を超えて働いた時間)×1.5(割増率)=1万8750円の割増賃金が発生します。

休日労働の場合

休日労働をした場合、通常の労働時間の賃金の3割5分の割増賃金が発生します。

たとえば、月収20万円の人は、20万円÷160時間(4週間分の法定労働時間)=1250円が通常の労働時間の賃金にあたります。

月に1回8時間休日労働した場合、1250円(通常の賃金)×8時間(法定労働時間を超えて働いた時間)×1.35(割増率)=1万3500円の割増賃金が発生します。

深夜労働の場合

22時から27時(午前5時)までの間に労働した場合、通常の賃金の2割5分の割増賃金が発生します(労働基準法37条4項)。

たとえば、月収20万円の人は、20万円÷160時間(4週間分の法定労働時間)=1250円が通常の労働時間の賃金にあたります。

18時から26時(午前2時)まで働いた場合、1250円(通常の賃金)×4時間(22時以降に働いた時間時間)×1.25(割増率)=6250円の割増賃金が発生します。

時間外労働+深夜労働の場合

時間外労働と深夜労働が重複した場合、割増率は合算されます。

たとえば、月収20万円の人は、20万円÷160時間(4週間分の法定労働時間)=1250円が通常の労働時間の賃金にあたります。

13時から26時(午前2時)まで働いた場合、休憩を19時から20時までとったとすると、22時以降に、4時間の時間外労働をしたことになります。

そうすると、1250円(通常の賃金)×4時間(22時以降に時間外労働をした時間)×1.5(割増率)=7500円の割増賃金が発生します。

いつまでにいくら請求できる?割増賃金が支払われていなければ、働いた分より多く請求できる

半年前の給与明細を改めて計算してみたら割増賃金が支払われていなかった!

割増賃金はいつまでに請求できる?

そもそも、割増賃金が支払われているか分からない場合は?

対処法をみていきましょう。

未払いの割増賃金は3年以内に請求

割増賃金が支払われていない場合、賃金債権が発生したときから3年以内に請求する必要があります(労働基準法115条、附則143条3項)。3年以内に請求しない場合、時効によって請求権が消滅してしまうため、注意が必要です。

また、割増賃金が支払われていない場合、未払い金と同額の付加金の支払を請求することができます(労働基準法114条)。

割増賃金と通常の賃金を区別しないのも違法

通常の賃金にあたる部分の賃金と割増賃金にあたる部分の賃金が判別できない場合、労働基準法37条に違反することになります。

この場合でも、割増賃金と付加金の支払いを請求することができます。

割増賃金と付加金は賃金債権が発生したときから3年以内に請求する必要があるので、注意が必要です。

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